page.127 失われた二学期を特に求めずと言ったな、騙して悪いが(ry 7
放課後に白須等町郊外の土地を買って建てた小野麗尾興業㈱本社(築8ヶ月3階建て)に向かう途中、寄り道した商店街の肉屋で揚げたてコロッケを買ってジャンヌちゃんと食べながら歩いていると、
風に吹かれて黄色の日傘を差したシャクヤちゃんが〇リー・ポ〇ンズの如く舞い降りてきた。
「ええ!?」
驚くジャンヌちゃん。
「やぁ、シャクヤちゃん。随分と使い勝手がよさそうだね、そのスキル。」
平然と声を掛ける俺。
「ええ、MP操作によるスキル再現・再構築を教えて頂きましたから」
何でも無いかのように振る舞うシャクヤちゃん。
「それだけでどうにかなる物なんですか、ソレ!確か邪神由来のスキルでしたよね!?」
「《黄衣の王の使徒》……曲がりなりにも神の加護に該当するスキルだったみたいだしねー……」
マリーさんにペイッされてたけど。「使える物は使うべきです」という彼女自身の意思で限定再現したそれは、
かつての無制限速度加速・空間跳躍程の無法では無い物の、
風の流れを捉え、風に乗る事が出来るという物理法則ガン無視の固有スキルと化していた。
「むむむむむむむむむむ……やはり私も……」
何か呻きながらもコロッケを消費し続けるジャンヌちゃん。
おかしい。オバチャンに大量にオマケしてもらって50個位あったはずのコロッケがもう無くなりそうに……
突発した貝木現象に首をかしげながら歩き続ける事10分。商店街のモールを抜けてしばらくすると本社の建物が見えてくる。
1階の倉庫兼出荷場は今日の出荷分はとっくに終わったのか静まり返っている。
2階の事務所ではアルバイトの下級~中級の天使達がお喋りしながら事務作業をしており、奥に居るガブリエルさんが俺を見かけると、
「社長、お客様は3階の応接室に……」
「うん、ちょっと待って貰ってて。着替えたらすぐに行くから」
奥の更衣室でビジネス用のスーツ一式(自前のスパイダーシルクを下町のテーラーに持ち込んだ特注品)に着替えてっと。




