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アリシア視点 vs 闇の眷族四天王 その1

 エリオットが行方不明になって、競技大会どころではなくなった。



 私達はエリオットの行方を探す手掛かりとして、初戦の対戦相手から話を聞こうと思ったのだが...


「昨日から意識不明?」


 ここは学園の保健室。校医の先生は困惑した様子で、


「そうなんです。体のどこにも異常は無いんですが、意識だけが戻らなくて...」


「アリシア、回復魔法を掛けてみて?」


 ミナがそう言った。私は眠っている男子生徒に魔法を掛ける。


「分かった。『セイントヒール』」


 ...意識は戻らなかった。


「ダメか...弱ったな...他に手掛かりは...」


「闇雲に探しても埒が明きませんわね...」


「実家には連絡したんですか?」


「うん、もう連絡は届いてるはずだよ」


 私はみんなが話しているのを、どこか上の空で聞いていた。エリオットのことだけを考えていた。


 前世の乙女ゲームでイチオシだった男の子。クールぶってるけど、結構抜けてるところもある。ぶっきらぼうに見えて優しいところもある。曲がったことが嫌いで融通の利かないところもあるけど、年相応にバカなこともしたりする。


 そんなことを考えている内に、なんだか胸の奥が苦しくなってきた。きっとなにかトラブルに巻き込まれているんだろう。自分一人では解決出来ないような何かに。怪我してるかも知れない。苦しんでるかも知れない。一刻も早く助けてあげたい。そして、



 (一緒にオペラを観に行くんだから!)



 私はそう決意して、なにか手掛かりはないか、もう一度眠っている男子生徒に目をやった。 


 ん? 眠ってる?


「レム~! 起きて! ねぇ起きて! お願いだから!」


 いきなり叫んだ私にみんなはビックリしてるが、悪いけど構ってられない。


『ふぁ...なによ...』


「シャキっとして! エリオットが行方不明なの! 精霊の力で居所を探せない!?」


 みんなは「あぁ、なるほど」「忘れてた」「その手があった」と口々に言ってる。私も気付くの遅れたしね。


『なんですって!? 大変じゃないの! なんでもっと早く言わないのよ! ちょっと待ってなさい!』


 なんだかんだ文句を言いつつもやってくれる。ありがとう。頼りにしてるよ。


『これは...僅かだけど闇の力を感じるわ...』


 それを聞いた途端、ミナが叫ぶ。闇の眷族が関わっていたのか...


「精霊王様~! 起きて下さい~!」


「ふぉっ! 何事じゃ!?」


「精霊王様! エリオットが行方不明なんです! 闇の眷族に拐われたのかも!」


「なんじゃと!? どれどれ...ふむふむ、確かに闇の力の痕跡を感じるの」


「場所はどこですか?」


「慌てるでない。これは...3ヵ所に分かれておるの。どこが本命かはなんとも言えん」


「それじゃあ、1つずつしらみ潰しにあたってみれば」


「まぁ待て。それだと外れた時に逃げられてしまう恐れがあるじゃろ。ここは手分けしてあたってみる方が良い」


「でもそれだと、誰か1人が孤立してしまうんじゃ?」


「2人1組であたれば良いじゃろ。ミナは儂が付いておるから1人でも大丈夫じゃ」


「分かりました!」


 こうして私達は3組に分かれることになった。殿下とシャロン様、ミナと精霊王様、私とシルベスターだ。


 エリオット、待っててね! 必ず助けるから!

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