ゴーレム言えるかな? その6
早朝、まだ日が昇る前。
何人かのメイド既に起きて食事等の支度等を始める頃、屋敷の門の前に二つの影があった。
一つはアルフォンス=シンフォア、一つは『ASHUMO=U型』万能家事手伝い専用ロボットのIBO=Uである。
既に二人の前には簡素な馬車が待っていた。
「ついに来たか」
「---ええ、来ましたね---」
「独り言だ。誰かに見つかる前にさっさと乗り込め」
二つの影が乗り込むと、馬車は動き出した。
これから待つであろう、ゴーレムにとって最も過酷で残酷な一日が始まる場所へと……
スタジアムという通り、そこは広いコロシアム状の会場である。
満員の会場、そしてその中央に立つのは16人の姿。当然だが、そこにはゴーレムの姿は無い。大会が始まるまでお互いに相手のゴーレムの情報は伏せられている。
「さあ始まります! 第142回天下一ゴーレムスタジアム! 司会は去年と引き続きこのジョン=ドゥがお送り致します! この記念すべき日に出場資格を持つ者はわずかこの国で16人! そしてこの国最高レベル技術によって製作された『本物のゴーレム』の中で名実ともに最高のゴーレムが決まるのです!」
凄まじい歓声に会場は包まれた。
「さて私から今大会のルールを説明致します! 一つ、大会はトーナメント形式で行う! 一つ、勝利条件は相手の戦闘不能又は降伏とする! 前大会においては相手のゴーレムの基礎構造の破壊は禁止となっておりましたが、今大会においては可能とします! つまり世界唯一の技術の結晶であったとしても保護されることもなく完全に破壊される可能性があるのです! まさに過酷であり苛烈な大会となるでしょう!」
歓声が一層大きくなる。
「そして一つ! この大会を制した者には、ゴーレム開発者としての最高の栄誉、『ゴーレム・ザ・ゴーレム』の栄誉が与えられるのです!」
鳴りやまない歓声。
無理も無いだろう。
この大会においてはあまりにも刺激的で過激な戦闘が様々なゴーレムによって行われる。これはロマンの塊であるとも言えよう。こんな大会である必要もないのかもしれない。ゴーレム同士の戦いは人々のロマンが溢れているのである。
「さてでは早速対戦カードの発表を致します! 第一回戦は20分後に開始とし、最終戦は夜7時を予定しております! それではー『ゴーレムバトル、レディー、ファイト!』」




