page.128 失われた二学期を特に求めずと言ったな、騙して悪いが(ry 8
「イヤーッ、大変お待たせいたしました!
ドーモ、小野麗尾興業株式会社社長、マモル=オノレオです!」
挨拶と共にメイシ・カードを両手で突き出す。タナカ=サンから直伝された古式ゆかしきレイホーに基づくショーバイ=アイサツの儀式作法に、
「コレハドーモ、オノレオ=シャチョ=サン。株式会社21世紀警備保障コーホーニカ=カチョ、スプリングマン=トゥービッグです。」
と、流れるような動作で返しのアイサツと共に、メイシ・カードを差し出してくる。
ムム、これが歴戦のサラリ=マンの身のこなし……!
「ドーモ、トゥービッグ=カチョ=サン」
所作に目を奪われながらも何とかメイシ・カードを受け取り、カード・ホルダの上に置いて、向かい側のソファに座れる位置に動くと
「ドーゾ、トゥービッグ=カチョ=サン」
着席を促しながら、カード・ホルダを机に置いて自身も腰を掛ける。
「ドーモ。さて、早速なのですが……」
「つまり、全人員・備品込みでの御社の広報二課の売却の打診と言う事ですね」
隣に腰かけていたシャクヤちゃんが話を纏めに掛かる。
「ええ、当社としても心苦しくはあるのですが……」
そも、株式会社21世紀警備保障がスタンピードによる北海道侵攻時の防衛軍メンバーの生き残りによるモンスターからの日本国の防衛を目的として設立された会社であるが、こないだの北海道奪還により、企業理念の消失と、小野麗尾興業㈱の台頭により、今後の経営方針の見直しにより、広報二課の事業整理の可能性が浮上し。ならば事業整理の前に、と乾坤一擲の策として、小野麗尾興業㈱への身売りがしたい、と。
提出された資料から目を離したシャクヤちゃんが、
「守さん。正直な所、採算がとれるとは到底思えません。この話は……「チョット待った」
「守さん……?」
「トゥービッグ=カチョ=サン」
「はい、何か……?」
俺も目を通していた資料の一枚を机の上に置き。
「この備品、防衛用特殊大型車両”大護”も譲渡の対象というのは本当ですか……?」
「ええ、勿論です」
「解りました。シャクヤちゃん。済まないけど社長権限でこの契約の締結を決定するよ」
シャクヤちゃん「社長……?(困惑」
突如横暴なワンマン社長と化した守君に振り回されるシャクヤちゃんの明日はどっちだ……!?




