page.121 失われた二学期を特に求めずと言ったな、騙して悪いが(ry 1
大陸に平穏らしき物が訪れて早一週間。
本格的な封神塔攻略を前に全大名に富国強兵と出兵準備を改めて申し付け、久しぶりに日本本土に足を運んだ。
本来なら俺も攻略準備に汲々とするべきかもしれんが、冒険者(?)である以前に学生であるので、中間試験を受けられるなら受けておこうと。
ごめん。嘘ついた。
試験は嘘じゃないんだが、試験の後は文化祭の時期だから一度帰ってこれないかと池流と鍵留に誘われたんだ。
去年は碌に参加できなかったし、今年参加できずに来年も何かあったら学生らしいOMOIDEが何もないという灰色のメモリィが積み上がってしまうという危機感に襲われて帰国せざるを得なかった。特に反省はしていないが、後悔はしている。現在進行形で。
「メイド喫茶……?」
「ああ!小野麗尾興業って人材(?)派遣もしてるんだろう?
だからさ、シャクヤさん呼んで貰って本格的な英国式を売りにして……ってさ。
取り敢えず文化祭のクラス割り当て分の予算とクラス有志のカンパで費用は用意するからさ!」
必死に訴えて来るのは左隣の席のダンスィで、名前は……?
「とりあえず、派遣の希望は聞きますた。お値段は……チョット待って。 (ピッ)
あ~、シャクヤちゃん?今電話大丈夫?うん。それじゃあ悪いけど今から召喚するから時間大丈夫かな?うん、ありがとう。ヨロシク」
(ピッ)
「え~と、小野麗尾君?」
「うん。今から呼ぶから契約は双方でしっかりと話し合って決めてね」
「待って。お値段の相場とか……」
「ウチ、時価制なんで」
由緒正しきドンブリ勘定やで。
「参考までに。過去の事例で言うと一回の派遣で日給950万、業務成功報酬で8000万位が最高額だったかなー……」
天女 宇受乃さんの記録はまだ抜かれていない。
何なら外務省に本格的に専属させれば自身で記録更新狙えるまである。
淡姫ちゃんは報酬より達成感・満足感優先何で、潜在力はともかく実績はねー……
「何でそれを今言うのかな……」
何か胃の辺りを抑えながら絞り出すように声を出す左隣ダンスィ。
「深い意味はないよ?ウチの子はそれだけの報酬の価値のある仕事をするってだけだから」
そう言うと、召喚機を操作してシャクヤちゃんを呼び出す。
金色のゲートが開き、メイド服姿のシャクヤちゃんが出て来て、此方を向いてカーテシーをしつつ、
「ご用命と聞いて、シャクヤ推参しました」
と言ってくる。堅苦しくしなくて良いって言ってるんだけどなぁ。
「「おぉ……」」
教室中から反応が。
「シャクヤちゃん。お仕事の依頼です。依頼者はこの部屋にいるクラスの学生ね。契約はえ~と、君が代表で良いのかな?」
左隣ダンスィに問い掛けると、
「いや、僕が代表って訳じゃ。お~い、委員長!約束通り声掛けだけはしたんだから後ヨロシク!」
「ちょ、ここで僕に振る!?……うん、まぁ。ここからは僕がクラス代表で……」
「あとは若い人達でごゆっくり……」
そう言って微笑んで教室から出ようとしたが。
二人に後ろから両肩を掴まれて面倒くさい交渉の立ち合いをする羽目になった。
「別に俺が居なくても契約くらい……「出来る訳ないだろう!「何でできると思うんですか!?」」」
そう言う事らしい。クラスメイトが固唾を飲んで見守る中、3時間に及ぶ交渉の末、報酬一部前払いの50万、残りは純利益の30%で決まり、文化祭までの店員教育と当日の勤務を労働内容とした派遣契約は結ばれたのであった。
終わってから思ったが、やっぱり俺は居なくても良かった気も……
感想……
モット……
カユ……
ウマ……




