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アリシア視点 vs 闇の眷族四天王 その2

 私とシルベスターが向かう先は、学園内にある古びた教会だった。



「こんな所に教会なんてあったんだね...」


「昔は学生達が良く訪れていたみたいだけどね。学区内に新しい教会が建って、神父さんやシスターがそっちに移ってからは廃れる一方で、近々取り壊される予定だって聞いたよ?」


「そうなんだね」


 私達は教会の中に入ってみた。当然ながら掃除してないので、どこもかしこも埃まみれだ。


「うん? ちょっとこれ見て?」


 シルベスターが指差す方を見ると、


「何かを引き摺った跡がある?」


「うん、これってもしかして...」


「アタリかも知れないね...」


 その直後だった。いきなり私達の周りを闇が包み込んだ。


「シルベスター!」


「アリシア!」


 慌てて手を伸ばしたけど、私の手は虚しく空を切った。シルベスターと逸れてしまった。


「シルベスター! 返事して!」


 返事は無い。この暗闇に1人取り残されてしまった。


「レム! シルベスターがどこに居るか分かる?」


『ダメ...闇の力が強過ぎて...どうやらここが本命だったみたいね...』


「どうしよう...」


 こんな時、ミナならどうする? 闇の眷族四天王を1人で倒したあの娘なら? 取り敢えず落ち着け。パニックを起こすな。ミナもきっとそうするはず。私は深呼吸して心を静めようとした。すると、


「うん? なんの音だろ? 鐘?」


 どこからか「ゴーン」という鐘を叩くような音が聞こえる。私はその方向に足を向けてみた。次第に鐘の音が大きくなる。やがて闇が少しずつ薄れて、朧気ながら周りの景色が見えてくるようになった。


「えっ!? なにこれ!? お寺!?」


 前世でお馴染みのお寺のお堂が目の前にあった。お賽銭箱に鐘楼まである。誰も居ないのに撞木が振れて鐘を叩いている。そしてその下には、


「エリオット!」


 エリオットが横たわっていた。意識が無いのか私の声に反応しない。私は慌てて駆け寄ろうとしたが、


「ひっ!」


 物凄いプレジャーを感じて思わず足を止めてしまった。


「もう1人釣れたか...」


 すると、お堂の奥の方からそんな声がする。


「だ、誰!?」


「我が名は闇の眷族四天王が1柱『アシュラ』貴様も精霊王を釣るためのエサとなれ」 


 そう言って姿を現したのは、身長約2m、3つの顔に6本の腕を持つ怪物だった。


「四天王の1人...」


 まさか私が1人で戦うことになるなんて...対峙するだけで物凄い圧を感じる。ミナは良く戦えたわね...私なんか足が竦んで動けないよ..


「怖がることはない。貴様が抵抗しなければなにもしない。大事なエサだからな。その者のようになりたくはなかろう?」


「...エリオットになにをしたの?」


「なあに、抵抗されたので、ちょっとばかしお仕置きをな」


「...お仕置きって?」


「あの鐘は煩悩を司っておってな。1つ鐘を打つ度に煩悩があの者を苦しめておる。108回目を打った時、あの者は煩悩によって完全に支配され、生ける屍になるであろう。あと20回ほどか」 


「ふざけるなっ! そんなこと絶対にさせない!」


 怒りが私の怯えを吹き飛ばした!


 こんなヤツの好きにはさせない!


 エリオットを助けるんだ!





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