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page.77 春休みではない何か休み・終了のお知らせ

「それでは次のニュースです。先日IFL発生の中心地となった翌亜流高校ですが、本日未明、同校校長:鷲羽わしは 飯大いいだい氏が業務上背任の罪で起訴、同職を解雇された事が明らかになりました!!

 後任には同校の理事:普通出ふつうで 言米いいよね氏が着任する旨が発表され……」

「続きまして、各地で広がる冥探偵ブームについて……」

お。やっと理事会が動いたか。

こないだエインセルがすっぱ抜いた奴の悪事の特別セレクションを証拠付きで理事長宅に送った成果がようやく出た。

あの野郎、IFLのトラウマを理由にした転校の推薦状を有料販売するとか、教育者以前に人の風上にも置けねぇ真似していやがった……!?

もう少し遅ければ文部科学省に訴え出てやろうかと思ったが。

暫くして、SNSの翌亜流高校からのお知らせで、卒業式の簡略版の実施と新学期開始のお知らせが来た。


始業式は来週、卒業式は今週末で、卒業式は3年生のみの参加になる様だ。

3年生でお世話になった先輩もいないし、こちらは特に顔を出さなくても……って、俺が名指しで呼び出されている!?

何々、『敷地内に建てられている不審な建築物について』……?


前校長アノヤロウ、まともに引継ぎの一つも出来ていないのか。


「母さ~ん、今度の金曜、学校に行く事になったんで」


「あらそう、やっと授業再開かしら?」


「いいや、よく判らないけど呼び出しが来た」(すっとぼけ)


「父さん」


「何ですか、守社長。例の商品でしたら既に開発済みで……」


「うん、それに関しては後で説明・配布用のパンフ作っておいてくれれば」

「あと、家の中で社長呼びは勘弁して」


「はっはっはっはっは」


「笑い事じゃないよ、落ち着かないんだから」


「いやいや、子供はいつか親を超えていくものだというけど、こんなに早く抜かれるとはなぁ」


「何言ってるの、あなたもまだまだこれからでしょ?」


「母さん……」


「あなた……」


「ちょっと畑の様子見て来るから」


何が悲しゅうていい年こいた親のイチャツキ見にゃならんのか。


そして向かったキラービーの所では、タライ一杯に積まれたブドウの上で

「美味しくなぁれ♪ 美味しくなぁれ♪」と歌いながら、裸足で踊るジャンヌちゃんが。


「あっ守さん。守さんも一緒にやりませんか?」


「商品価値が落ちるからやらない」


「そんなー」


畑の警護のバイトに来ていたはずの四天王イロモノ達の一人、露理葉さんが構えているカメラに向かって、


「この様に弊社で作られるワインは、昔ながらの製法で、不純物が混ざらない様に厳正に管理されております。ご購入される皆様方にはどうか安心して口にして頂きたい……」


と、一言加える。ウチの商品は炎上商法に頼らなくても勝負できるからね!


ここで露理葉さんがカメラを止め、


「あ、さっき師匠がガイコクジンを連れて向こうの方に行ったんだけど」


「エインセルが?その外国人って黒人だった?」


「うん、何か師匠にペコペコしてたけど……」


最近よくウチに来る不審人物ジャン・ダッテソー・ジャンを引き連れて何を……?


露理葉さんが教えてくれた方に行ってみると、


「これは良いですな。海外への出荷をお考えに?」


果物を頬張る侵入者と、


「そこの処は社長次第だけど、ほら。マーケティングってやつ?他所の国の人でも美味しいと感じるのか事前に確認しておかないとね。

ご主人様ってば案外抜けているから私がしっかり支えてあげないとね♪」


産業スパイ容疑のエインセルが。


木々を伝って二人の背後にシュタッと降りて、


「ほほぅ?その支えるっていうのは仮想敵国の人間に産業機密を漏らす事かな?」


二人共肩がビクッとなって恐る恐る此方を振り向く。


「あら、ご主人様?今日は随分とお早い……「守さん!お邪魔しております!!いやぁ、ここの果物は素晴らしい!是非とも輸出するべきです!!!」


エインセルの発言に被せる様に慌てて挨拶してくる面白黒人枠ジャン・ダッテソー・ジャン


本国が申し訳ありません、と”個人的な”意向として謝罪してきたので彼にそこまで悪感情は持っていないのだが。

この男、とにかく押しが強くこちらにグイグイと喰い込んで来る。今日も恐らくエインセルに頼み込んでここに押し掛けて来たのだろう。害意・悪意があるようならとっくに全身が串刺しになっているので今一つ何がしたいのか分からないが。

「ジャンヌちゃんなら向こうでワイン造りに励んでいますよ」


「おお、ジャンヌ・ダルがワインを……!守さん。貴方はそれをフランスに……「イギリスかアメリカのオークションに出そうかと」

デスヨネー!!!!!HAHAHAHAHA!!!!!!!」


オーバーリアクションで笑い転げる外国人芸人ジャン・ダッテソー・ジャン

お前、そういうところだぞ。いや、分からんが。

暫くして笑いをピタッと収めて立ち上がった彼が、


「本国にはあのバカ騒ぎを早急に止めて貴方に謝罪するように求めているのですが、依然として……」


「いえ、お気になさらず」


ドデカイ報復本編の準備は着々と進んでいるからね!?

そんな事を考えていると、天から光が差し込んで……ってよりにもよって今!?

もうやめて、ジャンさんの胃のHPはゼロを下回るわ!?


  ―オノレオ―

     ―オノレオ マモルさん―


「ガブリエルさん、ガブリエルさん。演出が長いんでスキップを」


「もうっ良いじゃないですか!?あんまり使う機会が無いんですよ、コレ!!」


プンスコ言われても知らんがな。


「おおっ天使様!!!!」


跪いて祈りを捧げるジャンさんを横目に、


「今日はどうしたんですか?」


「はい、以前から頼まれていた件について、主より連絡が。決行日はいつにするか、と」


「こちらの方では特に希望がありませんので、そちらにお任せします、と

 今回は随分と無理を頼みましたが、何かそちらからのご要望は……」


「主は仰られています。それでしたら、前回頂きましたベーコンを是非、と」


気に入ったのか、ver.Y豚・改のアレ……


綿志野さんがここで出来た作物をベースに配合した飼料+ポーションオンリーで育てた既存の概念では測る事が出来なくなった超肉質の豚、Y豚・改。

最近では豚泥棒イザナミの対策に追われる羽目になった記憶が新しい。

実食では黄泉竈食よりも食べるのに覚悟を必要としたが、口にした瞬間、某〇王様の如く口からMPを放出して、U・MA・I・ZO~!!??を連呼して、早口で食レポを垂れ流す事になった。

世に出せば世界中から買い付けが殺到する事は間違いないだろうが綿志野さんには自分達が食べる分が残らなくなるからと、涙を呑んで貰い、ごく少数を贈答品にする事にしたのだ。

一投目で超大物が掛かるとは思わなかったが。


「う~む、飼育頭数が少ないので、在庫はほとんど無いのですが、他ならぬY.A.W.H.さんの頼みですからねぇ。取り置き分でよければ、ですが……」


「主は仰られています。かの豚よ、産めよ増やせよ、地に満ちよ。と……」


そこまでか!!!???


「気に入って頂けたようで、飼育者も喜ぶことでしょう。これからも定期的に……

「主は仰られました。飼育者に栄光あれ、と」


畜舎に光が差し込む。


きゃあああああぁ!!!!!なんですかぁ!!??

何で私、光り輝いているんですかぁ!!!!????


という悲鳴が聞こえてきたが、愚痴は後で聞こう。

それはそうと、


「せっかく此方まで来られたのですから、良かったらお土産も一緒に如何ですか?最近の収穫物はそれなりの物にはなってきていますよ」


「そうですね、それでしたら少しだけ……」


取り放題が如く蜘蛛の糸籠一杯に果物類詰めてベーコン載せたお土産セットを抱えたガブリエルさんをお見送りし、

何故か地面に正座するジャンさんに、


「良かったらジャンさんもお土産、如何ですか?」


と声を掛けたら彼はビクッとなって震えながら、


「あの、天使様が仰られた”決行日”とは、一体……」


「嫌だなぁ、ジャンさん”には”関わりの無い事ですよ」


そう、個人的にとはいえ、ケジメを付けたジャンさん”には”、ね……


「あ、そうそう。関係ないんですが、ジャンさんはどちらの教会で信者名簿に記録をされているんでしたっけ?」


「それは……つまり、そういう事なのですか?」


それ以上は何も言わず、ただニ゛ッ゛コ゛リ゛と微笑むだけに留め、震えながらお土産を受け取った彼をお見送りして、

その後は畑全体の様子を見て、帰って飯喰って風呂入って寝た。


まぁ、何の変哲もない普通の一日である。あった。異論は受け付けない。

仮想敵国発言でフランスへの敵対が継続しているのに気付き、

最後のシーンで報復計画の進行を確信した。

アイデアロールに成功したジャンさんは2D10でSANチェックのダイスを振ってください。

ジャン・ダッテソー・ジャンの憂鬱は終わらない……

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― 新着の感想 ―
[一言]  このワインって、乙女の素足をペロペロするのと同じ効果が有るのでは?  ノ 幼女が葡萄を踏んだワインを希望☆  yesロリータ・noタッチの抜け穴を発見っ。
[一言] 高そうなワインだな 非売品級ばかりできそう
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