page.116 失われた二学期を特に求めず 2
「では、10分後に進行予定ルート上を牛丼と戦艦の艦砲射撃で確保した後、進行する案は無理ですと」
「ああ、元々大和と武蔵は北海道制圧の為、東南アジア方面への派遣を急遽切り上げてこっちに来ていたみたいだからね」
「いやぁ、残念でしたな。あの鉄船の大筒の威力と来たら……」
「まったくじゃ。戦国の世にアレがあれば天下統一などチョチョイのチョイ、という物じゃて」
「まぁ、それ以前に放射能問題が解決できていないからね」
「その、ホーシャノー、でしたか。それは今の世でもどうにかなる物ではないのですか?」
なりませんでした。
「と言うか、そんな問題があった事さえこないだ認識したばかりだしね」
そう、あれは5日前の事じゃった。
偵察に出した伊賀甲賀風魔の下忍達が何名か消息を絶ち、捜索・確認に向かった中忍・上忍チームが全身の穴という穴から血を流して息絶えていた下忍を見つけ、数日後には彼らも同様に死に絶えるという凶事が発生した。現地の風土病かと慌てて軍に連絡を取った処、
大量の放射線の暴露による”ヒバク”なる現象による死ではないかと言うお言葉が。
取り急ぎ対策チームを集めると言われ、
本国より送られてきた大上部博士教授を始めとした医療チームが送られて来たのが一昨日。
とある事情により検体に対して守秘義務を課しますが、と言う俺の言葉に対して、開口一番
「ダイジョーブ!イガクノハッテンニギセイハツキモノデース!」
と抜かしたのに、
大丈夫か?このオヤジ……?(色々な意味で)
と感じたのは記憶に新しい。
特に対策をしていない牛丼に乗せても被曝するというので、医療チームと一緒に送られたガイガーカウンターなる計測装置を基に改良版の製造と防護機能の実装をドワーフ達に丸投げて、
俺氏はMP複製体を使って周辺のハザードマップの作成と解剖用の被検体の提供に勤しんでいた。
もう、腰に付けたガイガーカウンターがいきなりガガッガガッ!と鳴り出すのも七穴墳血して死んだ自分の遺体を見るのも嫌だお……
ポーションがぶ飲みしても痛み止め位にしか効果殆ど無かったし。
教授に報告しても、
「ホウ、ソレハキョウミブカイケッカデスネ……」
としか言わんかったし。




