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ちみっこと水竜の卵 その1

誤字報告いつもありがとうございます。

 帰りの馬車の中は微妙な雰囲気だった。



 スッポンポンになった殿下は、男性陣の中で唯一無事だったシルベスターの予備を借りてる。体格が違うから上も下もパッツンパッツンのツンツルテン状態だ。虚ろな目をして外の景色をボーっと見ている。可哀想なんで放っておいてあげようと思う。


 殿下程じゃないが上も下もそれなりに溶かされたエリオットは、ブランケットを纏って隠している。アタシは下だけアリシアに予備を借りた。裾が長いからめくり上げている。短足で悪かったな! うぅ、それにしても今度はお尻まで見られるなんて...どんどん恥知らずな女になっていくよ...


 ちなみにあの赤いルビーのようなスライムの核モドキは、アタシが落としたのをシルベスターが見付けてくれた。みんなに聞いてみた所、やっぱりギルドで解析して貰った方が良いという意見が多かった。


 ただ、そのまま運ぶとまた何かを溶かされるのが嫌だったので、エリオットに氷漬けにして貰った。氷が溶けない内にギルドへ運ぶつもりだ。その前に着替えるけどね。



◇◇◇



 結局、昨日は疲れていたので(主に精神的に)スライムの核モドキをギルドに渡すだけに留め、詳細は今日話すことにした。という訳で今、ギルドに来ている。


「お疲れ様。スライムの核を壊さずに持ち帰ってくれてありがとう。これで新種の解明に繋がりそうよ。あなた達には感謝しかないわね」


「やっぱりあれが核だったのか?」


「えぇ、と言っても私も初めて見たんだけどね。ウチの研究チームが言ってるんだから間違いないわ。しかも結合して大きくなったり、耐性が変化したり、服や武器まで溶かしたりするんでしょ? 研究チームが張り切ってたわ。やりがいがあるって。解明出来たらスライムに対する認識が変わる大発見かも知れないって興奮してたわね」


 服を溶かすっていう部分に思いっきり嫌な顔をしたのが約3名。アタシを含めてね...


「そうか、それはなによりだ...」


「今回の報酬はスライムの核込みでどうかしら? それなら一人100万ずつ、合計で600万払うわ」

 

 殿下がアタシ達を見回す。一人足りないことに気付いたようだ。


「700万なら考えてもいい。今回は7人で依頼を受けたんだ」


 そう、マリーを忘れて貰っちゃ困るよ。


「えっ? そうだったのね...分かったわ。700万で手を打ちましょう」


 こうして今回の依頼は完了したのだが、殿下が「たまには他の依頼も見てみないか?」と言ったので、アタシ達は依頼ボードの前に来ている。


 確かに言われてみれば、依頼ボードに貼ってあるヤツって見たことなかったね。冒険者としては有り得ないだろうけど、別に冒険者を生業にしてる訳じゃないからね。


「こうしてみると色んな依頼があるんだねぇ」


 魔獣の討伐依頼にアイテムの収集依頼、薬草や鉱石の採取依頼などなど、多岐に渡ってる。


「うん? これは...なになに『水竜の卵求む』だってさ。ふうん、水竜なんてのも居るんだね~ 達成報酬は...はぁ? さ、3億ペイル~!?」


 アタシは思わず目が点になった。レッドドラゴンの魔石の三倍の金額だ。


「あぁ、それか」


 殿下が苦笑している。


「依頼人の所見てみろ」


「え、えぇ、ん? こ、これは王家の紋章!?」


「そういうことだ。王都の東に広がる大湿原。そこに水竜が卵を産みに来るって伝説があってな。まぁ、お伽噺みたいなもんだが。だがもし見付けたら、王家が高く買い取ってやろうってことだ。冒険者達に夢を与えようっていう意味合いで、たまにこういう依頼を出したりしてるんだよ。過去にも風竜の羽とか土竜の鱗を求むってのがあったかな。どれも未達成で終わったが」


「なるほど、夢を与えるってなんかいい響きですね。これぞ冒険者って感じがします」


 この時のアタシはまだ知らなかった。

 

 水竜の卵は夢でも幻でもなく、現実にあるものなんだってことを...






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