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ある高校生冒険者のAdventurer's Report ━あるいは陰キャ型高校生が彼女を作りたかっただけの話━  作者: 適当男


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page.78 第二ボタンを毟られるのが卒業生だけだと誰が言ったのか


―ひ~がし~のそーらーに―

  ―ひがーの~↑ぼりー―

―に~し~のそーらーに―

  ―ひは~し~↓ずむー―

―あったりまえ~のーことだけど―

―それがーわかればじゅうぶんさ~―


―よっくあるよっくあるどこにでも~―

―よっくあるよっくあるいっつまでも~―

―よっくあるよっくあるあたりまえ~―

―へっいきんてきをー→たもつのだ~―

―よく~あるこ~→うこうー―

―どーこーにー↑でー→も~―


ごく普通の校歌が響く卒業式中の体育館を横目に不承不承ふしょうぶしょうながらも登校した俺は、事務員のオバチャンに来賓室に通され、式が終わるまで待たされる事になった。退屈なので冒険者部室棟(予定)の出来映えでも確認しようと外に出ようとすると、オバチャンが、


「ごめんねぇ、もう少しで卒業式が終わると思うから」


と、ドアの前でディーフェンス!ディーフェンス!!してくるので、仕方なくスマホのゲームを数ヶ月ぶりに起動する。

プレゼントボックスの復帰ボーナスと未プレイ中のメールで50連位ガチャれる石が配布されたのを確認して思わずニヤけるが、よく考えれば、やろうと思えば石油王プレイも出来たんだった。そう考えたら深く考える事なく期間限定ガチャに無料配布の石を全部注ぎ込んで、URでレッドクロウなるモンスターが出てきたのを見て目を疑った。

 ……現在開催中のイベントがレトロゲーから溢れ出たモンスターの討伐イベで、ゲームのキャラと協力して事態を解決する……?

対象のゲームがSE〇Aサターン、遊ス〇ーション、NYAN〇ENDO804等々のレトロゲー……

なんてこった。こんな大好物を見逃すとか、どうしていたんだ俺は。

急いでイベント専用ステージの攻略に取り掛かる。

以前の環境キャラが数世代前の型落ち扱いされる現実に涙しながら、イベ限交換アイテムのドロップボーナス持ちのレッドクロウを組み込んで何とか3Tクリアでステージを進めていたが、


「小野麗尾君、小野麗尾君。式が終わりましたよ」


ぐああああああ!!イベントの開催期間はまだ終わっていないんじゃあああああ!!!!!

せめて、せめて犬神隊長とサークラちゃんが交換できるまで……!

佐阿治とエーリカコンビでもいいから……ああ、メロディーちゃん……


「お待たせしましたね、小野麗尾君」


Oh、無慈悲な終了のお知らせ……orz

心の中で泣きながら現実でゲームをタスキルする。


「初めまして、今度前校長に代わり校長に就任する事になりました、普通出ふつうで 言米いいよねです。

さて、小野麗尾君に本日来てもらった理由ですが……」


ここで普通出新校長が言葉を区切り、窓を向く。視線の先には木造の教会めいた建物があり、


「あれは一体何なのでしょうか?」


と続けてくる。


「前校長との話し合いの結果、新設する事になった冒険者部の部室棟です」


「ほほぅ、そうなのですか。彼からは何も聞いていないのですが」


と言われたので、先日の会話の記録を再生する。


(※page.71 春休みではない何か休み・六 ある高校生冒険者の報復戦線・三を参照)


「と、言う事で私が新設したのが、アレです。

こちらは〇×県庁土木課の建設許可証及び提出した設計図になります」


書類を纏めた封筒を渡す。


「なるほど、手続きは通してある、と。では内部を見学させて頂いても?」


「ええ、構いません。今から行きますか?」


「はい、それでは早速」


そういう事になった。


冒険者部部室棟の入口は城塞に使われるような大きな金属製の扉である。小野麗尾城の扉の予備の流用でもあるが。


部室棟の周りは柵に覆われ、柵の前には堀が掘られ、掛橋で渡れるようにしてあり、普段使いの通り口は掛橋で見えない様に堀に仕込んであるが。

今回は俺が居るので、普通に入口の扉を開ける。


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ………


おおよそ一般のご家庭の玄関では響かないであろう開閉音と共に扉が動き、数人分通れるようにした時点で取り敢えず、動かすのを止める。

可動部分は一応90度確保しているので、緊急避難時には多人数が一斉に通行しても大丈夫にはなっているが。

扉裏には閂が掛けられるようにしてあるので防衛施設として防御体制はバッチリである。

奥の登り階段は屋根裏部屋に繋がっており、そこからさらに物見櫓兼鐘突き堂に行ける。屋根裏部屋には射撃用の狭間も完備しており、予備の矢玉も保管できるようにスペースも広く作られている。


「こ、ここまで堅牢に作って……」


「以前のIFLの反省点を改善した感じですね。緊急時の避難場所にも出来る様に設計しましたので」


さらに、一階の上り階段には下り階段が併設してあり、地下には新・新聞部兼冒険者部用の部室と文章先生専用の職員室、会議室(各種インフラ・ネット完備)と言う名の休憩スペース及び食堂とジム併設の運動場が広がっている。

食堂は白須等商店街の飲食店と家庭科部、小野麗尾興業㈱、その他希望者の入札で運営を決める方針である。

運動場は他運動部にも貸出しするつもりであり、対価として取材権の開放というささやかな対価を求める予定である。


「校内の設備に浸食しない様にスペースを確保するためにはやはり地下しかないですよね!?」


ドワーフのあぶれ組に公共事業がてら仕事を振りました。黄泉の口入屋も大盛況だった模様。

さらには地下2階には遊技場ゲーセンとプール・テニスコート・温泉とサウナを完備してみた。


「これは……」


「もしも長期間の籠城が必要になった時、モチベーションと体力を維持するためには必要ですよね!?」


地下3階は食料、装備、避難用具、その他消耗品の保管庫となっている。

都合3年間は籠れる様に備蓄が保管できる前提で地下一階と2階を合わせたくらいの高さになっており、

某A〇AZONの倉庫に匹敵する自信がある。管理システム?ドワーフの新技術に乞うご期待、だな。

アイツラ、ゴーレム製作技術隠していやがった……(オコ

鎧の謎素材について問い詰めたら、ここぞとばかりに隠し事ぶちまけてきたからなぁ……

何だよ、いにしえのドワーフ帝国って。

知らん知らん、俺は関わらんぞ!

いつか現れるであろう契約者の為にと伝わってきた魂鋼ソウルメタルとか聞いていない!

あーあー聞こえなーい!

技術を極めたドワーフはいずれきたる決戦の為の最終兵器開発の為に大帝に呼ばれるとか人的資源の大損害じゃねーか!!!??


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

[ランク] G → E → D

[種族] ドワーフ → ドワーフ・クラン → ドワーフ・ヴィレッジ

[名前] オノレオ・ドワーブス

[集団所属個体数] 1 →  300 → 550

[種族特性] 《重装可能》《酒好き》《酒神しゅしんの加護》

[個体特性] 多数につき個々による

[種族技能] 《匠》

[個体技能] 多数につき個々による

[契約義務]

 ・この個体の主人は、この個体が参加したダンジョン探索の終了後、この個体に最低3回以上の食事を与えなければならない

 ・この個体の主人は、この個体に作業を依頼できるが、作業に応じた報酬を(酒!酒払いでじゃ!)支払わなければならない

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


↓↓↓


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

[ランク] (A →)G → E → D → C

[種族] ドワーフ・エンパイア → ドワーフ → ドワーフ・クラン → ドワーフ・ヴィレッジ →ドワーフ・タウン

[名前] オノレオ・ドワーブス

[集団所属個体数] 1 →  300 → 550 → 700

[種族特性] 《重装可能》《酒好き》《酒神しゅしんの加護》《ドワーフ帝国の末裔》

[個体特性] 多数につき個々による

[種族技能] 《匠》《帝国の遺産継承》

[個体技能] 多数につき個々による

[契約義務]

 ・この個体の主人は、この個体が参加したダンジョン探索の終了後、この個体に最低3回以上の食事を与えなければならない

 ・この個体の主人は、この個体に作業を依頼できるが、作業に応じた報酬を(酒!酒払いでじゃ!)支払わなければならない

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


何か学校関係者への施設の解放云々言われた気がするが、後日検討の上で回答すると答えた気がする。

後でICレコーダー聞き返さなきゃ……


「私からも確認して於きたい事があるのですが……」


「ええ、我が校では法に触れぬ行いが認められなければ、どの様な生徒でも受け入れていく方針です」


その言葉が聞きたかった……

この件に関しては前校長が一切言質を取らせなかったからな……


「ただ……」


おや?


「今回のケースは我が校のみならず、全国の高校でも類を見ないケースです。現在他にも海外からの留学の申し込みが大量にありまして、書類等の手続きが遅れる事も……」


「その場合は、連絡だけでも頂ければ。直前で無理でした、と言われるよりは余裕があればこちらも助かりますので」


「そうですね、ではそのように。今日はもう帰って大丈夫ですよ。お疲れ様でした」


「こちらこそ、お疲れ様でした……」


思ったよりマトモな人が後任で助かった。


お、卒業生の人達もこれから帰るのかな?

……って、こっちに向かってくる!?


「キャー!小野麗尾君よー!!」

「この間はありがと~!!」

着物姿の先輩方に囲まれてキャーキャー騒がれる。


ああ、何だろう。今冒険者になって初めて報われた気が。

あれ?何か制服のボタンが全部行方不明に。そしてポケットに…手紙!!??


「小野麗尾がいたぞ~!!!」

「キ゛ヤ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!! オ゛ノ゛レ゛オ゛グウゥゥゥゥン゛!!」

「会社に今求人出しているんだよな?な゛!!!俺、大学受験出来なくて就職できないとやばいんだ!頼む!人助けだと思って雇ってくれ!何でもするから!」


次の瞬間、男の先輩方に囲まれる。

天国から地獄に。どうして……

ポケットに履歴書やら連絡先が突っ込まれているし。あーあ、手紙がグチャグチャだよ。

見つからない様にアイロン掛けして皺取って額縁入れしておかなきゃ……


女子生徒(元)からの手紙の中身?履歴書でしたが何か?

小野麗尾興業㈱はハロワその他就職サイトでの従業員の募集は現在行っておりません。

当社のスカウト(社長)が直接ヘッドハントした人材で何とか事業を回している小規模事業体です。


実績が解除されました。(お遊び)

《ドワーフ帝国の末裔の保護》《遺産継承》《託された遺志》《黄色い悲鳴♀》《黄色い悲鳴♂》


最終決戦のフラグが立ちました。1/〇(お遊び?)

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― 新着の感想 ―
[一言] 後書きの最後の文章が不吉なんだが気のせいかな?
[良い点] いつのまにか金持ちになったなぁ
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