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第三者視点 風竜の試練 その4

誤字報告いつもありがとうございます。

「うぐっ!」


 かろうじて指先で体を支えたアリシアは、どうにかもう一度斜面にへばり付くことに成功した。


「あ、危なかった!」


 アリシアは肝を冷やした。


「クルル...」


「メル、心配掛けてゴメン。もう大丈夫」


 メルに一声掛けてから、アリシアは気合いを入れ直した。


「良し! もう一息!」


 アリシアはより慎重に登り始めた。一歩一歩着実に。やがて...


「つ、着いた...」


 ついに山頂へと辿り着いた。


「なんてキレイ...」


 山頂はなだらかな斜面が一面雪に覆われていて、いつの間にか射し込んでいた陽の光にキラキラと輝いていた。あれだけ激しかった風もウソのように凪いでいる。


 山頂の真ん中辺りに氷で出来た宮殿ような建物がある。あそこに風竜が居るのだろうか? そこまで考えた辺りでアリシアは意識を失った。



◇◇◇



 目が覚めた時、アリシアは自分がどこに居るか分からなかった。ただ何か暖かい物に包まれているということだけは分かった。


『目覚めたか?』


「ここは...」


『我の住まいだ。よくぞここまで辿り着いたな』


 そこでアリシアは、風竜の声が自分の頭の上から響いて来ているのに気付いた。


「ひょわっ!?」


 改めて周りを見回して見て、自分が蜷局を巻いた風竜の体に包まれていると分かった。


「あ、あの...風竜...様?」


『うむ!? どうした!?』


「あ、あの、その...わ、私はなぜ風竜様に包まれているのでしょうか...」


『そなたが疲れて気絶しておったからな。冷えてはいかんと思って我の体で温めておいた』


「も、申し訳ありません...な、なんと恐れ多いことを...」


『気にすることはない。そなたは我の試練を乗り越えたのだからな』


「そ、そうなんですかね...」


 アリシアはまだ恐縮しきりだ。


『約束通り我の加護を授けよう』


 風竜がそう言うと、アリシアの手元に風車のような形をしたペンダントが現れた。


「これは?」


『我の加護を込めてある。身に付けているだけで我の力を使うことが出来る』


「というと!? 具体的には!?」


『例えば攻撃した時に我の力が上乗せされる。離れた所に居る敵にも攻撃が届くようになる』


「本当ですか!? それはとっても嬉しいです!」


 近接戦闘タイプのアリシアは、ロングレンジの攻撃が課題だったので素直に喜んだ。


『それと常に我の風がそなたを守るだろう』


「ありがとうございます!」


 防御まで強化してくれるらしい。アリシアは苦労して試練を突破した甲斐があったと思った。


『ところでその鳥はもしかして神獣なのか?』


 風竜が話題を変えた。


「はい。メルは神獣だという話です」


「クルル」


『そうか...』


 風竜はそう言ったあと沈黙してしまった。

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