021:Aランクなんて……!?④(追放サイド)
「ちょ、ちょっとまってください……!!」
トランさんを先頭に、パーティの人たちがズカズカと無警戒にダンジョンを進んでいきます。
そして当然のようにモンスターに遭遇! 当たり前です!!
「ゴゴブァァァァァァアアアアアアアアアッッ!!!」
暗闇から現れたのは今までの3倍くらいあるゴブリンゾンビ……あきらかに異様なオーラをまとっています。
その咆哮だけで身体が震えてしまいそうです。
「ゴブリンゾンビ……デカいな! キングか? なるほど……さてはボスクラスだな!? もしかして、ここがボスエリアだったのか!? ラッキー!? 予定より早く着いたぜ!!」
いやいや、そうはならないでしょう!?
すごい思考回路です!!
ここまでくるとある意味で天才ですよ!
現れたモンスターはおそらくはゴブリンゾンビキングです。
確かに強敵ではありますが……ボスではないでしょう。
だってここは『邪龍の呪穴』です。
名前からして絶対にドラゴンがいるじゃないですかっ!!
だったらボスもドラゴンでしょう。
中盤でキングレベルのモンスターが出てくるなら、恐らくボスはAクラスの中でもトップレベルの危険度……下手したらSランクが相手になるかもしれません。
ダンジョン名すら忘れてるんでしょうか……。
というか地図もまだ続きがありますし、そもそも事前の調査で10階層以上ある事が報告されています。
……え?
この人たちそれくらい理解してますよね……?
「よっしゃあ!! お前たち、本気で行くぞぉーーー!!!! こいつを倒してダンジョンクリアだぜーーー!!!!」
「はい、トラン様!!」
「殲滅準備完了……魔術もいつでもいけるのだ」
「回復はお任せを~」
あれ!?
キングを相手に全く怯んでいない……!?
ゴブリンゾンビキングはAランク級の強敵……!!
Bランクの下位レベル1体に苦戦するパーティでは勝てるはずがない相手です。
そんな強敵を前にして少しの動揺も見られません。
……ある意味すごいです。
「ハッ……! もしかして……!!」
そこで私は気づいてしまいました……まさかこれは、演技!?
荷物を持ったままでの戦闘、異次元クラスのアイテムボックス、伝説レベルの光魔術、異常な魔術数、複数属性の魔術を並列同時展開……明らかなムチャぶりの数々に意味があるとすれば……。
これはみなさんから私への「Sランクパーティならこれくらいやってもらわないと困るんだぜ?」という、試練だったのでは!?
その演技のために、あえてオーラを抑え込んだのでは!?
普通ならそんな事できるわけありません……ですが、みなさんはSランク!
新米の私には想像もできないレベルの達人なら、あるいは可能かもしれません……!
ここまで、あえてBランクレベルの戦いをしてみせた……。
Aランクダンジョン程度なら、Bクラスレベルのパーティでも1人でクリアまで導いてみせろと……Sランクパーティに加入するということは、つまりはそういう事なのですね!!
私は今も試されている……。
今日は「連携の確認」と言う名の、私への「入団試験」だったのですね!!
つまりは……ビビったら負け!!
ビビらずに私のやるべき事をやれば良いんですよね……!
そうして認められて初めて、みなさんの本気を見る事ができる……そういう事だったんですね!!
「全て理解しました……補助魔術師のパフ、ここからは全力でやらせていただきます!!」
そうでした……たった今、思い出しました。
ギルドで先輩冒険者の綺麗なお姉さんに教えてもらった言葉を……。
『冒険者に必要なのは戦闘力だけじゃないよ。どんな強敵にも負けない強い心……強敵にこそ立ち向かう勇気なのさ……!』
そうです! 私は冒険者です!!
未知なる世界への探求者……冒険を求める者です!!
格上相手だろうと怯えたりしません。
だって今の私には、Sランクパーティの仲間がついているのですから!!
Sランクパーティに加入するという事は、私自身がSランクの冒険者になるということなんですね!!
「ぐわああぁぁぁああああああああああああ!!??」
「ぎゃあぁぁぁあああああああああああああ!!??」
「んぎゃあぁあぁああああああああああああ!!??」
「はあぁぁぁぁああああああああああああん!!??」
「みなさー-ーーーーーーーーーーーーーん!!??」
一瞬で全滅ぅーーーーー!!??
この人たち、やっぱりただのおバカさんじゃないですかーーーーーー!!??
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