019:Aランクなんて……!?②(追放サイド)
「はぁー、なんとか5層に辿り着いたか……よし、もうすぐ中間地点だぜ」
「ひぃ、ひぃ……トラン様、そろそろ少し休憩しましょうよぉ~」
「ふぅ……同意する。じっくり地図を確認したい」
「へろへろですぅ~。魔力を補充させてくださ~い」
中間地点にたどり着いた時には、Sランクパーティのハズの『黄金の薔薇』は満身創痍でした。
「ほっ……」
ここまで無茶な進行を続けていたみなさんでしたが、中間地点でやっと休憩をとってくれました。
まだ命を落とすような危険なレベルの強敵とは遭遇していません。
今のうちになんとか撤退するように説得しなければ……
「……やっぱり今日は撤退した方が良いのではないでしょうか? みなさんもうボロボロです」
道中で何度も言ってきたのに「余裕だから」と聞く耳をもたなかったみなさんですが、ここまで苦戦すればさすがに状況を理解してもらえるはず……
「なーに言ってんだよ、パフ! こんくらい大丈夫だっての!」
「そ、そうよ! まだ中間地点じゃない!」
「ここからが本番なのだ」
「そうですねぇ。気を引き締めましょう」
……全く理解していない!?
なんで!? どうして!?
いったいどこから来るんですかその根拠のない自信は!?
「だが確かに手を抜いていられるほど甘くはなかったな。ま、Aランク最高難易度だなんて言われるだけの事はある……」
「でしたら撤退を……」
「よし、では……ここからはパフの補助魔術を解禁としよう! 頼むぜ、パフ!!」
「えっ?」
「うん。ほら腕の見せ所よ? パフの補助、どれくらいすごいのかしら!」
「えっ、いや……」
「ここからがパーティの本領発揮。魔術師として共に頑張ろう」
「ちがっ……」
「よろしくお願いしますね。よかったぁ、やっぱりサポート役は1人じゃ疲れちゃいますよ~」
「そういう問題では……」
もう私の補助魔術が加わったくらいでなんとかなる問題ではありません!
……というか、どれだけ補助魔術に期待しているんですか!?
ハードル上げすぎでしょう!?!?
私へのハードルが天空の塔レベルの高さなんですけど!?
「ま、待ってくださいっ! 私の補助魔術だけでどうにかなるレベルではありませんよ!」
「なーに謙遜してんだよ。前のヤツよりパフの方が高レベルだし何より専門家だろ? あ、そうだ。ついでにこの荷物も持ってもらって良いか? さすがに荷物を抱えてちゃ戦いにくいぜ」
「だったら私もお願い! 武闘家はやっぱり身軽でなくっちゃね!」
「ついでに地図も頼む。私は攻撃魔術に専念するので」
「じゃ私は、疲れちゃったから【照明魔術】もお願いしようかな~」
なぜか謙遜だと思われてる!?
もしかしてこの人たち、補助魔術がどんなものなのか知らないのでは……って、おかしいでしょう!?
なんでこれから補助魔術を使うのに荷物持ちやらルート進行までやらせようとしてるんですか!?
酒場の「ビールおかわり♪」みたいな感覚で光魔法の【照明魔術】まで!?
そんなの同時にできるわけがないでしょう……!!
この人たち、そもそも補助魔術の難易度すら知らないんですか!?
なぜ補助魔術を使う魔術師が少ないのか……そこから説明が必要なレベルなんですか!?
ダ、ダメだ……!
脳内でツッコミが止まらなくて言葉が出てきません。
「ん、どうした? これくらいの重量なら余裕で持てるだろ。そもそも後衛でサポート役だから速度重視する必要もねぇし」
「ですね! それに【補助魔術】の応用で【鞄強化】すれば容量も増やせるんでしょ?」
「【遠見】を使った方がルート選びは正確になるだろう。私は攻撃特化だから、パフ頼む」
「ここまで魔力温存してきたから、照明と補助くらいなら同時に使っても平気よね~?」
「 !?!?!? 」
な、なにを言っているんですか……!?
「な、なにを言っているんですか……!?」
あっ、思わず心の声が出てしまった。
「え? ルードはもっといっぱい持ってたよな? もっと小さいカバンだったし」
「そうです! パーティの荷物は全部ルードが持ってました。パフ、そのでっかいカバンに入らないの?」
「元々は地図もアイツの担当だった。私は攻撃要因としての魔術師。【遠見】は補助系の魔術だろう」
「【照明魔術】もそうですね。というか、戦闘以外は雑用係のお仕事ですよ?」
「ちょ、ちょっと待ってください!! そんなにいろいろとできるわけないじゃないですか!?」
雑用係ってなんですか!?
ダンジョン攻略に雑用なんてないでしょう。
すべて攻略のための行動なのですから、ちゃんとした役割です。
それを雑用って、この人たちは今までどれだけテキトーにダンジョンを攻略してきたんでしょうか。
それで良く命があるものです。
というか、さっきから名前が出ているルードって誰なんですか!?
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