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Farewell  作者: アフリカーナ
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異種淘汰

初の投稿ですから生暖かい目で読んでくだされば幸いです。

 これは種族の物語。そして君達「西暦」とは違う歴史を歩んだ平行世界、この物語の最後に君が何をみるかはまだ分からない。


プロローグ


 爬人暦3300年1/1、爬人共存域No.1ヴェロイド

ヴェロ=ミク 「ねぇねぇおじさん!このお祭りなぁに?皆と遊んで来て良い?」

デイノ=ドラク 「あぁこのお祭りはなぁ、人間と俺たち爬人が和解した記念祭だよ。ミク坊ちゃんも学校で習わなかったか?」

ミク 「授業聞いてなくて・・・でもつまり楽しいお祭りでしょ?なら遊んでくるねっ!」

ドラク 「行っちゃったかぁ、陸軍大佐の息子があれで良いのかなぁ、教育係の俺がしっかりしなきゃだめかぁ。」

ヴェロ=アレク 「お前はいつも呑気だな、ドラク。一応教育係なんだからしっかりしてくれよ?ミクまでお前みたいになるだろ。」

ドラク 「主人!今日は王族の身辺警護では!?最近人間も爬人も過激派が力をましてるみたいだし、何かあったら嫌ですよぉ?」

アレク 「今丁度休憩でな。そしてお前は話をそらすな。まぁ過激派が面倒なのは確かだが、奴らの言い分も分からなくも無い。ミクの顔も見れたし、そろそろ当番に戻る。リラによろしくな。」

ドラク 「はぁ、まぁ過激派なんて気にしてないでミク坊っちゃんの見守りに戻るかぁ。」


 君たち西暦の世界で恐竜と呼ばれる者達は絶滅しなかった。白亜紀の終わりはウィルスによってひきおこされ、多くの恐竜は死に絶えたが、元より高めの知能を持っていたある種達が生き残り、恐竜が数を減らしたためウィルスに抗体を持っていた哺乳類が進化し、君たちのよく知る動物達が生まれた。捕食される側だった哺乳類は恐竜に対抗、野生の戦いの中で双方共により高く知能や生活を発展させ、恐竜は二足歩行の爬人となり、哺乳類の中の猿が人間となり、戦いは原始的な戦争になった。そして3300年前に二つの種族の王は和平を望んだ。その後1000年を「安定期」として爬人と人間率いる哺乳類の共生のための世界作り、後の2300年を文明の発展に費やしたのだった。

 

 第1章 異種共生の暗雲

 

 爬人曆3300年1/1、爬人共存域No.1ヴェロイド 公宮、二種族の間

爬人王サウルシア=ヴェロイド=ドラキィ 「久しいですなイング公。近頃は過激派なる者達がそちらでも騒ぎを起こしている様で。」

人王イング=ヴェロイド=ハーン 「えぇ。そして一番面倒なのは爬人過激派と人間過激派が双方で争い合っている事です。今年の記念祭はどうやら何時ものようにはいられない様ですね。その問題について議論せねばならないみたいですし。」

サウルシア 「今日はこちら側で取れた美酒を持ってきたというのに。彼らは「共存などあり得ない!生活域を完全に分けろ!」とデモを起こすので、良く眠れません。にしても何故こんなにも上手くいっている統治システムに反対するのでしょうねぇ。」

イング 「現実逃避はなりませぬよ。原因など一つしかないでしょう。元いた双方の完全分離派が去年のそちら側の発言を受けての事。貴方の責任なのがまだ分かりませんか?人間の領地に課す特殊税を引き上げた挙げ句、漁獲量も貴方たちが完全に有利になる様にした。あれに関しては再三忠告したはずではありませんか。」

サウルシア 「あれは正当な法律だとなんど言ったら分かるのですか?いかに共存と言えど自らの仲間を優遇するのは当たり前のことでしょう。それを言えば貴方も爬人が人間に犯罪を犯した場合の罪を引き上げましたよね?共存を言うならばあんな法律撤廃しなければならないはずですが。」

イング 「元より人間が貴方方の力に勝てるはずがない。それを鑑みてのことです。」

サウルシア 「別に爬人全員が犯罪をするわけでは無いというのに、まだ我々を信用してらっしゃらないと?」

 愚かにも二人の王は互いの不満をぶつけ合う。無論初めての事では無いが、今日の言い合いはいつにも増して険悪だった。3300年の平和により出生率、寿命が倍増し、それらは最早一人の君主が運営できる国、世界の規模では無かった。通常なら三権分立などの様により効率的に政治ができたはずだが、それぞれの代表がいてこそのこの世界では王に権力が集められなければ二つの種族がまとまらなかったのである。

 人の領域に生きる事を決めた爬人、人間に恋人を持つ爬人や、爬人の領域に生きる事を決めた人間、爬人に恋人を持つ人間もいた。無論爬人の国には爬人が、人間の国には人間が多い。

 世界に10ある共存域には爬人と人間がくらしており、その内のヴェロイドは3300年前に和平が結ばれた場所で、二人の王が記念祭にのぞむ公宮がある。記念祭はここで行われ、交通網が発達した現代には双方の貴族、王族や庶民が集まる。

 今日は過激派も混ざっている。


両方の従者「お二方、そろそろ演説の時間です。準備のために一旦席をお外し下さい。」

サウルシア「あぁ分かったよ。イング公、しっかりなさってくださいよ?」

イング「そちらこそ。」


 公宮、人間の間 控え室

イング「あの鱗野郎は何を考えている?こちらの話を聞かぬでは無いか。なぁディスビア?」

イング公従者スネーク=ディスビア「それは王もで御座います。悪態ばかりついていると国家間の関係が悪化しかねません。戦いは過去の物。誰も血など見たくないのですから、仲を嘘でも良いので良くしてもらわないと困ります。」

イング「お前がそう言うのならひかえるがな、我慢できぬときはある。人間、いや、哺乳類を馬鹿にしたような発言をされたら、温厚なお前と言えど怒りがこみ上げるだろう?」

ディスビア「私は混血でございます。どちらかに味方することはできません。昔からその性質故に混血種は従者に選ばれるのをお忘れですか?2300年前に定められた決まりでしょう。」

イング「すまなかった。怒り故に我を忘れておった。決まりもそうだがとても失礼な事をした。非礼をわびよう。」

ディスビア「良いのですよ。どちらの従者も王をいさめるための存在。冷静になってくれたのなら文句はありません。」

イング「ありがとう。しかし今頃奴らは何を話しておるだろうか・・・」


公宮 爬人の間 控え室

サウルシア「奴らは好かないが、過激派に騒がれるのはもっと好かん。暗殺でもされたらたまった物じゃない。アレク、大丈夫なんだろうな?」

アレク「はい。人間側の軍隊と協力し、現在陸は我々とスコッチ大佐の近衛第一師団、海はモサ大佐の郡狼部隊とポセイドン大佐の海砲部隊、空はケツァル大佐の殺翼部隊、バード大佐の偵察機大隊がヴェロイドの全てを守護しています。ヴェロイド立警察隊もいますので御安心を。」

サウルシア従者タイガー=ジュダキア「ですので安心なさって演説を覚えてください。時間はありませぬよ。」

サウルシア「分かった。服に着替えるよ。」

ジュダキア「えぇ。それでは失礼します。どうかお急ぎを。」

アレク「私もこれにて。」

サウルシア「お前は行くな。一人では心もと無い。」

アレク「私は最後の確認があるのです。王よ。代わりにトプスを連れてきます故、少々お待ちを。」

サウルシア「あぁ。ならば行け。」

アレク「はっ。」


30分後、公宮、聴衆の広間

人間の聴衆A「今からやっと祭りかぁ、楽しみにした甲斐があったなぁ!こんなにも人が集まるとは!商売も繁盛しそうだし、嬉しいなぁ」

人間の聴衆B「だけど最近は物騒だからなぁ、知ってるか旦那、最近起きた殺人事件、爬人過激派がやったらしいぜ?」

爬人の聴衆A「人間側は呑気で良いなぁ、こっちは人間が増えて問題になってるってのに呑気に世間話か。」

爬人の聴衆B「今日くらいはそういうのやめにしない?私は嫌よ、こんな日に政治や事件の話なんて。」

人間の聴衆B「そうだぜ爬人さん、やめだやめだ。」

爬人の聴衆A「お前が話してたんだろうが!この猿が」

人間の聴衆達「はぁ?なんだお前は、やり合いたいのか?」「猿ってなんだよこの半漁人!」

爬人の聴衆達「ちっ・・・これだから哺乳類は!」「やってやんよ、後悔はするなよ!」

喧嘩の野次馬達「良いぞもっとやれ!」「そこだ!右フック!」「俺もはいりたくなってきたぞ」「やるか?」

アレク「下らない喧嘩が少しあった方が平和だが、すこしやり過ぎだぞ、お前達。そんなにやりたいなら俺たちと戦え。」

ダリエ=スコッチ「あ?なぁやって良いのかおっさん達。俺たちが相手になるぞ?」

聴衆と野次馬「ひぃぃ!なんで大佐方がここに!!?」

アレク「通っただけだ。で、お前らは平和を祝うセレモニーで喧嘩をしたいと?」

聴衆と野次馬「そそそそんなことありませんよ大佐方!なぁ?」「あ、あぁ。」「皆仲良くだもんな?」

アレク「あんまり騒ぐんじゃ無いぞ。」

聴衆と野次馬「はいっ!」


 喧噪を沈めて彼らは任務地へむかった。全ては二人の王のためである。その20分後、何がおきるかを知らずに。


20分後、公宮 演説の間

イング「では、改めてこの星に平和を。」

サウルシア「えぇ。二つの種族に安寧を。」

ディスビア「では演説を。」

王二人「今この場所に集いし我らが同胞、我らが新たなる仲間達よ!記念すべき3300年目の節目を祝えた事、心の底から嬉しく思う!3300年前の和平から長い時を経て、爬人と人間は二つにして一つとなった!これからもより良い関係をのぞむために、今ここに誓いをかわそう!」


聴衆達が歓喜する。この星で最も幸せな祭りを祝えたからだ。歓喜に叫ぶ者、感極まり涙する者。全ての喜びを集めたかの様な青空。さすがの王達も笑い合う他無かった。


??分前、???? ????

????A「準備は出来た。これより弾を詰める。」

????B「OK.ではターゲットAを狙撃、撤退しなさい。」

????A「・・・本当に良いんだな。仮にも{    }だろう。」

????B「しれたこと。もう決めたのよ。何度も言わせないで。」

????A「わかった。角度良好。これより開始する。話しかけないでくれ。」

????B「また後で。」


 音は鳴らなかった。消音銃だったからだ。この静かな狙撃で平穏は終わる。


公宮 演説の間

イング「これより後に記念の空砲を放つ!心しって?」

イング 赤い。白かったはずだ!!?なんだ?痛い???弾???だっれぐあ!?


 暗殺は静かなれど、それによってひき起こった騒ぎは、想像を絶する悪音だった。今ここに、3300年の平和は終わったのである。

 第2章に続く

読んでくださってありがとうございます。これからは一度の投稿で2章ずつ進めていきます。週一日曜日の投稿です。プロローグと1章は導入のため短いですが、2章からは長めを予定しています。読んでいただければ幸いです。


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