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第三者視点 風竜の試練 その1

誤字報告いつもありがとうございます。

「試練の内容は?」


『あの高い山の山頂に我の住まいがある。そこまで登って来れた者に我の力を授けよう』


 ミナ達は目を見張った。5000mクラスの高い山を素人が登頂できる訳が無い。ましてや今は真冬だ。装備も何も無い状態での登頂なんて自殺行為にも等しい。


「残念ですがそれはちょっと」


「私やってみたい!」


 断ろうとしたミナの言葉をアリシアが遮る。


「アリシア!? 本気!? いや正気!? 登山の経験でもあるの!?」


「子供の頃に一度だけ。富士山に登ったんだけど、途中で高山病に罹って山頂まで辿り着けなかったんだ。そのリベンジをしたい!」


「バカなの!? アホなの!? 死ぬの!? 富士山とは訳が違うんだよ!? なに考えてんのよ!?」


 ミナとアリシアが言い合いをしている側で、アルベルト達は「富士山?」「どこの山だ?」と囁き合っていたが、興奮していた二人は気付いていなかった。


「とにかくダメよ! 経験も装備も不足している状態で、とてもじゃないけどそんな危険なことをさせる訳にはいかない!」


 ミナは正論をぶつける。


「経験の無さは身体強化でカバー出来るし、装備はそもそもスキー装備を身に纏っているんだから問題無いでしょう?」


 アリシアも引き下がらない。


「問題だらけでしょうが! 登山とスキーの装備は全く違うでしょうよ! ロッククライミングの装備なんて持って来て無いでしょう!」


 ミナは段々イライラして来た。アリシアのためを思って言ってるのに。


「だからそれも身体強化でなんとか」


「身体強化は万能だとでも!? 思い上がるのもいい加減にしなさ~い!」


 ついにミナはぶち切れた。


「ミナ、ちょっと落ち着け。アリシアもな」


 さすがに見兼ねてアルベルトが口を挟む。そして風竜に向き直った。


「風竜よ、山を登る者にどれだけ手助けしていいんだ? どこまで協力して構わない?」


『一人だけ同行者を認めよう』


「だったらミナ、メルをアリシアに同行させてやったらどうだ? 危なくなったらメルが助ければいい」


「そ、それは...」


 ミナは口篭った。


「ミナ、アリシアなら大丈夫だろう。行きたいというなら行かせてやろう。アリシア、決して無理はしないと約束できるな?」


「は、はいっ!」


「じゃあ決まりだな。アリシア、登山に必要だと思われる物以外は置いていけ。なるだけ装備を軽くして行くんだ」


「分かりました」


 こうしてアリシアが『オリンポス山』登頂という名の試練を受けることが決定した。


 ミナは複雑な表情でそれを受け止めていた。





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