ゴーレム言えるかな? その9
「お疲れ様ー、アル、優勝おめでとう!」
コロシアムの真っ暗な通路。
そこに簡素なドレス姿の女性が経っていた。
「来ておられたのですね、姉上。いつからご存じだったのですか」
「なんかずっと二人でコソコソしてたのは知ってたけど、これに出場してるって知ったのは今朝。なんかアイちゃんの書置きがあったから、ついでにこっそり見学に来ちゃった……ああ、大丈夫! 吐いてないから! 人にばれないように魔法も使ったし! 気分も大丈夫だから!」
「そうですか……すべての責任は俺にあります。償いは何でもやりましょう。だから、こいつは褒めてやってください。こいつは立派にやり遂げたんです」
「ん? 今何でもするって言ったよね? んん……そんな雰囲気じゃない? 動かないのは仕方ないよ、エンドモード使ったんだから」
「しかし……だからって、こんな終わりになると分かっていたのに……俺は……!」
「とりあえず、座らせるようにアイちゃんを置いて」
「……直せるのか?」
「直せるというか……取説のエンドモード、ちゃんと読んだ?」
「…………まあ、読んでいる」
「まあアルはパソコン音痴の機械音痴だからね。ちょっと待ってね、バッテリー、バッテリーっと」
カチカチとエリスは『IBO=U』の首のあたりを弄って蓋のような場所を開け、ペンのようなものを取り出し、また別のペンのようなものを入れて再び閉めた。
「それぽちっとな」
そしてまた背中の辺りのボタンを押す。
「---OS起動、OS移動。簡易エラーチェック完了、正常な起動を確認しました。何か問題がある場合はマニュアル70ページを参照するかヘルプディスクにご連絡ください。ああ、アルフォンス様、私は勝ちましたか---」
「……IBOぉ! 大丈夫か! 痛くないか!」
「全て正常です。エンドモードを起動したので電力を全て消費しましたが」
「よく分からんが……大丈夫なんだな!」
「説明書にも書いてあるんだけど、全ての機能のリミット解除するエンドモードを使うと全部の電力を使い切って停止するから必ずバッテリー交換か充電しないといけないんだけど。それにこの中世ナーロッパじゃアイちゃんは壊せないと思うよ。だってサイバーアイランドのロボットだよ? 多分現代兵器でも壊せないんじゃないかな。元々定価千万以上する型だし」
「いや、良かった! よかったぞ、IBOぉ!」
「---アルフォンス様、初めて私の名前を呼ばれましたね---」
「ああ、間違いない。意思の無いモノなんかじゃない。もう一人の俺とも言っていいくらいの、大切な友人だ! お前が嫌じゃなければこれからも屋敷で働いてくれ!」
「---こちらこそお願いいたします、アルフォンス様---」
「俺とお前との仲だ! 姉上と同じようにアルでいいぞ! はははっ!」
まるでここ何年も忘れていたような最高の笑い声を、アルフォンスは彼の友人の為に向けた。




