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ちみっこと魔法競技大会 その3

 午後、いよいよアタシの出番が回って来た。



 相手は3年生、経験と技術は向こうが上だろうけど、魔力じゃ負けない自信はある。


「両者、仕切り線の前まで進んで」


 審判約の教師が二人を合わせる。緊張感が漲る。


「両者とも、礼!」


「「 お願いします! 」」


「では、試合開始!」


 アタシは先手必勝とばかりに、試合開始と同時に仕掛ける。


『グラウンドティアー!』


 地割れが相手に迫る。だが、簡単に避けられた。今度は相手が同じ攻撃をしてくる。アタシは避けずにガードする。


「うん!?」


 違和感というか、手応えの無さを感じた。あれ? こんなもん? 相手はアタシが避けないのを良いことに、続け様に攻撃してくるけど、やっぱり大した威力じゃない。


 その内、疲れたのか相手が肩で息をし始めた。えっ? この程度の攻撃で? 相手3年生だよね? これまでの2年間なにやってた? こんなショボい攻撃しか出来ないって...


 もういいや、終わらそう。


『グラウンドツリー』『グラウンドティアー』


 アタシは拘束技と攻撃技を同時に展開した。これで相手は足元を植物の根に絡まれて動けない。慌てて攻撃を防御しようとするが、


「キャアアアッ!」


 アタシの攻撃を受け止められず、場外にぶっ飛んだ。


「そこまで! 勝負あり! 勝者、ミナ・バートレット!」


 呆気なく勝ち名乗りを受けた。



◇◇◇



 試合会場から下がろうと救護班の詰所前を通った時、アリシアに声を掛けられた。


「ミナ、お疲れ~! 快勝だったね!...って、どうかした!?」


 勝ったのに浮かない顔をしているアタシが気になったようだ。


「う~ん...なんかね...勝ったのはいいんだけど、なんか物足りないっていうか...」


 アタシは対戦中に感じた違和感をアリシアに正直に吐露した。するとアリシアは苦笑を浮かべて、


「そりゃあ仕方ないよ。だって私達はドラゴンや闇の眷族なんかと命懸けで戦ってるんだよ? オマケに精霊の加護まで授かっているんだから。学内での対人戦なんて物足りなく感じて当然じゃない?」


「あぁ、なるほど...そういうことか...」


「そうそう、私達に一般人なんか太刀打ち出来ないって。仲間同士で戦うならまだしもね」


「じゃあ決勝でシルベスターと当たるまで、こんな試合が続くって訳ね...」


「そういうこと。ミナはまだいいけど、他の3人は退屈だろうね~」


「気合い入れ過ぎてなんか疲れちゃったよ...」


「あはは、じゃあ今日はゆっくり休んで?」


「そうする。ありがとう。アリシアも頑張って」


「私の場合は出番が無い方がいいんたげどね」


「確かにそうね」


 こうしてなんかアタシの中ではスッキリしないまま、魔法競技大会の初日は終了した。



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