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059:緊急クエスト『邪龍の呪穴』①


「あ、ルードさん。お待ちしておりました」


 緊急の呼び出しを受けて、俺とスーは冒険者ギルドにやってきた。


 受付のエナンにいつものようにギルドマスター室に通され、サヴィニアと向かい合っている。


「ルード、良く来てくれたな」


「緊急の用件って聞いたが、どうかしたのか?」


「あぁ、さっそく本題に入らせてくれ。昨日の件なんだが……」


 昨日の件とはゾンビボアの事だろう。

 俺は呪力に侵されたモンスターを発見して報告していた。


「君に頼みたい仕事があるんだ」


 そして緊急の任務(クエスト)を依頼されたのだ。



『 Aランク任務:邪龍の呪穴を攻略せよ 』



「『邪龍の呪穴』?」


 聞いたことがないダンジョンだ。

 ローランドでの情報はまだ集められていないから当然か。


「Aランク指定のダンジョンだ。ゾンビボアの調査を続けた結果、呪いの発生源がそこだと判明した」


「それを俺に?」


 間違いなくEランクの冒険者に依頼する内容ではない。


「もちろん新人であるEランクの冒険者などにはとても任せられない事案だよ。それも1人で挑むべきダンジョンでは絶対にない。それはわかっている……」


 サヴィニアは困ったような顔で続ける。


「だが他に人手のあてがないのも事実でね。数名は候補がいるのだが、1つのパーティとなるとどうしようもない……」


 Aランクダンジョンの難易度はAランクパーティでの攻略が目安となる。

 相性の良いAランク冒険者を集めるなんて急にはできないだろうな。


「そこで君だ」


 俺はそもそもパーティが組めない。

 必然的に俺への依頼はお一人様(ソロ)対応になる。


 つまりはお一人様でAランクダンジョンを攻略しろという依頼になるわけだが……。


「もちろん無謀な依頼をしていることはこちらも理解しているさ。だから様子を見るだけでも良いんだ。危険だと判断したらすぐに戻ってきてもらってかまわない」


「それくらいなら構わないが」


 様子を見るだけなら危険でもないだろうしな。


「そうか。ありがとう」


 俺が受領するとサヴィニアはホッと安心したように小さく笑った。


「だが、もしかしたら君なら1人でも攻略可能ではないかと思ってな。神がかった君の魔術なら未攻略のダンジョンだってクリアできる……そんな気がしてしまうんだよ」


「それは買いかぶりすぎだ」


 確かにあのゾンビボアくらいの呪力なら解決できそうではあるが……。


 Aランクダンジョンがそんなに生易しいワケがない。


「ゾンビボアの件における君の功績は小さくない。これにこじつけて君のランクをAランクまで特進昇格させようかとも思っているくらいだ」


「それはやりすぎだろう。たまたま俺でも解呪できるレベルの呪いだっただけだぞ」


 たった1度の依頼でEランクからAランクなんて特進にもほどがある。

 そんなのは前代未聞だろう。


 明らかにやりすぎだ。


「あー、その解呪に関してだが、この町で呪いに対応できる聖職者ギルドの魔術師たちが、その……」


「……どうした?」


 サヴィニアにしては珍しく歯切れが悪い。

 なにかを言いにくそうにしている。


「いや、ハッキリ言おう。かなりレベルが低いんだ。なにせ呪いは危険すぎて研究が進んでいない分野だからな。解呪もあまり研究できていないんだよ」


 サヴィニアそう言って頭を抱えた。


 なるほど。

 それは言いにくいな。


「だから彼らはあくまでも研究員なんだよ。実際に現場で解呪ができるレベルの魔術師は限られているし、ルードが持ってきたあの頭部すら解呪するのに5人がかりだったんだぞ?」


 俺1人でも解ける呪いに5人がかりか。

 それはお世辞にもレベルが高いとは言えないな。


 サヴィニアが頭を抱えたくなる気持ちもわかる。


「まぁ、確かにハイエアでも呪いに関する魔術の研究は進んでいなかったからな」


 そもそも呪術は魔界の魔術として忌み嫌われている。

 呪術師なんて言葉も悪口として使われるくらいだし、好きこのんで研究する者も少ないのだ。


 俺は「パーティのためになるなら」と思い呪術も学習したけど、それが少数派なのは理解していた。


 だが呪術から得られる発見は多かった。

 だから魔術師としては、呪いを極端に忌み嫌う現在の風習はあまり良くないものだとも思うのである。

 

「でも呪いはそこまで広がっていなかったぞ? そんなに焦る必要はないと思うが」


 即席とは言え封印をしてある。

 ゾンビボアに宿っていた呪力を考えても、そう簡単に呪いが広がるとは思えない。


 聖職者ギルドに解呪ができなくとも、強力な冒険者たちに呪いの根源を破壊してもらえば良いのだ。

 別の依頼に回っているAランクパーティを後で指名すれば、焦って俺1人に頼むよりは確実だろう。


「そうだな……いや、君になら話しても良いだろう。このことは他言無用で頼むぞ?」


 サヴィニアはちらりとスーを見た。


 スーは力強く頷いた。

 話の内容はあまりよく分かっていないようだったけど。

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