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歴史転換ヤマト  作者: だるっぱ
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②天津神と国津神

 日本の神話には多くの神が現れますが、大きくは天津神と国津神に分けることが出来ます。天津神は高天原から天降った神々とされます。代表的な神としては、主宰神の天照大神にはじまり、その両親である伊邪那岐神・伊邪那美神、出雲の譲りで活躍した建御雷神たけみかづち等がおられます。柳田国男によればこれら天津神は大陸からの渡来系民族とされ、日本に水田稲作をもたらしたと考えられています。


 対して国津神は、葦原中国あしはらのなかつくにを治めていた神々とされます。葦原中国とは高天原と黄泉の国の間にあるとされ、この地上世界になります。主たるドラマの舞台は出雲でした。主宰神は大国主になり出雲大社に祀られています。その子供たちの事代主や建御名方神たけみなかたのかみは国譲りに関わりました。「出雲国風土記」によれば、八束水臣津野命やつかみずおみつのは国引きにより出雲の国を作ったとされるのですが、彼も国津神になります。変わったところでは、本来は天津神に分類されそうな須佐之男命すさのおうのみことは国津神になります。須佐之男命は高天原を追われてしまったので、天津神のグループからは外されたのでしょう。その後、須佐之男命は出雲に降り立ち、櫛名田比売くしなだひめとの間に子供をもうけました。その六世孫に大国主が誕生するので、須佐之男命は国津神のご先祖様ということになります。


 ここで少し疑問が生じました。国津神の意味について調べてみると、「天津神に先立って国土をつかさどっていた神」という説明が多いのです。縄文時代から日本には土着の人々が生活していました。天津神と国津神の違いについて、渡来系と土着系とに単純に分けて考えそうなものです。しかし、国津神の祖先を遡っていくと須佐之男命に辿り着くのです。


 ――国津神は天津神の傍系!?


 なんとなく、土着系の民族と言えば縄文人かな……みたいな思い込みが僕にはありました。しかし、弥生時代は、渡来系の人々によって水田稲作の文化がもたらされた時代になります。なので、国津神の祖先が天津神出身の須佐之男命であってもなんら不思議ではありません。時代に沿って、少し整理をしてみます。


 大陸から水田稲作技術をもたらした天津神は、まず九州の各地に支配勢力を広げました。いわゆる天孫降臨になります。高天原を追われた須佐之男命は、出雲に降り立ち出雲の国の礎になりました。その後、大国主は出雲を豊かな国として育て上げたのですが、結局のところ天津神の支配下に置かれることになります。これが「国譲り神話」でした。その後、神武東征が行われ、奈良に大和王権が誕生していくのです。これら一連の流れは、記紀に従った内容になります。


 ただ、津田左右吉の史観では、天孫降臨や国譲りは後に作られた作為であり、記紀を歴史的事実として扱うことに否定的です。神話時代の解釈には他にも様々な学説があるのですが、僕なりには記紀を基本にして歴史を考えていきたいと思います。かもしれない……と言い出したらキリがない。小説を書くとすれば、どこかで僕なりに歴史認識を固める必要があるからです。


 天津神に従った国津神の面々なのですが、そのまま天津神陣営に飲み込まれるのかと思いきや、その存在感は非常に大きかったりします。第10代崇神天皇の御代では、大神神社に大物主神おおものぬしのかみを祀るのですが、この神は出雲の神になります。大和の中心地に、天津神ではなくわざわざ国津神を祀りました。その背景にとても興味があります。他にも、出雲と関係がありそうな一族に、鴨氏や蘇我氏がいます。これらに関してはまだまだ勉強中になります。


 日本最古の歴史書である古事記には、出雲に関するエピソードだけで3割以上も占められているそうです。そんな出雲に行ってみたい……漠然とそのように思っていました。図らずも嫁さんの了承を得て、お盆休みを利用して出雲に旅行することになりました。またしても二泊三日の野宿旅になります。大阪から片道350km。50ccのスーパーカブで走ると時間にして10時間はかかります。折角、出雲まで行くのですから出雲大社だけではなく様々な史跡を巡ってみたい。色々と思案していると、前日の夜は眠れませんでした。まるで、遠足を楽しみにする子供のようです。どれだけの文字数になるのか分かりませんが、僕の出雲紀行をこれからご紹介したいと思います。

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