1/1
人間そっくり
書きます!
「袖ケ浦さん。ちょっとこちらへお越し頂けますでしょうか?」 そんな看護師の声が、不意に聴こえたのだ。 女性看護師の声だった。聴き憶えのある声だった。よくわたしの病室には訪れるひとりの声だった。 看護師は、白衣に見を包んでおり、細身の体型をしていて、腰のラインがきゅっ、と括れていて、胸も大きく、わたし好みの女性であるのをわたし自身が知っていた。 声の後に、わたしを急かすかのように看護師が、病室内に入ってきた。 「よろしいですか?」 念を押すようにベッドに横たわるわたしに向けて言ってきたのだ。声は静かであったが、有無を言わさぬ強さを秘めているのは、わたしにもわかっていた。
わたしは、仕方なく従った。彼女らは、病院内で患者に対して強大な権限を有していた。 どうやら従うしかなさそうだった。 看護師は、少しふらつくわたしの手首を取り、誘導するように冷たいリノリウムの廊下を進んでいった。
御読み頂きまして、誠に有難う御座いました!