039:Bランクなんてありえない!②(追放サイド)
「おいおい、アイツらか? 噂の追放パーティってのは」
「なんか城で暴れて追放されたらしいぜ? Bランク降格で切れたらしい」
「Aランクダンジョン攻略に失敗したんだろ? Sランク勇者パーティなのに(笑)」
「それで城から追放されるってバカだな」
「なんでも1人仲間が抜けたらしいぜ?」
「そいつがよっぽどスゴかったんだろうな。1人でパーティをSランクまで押し上げてたのか? 天才って本当にいるもんだな」
「噂だとあらゆる魔術が使えたらしいぜ。世界を救う救世主だとか」
「そいつに見捨てられちまったのか? 可哀そうにな」
城から追い出された俺は、気分を晴らそうと思って冒険者酒場に来たが……最悪の気分だ。
遠巻きに冒険者どもがヒソヒソと陰口を叩いているのが聞こえてくる。
SランクどころかAランクにすらなれない負け犬どもめ。
たしかに俺さまは騎士への抵抗もむなしく城からつまみ出されてしまった。
そのことがもう噂になってやがる。
無礼者だとかなんとかで城には出入り禁止だとか。
ふざけやがって。
無礼なのはどっちだ!?
俺さまはSランクの勇者さまなんだぞ!?
というかなんでルードが俺さまたちを追放したみたいになってんだ!?
逆だ、バカども!!
俺さまが役立たずを追放したんだよ!!
ワケの分からない噂話を信じ込みやがって。
全く救いがたいバカどもだな。
「ったく、イライラするぜ!! おい、パフはどうしたんだよ?」
酒場で待っていたのは魔術師のメイと聖女のシーンだけだった。
「わからない。後で合流すると言っていたが」
「それよりも、これ。どうします~?」
テーブルには2つの請求書が並んでいる。
1枚目は教会からの回復料金の請求書だ。
思い出したくもないが……俺さまたちは先日、Aランクダンジョン『邪龍の呪穴』の攻略に失敗した。
最後の記憶は、巨大なゴブリンのゾンビ……ゴブリンゾンビキングだ。
そして俺さまが目覚めた時には教会のベッドの上だった。
右肩は完全に破壊されていて動かず、顔や全身に打撲がありアザだらけだった。
ベッドから起き上がる事もできないほどのケガ。
冒険者になってから初めての経験だ。
その時点で泣きそうだったのに、教会から提示された高額な回復の金額の追い打ちがきた。
しかもケガ人は俺さまだけじゃない。
同じく前衛のスフも両手を粉砕されるほどの重傷だった。
後衛の3人は軽傷だったが、それでもケガだらけで回復が必要なレベル。
パフは自力で回復したらしい、それ以外のメンバーの回復だけで残っていた有り金のほとんどが持っていかれるくらいだった。
だがまともに立ち上がれない状態で回復を断るわけにもいかず……その請求書がこれだ。
俺さまたちがケガだらけになっていたのは、パフがキングから逃げる時に俺さまたちを引っ張って逃げたが、その勢いでダンジョンの壁にぶつかったりしたからだそうだ。
それでも「生きているだけマシなんだから感謝してください」とのこと。
ふっざけやがって!!
そもそもパフの補助がザコすぎたせいだ。
体調不良もあったが、それ以上にあいつが足を引っ張った!
「クソッ……!!」
そうだ、これもパフのせいだ!
俺さまたちの回復を教会に頼ったせいで高額な回復料を請求されたんだ。
思いつかねぇけど、なんか他にもっと良い方法があったんじゃねぇのか!?
しかも体の不調はあんまり治ってねぇ……。
相変わらず体は重いままで、剣技の切れも悪い。
あのクソ詐欺団体がよぉ!!
金だけしっかり請求しやがって!!
ちゃんと回復させやがれってんだよ!!
どいつもこいつも俺さまの足を引っ張りやがって!!
チッ、そもそもパフの歓迎パーティでも金を使いすぎた。
それもこれもパフのせいだよな。
よく考えたらずっとそうだ。
あいつがパーティに加入してから不幸続きじゃないか?
つまり全部あいつが悪いって事か!?
そのうえでこの2枚目……パフがダンジョン攻略に持ち込み、そして戦闘で使用した回復薬や魔道具の数々の請求書だ。
「クソ!! なんで同じパーティメンバーからこんな請求されなきゃいけないんだよ!? バカか!!??」
「全くの同意。かってに使っておいて、けしからん」
「それに高額すぎますよねぇ~? もしかして詐欺でしょうか?」
そもそもパフは補助担当だろうが。
それが自分の役割なんだから文句を言わずにやるべきだ。
あの役立たずの荷物持ちだったルードですら文句言わずにやってたんだぞ?
そうだ、あのルードに分配していた金で用意できてた道具がこんなに高価なハズがないんだよ!
高レベルな補助魔術師だと聞いたから根回しして手に入れたのに……とんだハズレだったぜ。
クソッたれ……あとで合流したら文句を言いまくってやる!
イライラが止まらないんだよ、コッチは!!
本当に今日は最低な日だぜ……なんて日だ!!
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