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018:Aランクなんて……!?①(追放サイド)


 ~ パフ視点 ~




「おい、メイ。本当にこっちで合ってるのか? なんかこの道、さっきも見た気がするぞ?」


「あ、合っている! 合っている、ハズだ……」


「おいおい、王室から地図までもらってるんだから迷うんじゃねぇぞ? こんなダンジョン今日中にクリアするんだからよ、さっさと進もうぜぇ~」


「わ、分っている。だがこうも暗くては……シーン、もう少し明るくできないのか? これでは先が見えないし、地図も活用できない。実に非効率的だ」


「う~ん……そう言われても【照明魔術(ライト)】であまり魔力を使いすぎるわけにもいきませんよ。いざと言う時に回復魔術が使えなくなっては困りますからねぇ~」


「もー、なにやってんのよ2人とも! トラン様の足を引っ張らないでよね!?」


「だったら、そういうスフだってもっと素早く敵を倒すべき。私だって魔力を消費しすぎてはボス戦で火力不足になる。そうなればこのダンジョンのボスは倒せないハズだ」


「んなっ!? さ、さっきはちょっと調子が悪かっただけよ! ねっ、トラン様?」


「お、おう! まだ俺も本調子じゃなかったしな。普段なら一撃で倒せるザコだったんだがな~……。ま、まぁ、ウォーミングアップさ! これからが勇者の本気ってワケよ!!」


「そうですよ! その通り!! だからメイ、さっさと道を教えなさいよね! ……けど、無駄にモンスターのいる道はやめましょ?」


「無茶を言うな。ダンジョンなのだからモンスターと遭遇しないなど無理な話だろう。とにかく、道はこっちで合っている! まっすぐに進んで良いハズ……ってシーン、また光が弱くなってないか? 効率が落ちるのだ」


「う~ん、いつもならこれくらいの魔術で疲れたりしないんですけど、やっぱり今日は調子が悪いみたいですぅ~」


 私はパフ。

 Sランクパーティに新しく加入した補助魔術師……のハズでした。


 なのに……なんなんですか、この光景は?


 連携も役割分担も、なにもできていない。

 まるで結成直後の新米パーティのような有様です。


 これがSランクパーティ?


 今日は私との連携の確認だとか言っていたのに、それ以前の話じゃないですか。


 しかも、オーラはやっぱり弱いまま。

 歓迎パーティの夜にみた光は、夢じゃなかった……?


 私にはその時点でもう不安しかありませんでした。

 だから失礼を承知の上で「ダンジョン攻略の延期」を申告したのに、それすら無視された結果がこれです。


 とてもSランクパーティのダンジョン攻略とは思えない行き当たりばったりの雑な攻略。


 現在地点、ここはまだダンジョンの4階層です。

 このダンジョンは13階層まであるらしいので、序盤も序盤……まだまだ出現するモンスターのレベルも低い階層になっています。


 ダンジョンは奥に進むほど魔力が濃くなっていき、出現するモンスターも高レベルになっていくのだから先行きが不安でしかたがありません。


 ここまでの道中で現れたの主なモンスターはゴブリンゾンビでした。

 通常のゴブリンが闇の魔力と呪力によってゾンビ化してパワーアップしたモンスターです。


 強さで言えばBランクの下位くらいの敵ですね。

 Sランクパーティなら本来、余裕で倒せるはずの相手です。


「補助魔術なんていらねぇぜ! まずは見てな、Sランクパーティの戦いってやつをな!!」


 余裕をぶっこいてそんな事を言って剣を抜いたトランさんでしたが、そんなゴブリンゾンビを相手にスフォウさんと2対1で互角の戦いを繰り広げていました。


 そして目の前の戦いに熱中するあまり、少し進んだ場所に隠れていた他のモンスターにも気づかれてしまい……最後はメイさんの魔術でなんとか勝利した……のですが、メイさんの魔術も火力特化とは思えない威力でした。


 噂に聞いていたのはAランクモンスターですら骨も残さないとさえ言われているほどの高火力魔術だったのに、実際に放たれたメイさんの【火球】(ファイアーボール)は、火魔術に弱いはずのゾンビ系モンスターを倒すのに2発かかるレベルでした。


 その威力は確かに弱いわけではありません。

 再生能力を有するゾンビ系のモンスターはハンパな魔術では永遠に倒せませんから、2発で倒せるだけでも十分にすごいと言えます。

 それが低級のパーティだったならの話ですが……。


 私はそんな戦いを見て確信しました。


 やっぱり私の眼は正しかった。

 この人たちの本当の実力はBランク程度なのだと。


 このパーティがどういう仕組みでSランクまで上り詰めたのか不思議でしかたないですが……今はそれどころではありません。


 危険度が低い階層の内にこのダンジョンから撤退してもらわないと、まちがいなく私たちは全滅してしまうのですから。

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