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017:Aランクなんて余裕だぜ!②(追放サイド)

 パフは少し悩んだような素振りを見せて、それから決心したように話し出した。


「私は補助を専門にやってきたから分かるんです。みなさんの戦闘能力みたいなもの……私はオーラと呼んでいます」


 ほう、疑似的な【戦力鑑定】スキルのようなモノか。

 かなりのレアスキルだぜ。


 パフがそんな能力を持っていたとは知らなかった。

 疑似的でも十分に価値がある能力だ。


 やっぱりコイツは当たりだったな!

 俺の眼に狂いはなかったのだ!


「すごいじゃないか。で、それがどうしたってんだ? それが今からのダンジョン攻略と何の関係がある?」


「今のみなさんの状態はあまり良くないみたいで……率直に言うと、かなり戦闘力が落ちています。推定Bランクくらいに……」


 Bランク……。


 パフの口から出た言葉に、俺様たちは顔を見合わせた。

 全員が「ぽか~ん」と口を開けていた。


「ぷっ、ぎゃっはははははっはっは~~~! お前、パフ!! クール系のキャラかと思ったら、そんな面白い冗談が言えるキャラだったんだな!! ぎゃ~はははっ!!」


「あはははは! アンタ、すっごい真面目な顔して笑わせてくれるわね!」


「ぷっ、ぷくく……! 私たちはSランク。それが二日酔い程度でBランクなんかになるわけがない。非現実的すぎる。ぷくく……」


「あらあら、うふふふ。そうですよ、パフさん。昨日は少し飲みすぎたんじゃないですか? そのオーラ? ですか、測定失敗してるみたいですねぇ」


 全員が大爆笑だ。

 ダンジョンに入る前に俺様たちをリラックスさせようとして言ったのなら、かなり評価できるな。


 パーティのムードメーカー……いや、道化師としてなら天才かもしれんな。


 あ~、腹がいってぇ(笑)


 だってBランクって言えば、ギリギリ一人前になったくらいのレベルだぞ?


 それに対して俺様たちは超一流のSランク!!

 天地がひっくり返ってもBランクになんかならないっつーの!!


「私だってわかっています! 普通ならそんなことありえない!」


 わかっているなら言わないでほしいんだが……パフはまだ何か言いたそうだ。


「昨日、初めて見た時のみなさんはすさまじいオーラを纏っていた。ギルドでも見たことない強大な力……これがSランクなんだって思い知りました」


 そりゃそうだろう。

 実際にSランクなんだからな。


 もしこのパーティにBランクなんてレベルがいるとしたら、あの役立たずのルードくらいだろう。

 でもルードはとっくに追放した。


 今の俺様たちは正真正銘のSランクなんだよ!


「……でも今はそれがないんです! 今の皆さんはBランクレベルのオーラになっている! それが事実なんですよ! このままダンジョンに挑めば間違いなく犠牲が……」


 パフは笑われて恥ずかしそうに顔を赤らめながらも、それでも主張を繰り返す。


 その表情は真剣で、冗談を言っている顔なんかじゃない。


 ……クソッ、補助の専門家であるパフにそこまで言われるとだんだんと不安になってくるぜ。


 確かに体の調子は過去最悪って感じだ。

 今の状態では普段の実力が出せない可能性はある。


 だが……


「無理なんだよ! 今日クリアしないと意味がねぇんだ!」


 そう、今日やらないとダメなんだよ。

 そうでないと王国が定めた報告期限に間に合わないのだ!


 この依頼はただの依頼なんかじゃねぇんだ。

 俺様たちを試す依頼でもあるんだからな。


 だからSランクに相応しいパーティである事の証明として、俺様たちは今日ここで絶対にダンジョンをクリアしないといけないのだ!!


「さぁ、お前ら! 気を引き締めろ! 確かにパフの言う事も一理ある! 二日酔いで攻略失敗なんてSランクパーティには許されないんだからな!」


「はい、トラン様!」


「無論、油断はしない」


「えぇ、しっかりと我々の役目を果たしましょう」


「ちょっ、みなさん!? これはそんなレベルの話では……!!」


 これ以上はパフの話に付き合ってる時間もない。

 まったく、困ったヤツだな。


 士気が下がるような発言は控えてもらうように後で指導が必要だろう。


 二人きりで夜の密室指導をな……。


 クックック、どうせダンジョンで実際に俺様の華麗なる『薔薇』の剣技を見れば手の平を返すに決まっているぜ。


 ダンジョンクリアした後には「勇者トラン様、引き留めて余計なことを言ってしまってごめんなさい……私にお仕置きをください♡」なんて事になるんだよなぁ~~~!


 密室指導の始まりだーーー!!


 俺様の聖剣も昂ってきたぜぇーーー!!

 さっさと俺様に惚れるんだなパフちゃんよ~~~!!


「さぁ行くぞーーー!! 冒険の始まりだーーー!!」


 俺様たちは今度こそ、二日酔いを振り払うように勢いよくダンジョンに突撃したのだ。

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