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アリシア視点 vs 闇の眷族四天王 その3

 私は身体強化を全開にしてアシュラと対峙した。



 戦いになるとは思わず徒手空拳だが、形振り構っていられない。さっきのアシュラの言葉通りなら、エリオットを助けられるタイムリミットは、あと20回鐘が鳴らされるまで。


 それまでに助け出さないと! 時間が無い! 私は最初から全力で拳を振るった。


「ハァァァッ! ヤァァァッ!」


 だが6本の腕にガードされ、本体まで届かない。その間にも鐘は鳴っている。私は焦った。


「フンッ、この程度か」


 アシュラに鼻で笑われた。余裕がありそうな表情がムカつく!


「ウォリャァァァッ!」


 私はローキックに切り替えた。これならどうだ!


「ぬぅ...小癪な...」


 初めてアシュラの顔が歪んだ。良し! 効いてる! このまま一気に!


「舐めるな!」


 アシュラの顔が右に回転した。正面を向いた顔は怒りに満ちている。


「食らえ!」


 6本の腕から容赦無い攻撃が襲って来る。


「くうっ!」


 私は防戦一方になった。その間にも鐘は鳴り続ける。多分、あと10回も無い。このままでは...私は覚悟を決めた。声に出さず心でレムに話し掛ける。


 (レム、聞いて! このままじゃ時間切れになる! だから賭けに出る!)


 (どうする気?)


 (防御を捨てる! その分の力を全て攻撃に回して一気に片を付ける!)


 (なっ!? だ、ダメよそんなの! あなたが死んじゃうじゃない!)


 (ヒールを掛け続けて! 死なない程度に!)


 (そんな...相手だけじゃなく、想像を絶する痛みとも戦うことになるのよ?)


 (いいからやって! 時間が無い!)


 (...分かったわ...)


「全力全開攻撃開始!」


 私は自分のステータスを攻撃に全振りした。


「トリャァァァッ!」


 攻撃力は上がったが、今の私は防御力0に近い状態だ。致命傷だけは避けるようにしているつもりだが、相手の攻撃を全て避けられるはずもない。攻撃を受ける度、レムがヒールを掛けてくれるが、痛みまでは消せない。メチャクチャ痛い! 死ぬほど痛い!


 早く倒さないと! エリオットのためにも自分のためにも! 攻撃のぺースを上げる! アシュラの6本の腕の内、4本まで叩き折った!


「貴様ぁ!」


 アシュラの怒りに満ちた顔が歪む。今だ! 私はローキックを叩き込む! アシュラの体勢が崩れた!


「これでトドメだぁ~!」


 空中高く舞い上がり、かかと落としを食らわす! やった! これで...


「えっ?」


 アシュラの顔が左に回転した。今度のは仏様のような穏やかな顔だ。すると、


「ウソでしょう...」


 あろうことか、アシュラの怪我が全回復した。


 呆然としている私の耳に鐘の音が聞こえた。


「あと5回じゃの」


 無情なアシュラの声が響いた。






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