表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/21

彼女拗ねる




放課後、いつも通りに話ていた。二木は、部活でいないため二人でだった。

「時は流れる。なぜ、それが実感出来ないのだ?」

 僕らの会話は、質問する事から始まる。いや、基本僕らの会話は、疑問から始まる。普通の高校生の会話といったら、たいてい噂話とか、テレビとかだ。しかし、僕らの会話の中にそんなくだらない会話が存在しない。元々、僕らの会話もくだらないが。

 なんと言えばいいのだろ。特殊?いや、それも少し違うような気がする。変と言った方が近い気がする。

「どう言うこと?」

そして、この質問を投げるのは、何故か僕の仕事。こんな学園生活も、一ヶ月が経った。もうそろそろ梅雨になる季節だ。雨が降り、夏に備える大切な季節だ。

「そうだな、時は流れる。こうしゃべると時も確実に時間は流れているんだ。」

「うん。」

 日が長くなってくると、夕方が長くなる。綺麗な夕日が教室のなかに入ってきて、神秘的な雰囲気がかもし出している。多分、それは夕方になればなるほど生徒が少なくなり、教室に静かになるからだ。その静けさはいつもうるさい教室が静かになる、というギャップからなるのかもしれない。

 彼女は、机の上に座り、夕日に照らされている。顔のよい彼女は、なかなか絵になっている。それに、そよ風が吹いていてなかな気持ちいい。それに・・・

「―――おい!」

「え?」

「聞いていたか?」

あ、しまった。いつの間にか考え込んでしまったようだ。

「う、うん。聞いてたよ?」

「なら、先程私が言ってたこと、ようやくして言ってみろ?」

「う、ごめん。」

「・・・興味の無い話に付き合わせて、悪かったな。じゃあ、私は帰る。」

彼女は、プイっと顔を横に向けて、通学鞄を手に持った。

(あー、やってしまった。)

 そう思って、頭を抱えた。一瞬引き留めようと思った。が、それが逆効果になってしまいそうなので、引き留めなかった。引き留められる勇気がなかったのかもしれない。どうすか考えているうちに、彼女は乱暴にドアをあけ出ていってしまった。

「あれ?まだ、人が残っている。」

 数分して、そんな声が聞こえた。聞こえた方を向くと二木がいた。良いのか悪いのか分からないタイミングに、つい少し笑ってしまった。

「おーい、大丈夫か?」

僕が急に笑い出して、心配そうに見ている二木。

「まあ、大丈夫かな?」

「なんで疑問系なんだよ。」

そういって、彼はため息をついた。

「なんで、二木ここにいるの?」

「忘れ物とりに来たんだ。」

「そうなんだ。」

 なんだか、気まずい雰囲気が流れる。

 すると、二木が話始めた。

「さっき、香坂と廊下で会ったんだ。けど、なんだか様子がおかしくて話掛けられなかったんだ。お前ら、何があった?」

「いや、それが―――。」

僕は、さっき話起きた事を話した。

「と言うことは、お前が香坂に見とれていて、話を聞いて無くて香坂が拗ねた、と。」

「い、いや、見とれてたなんて!」

やばい、顔が赤くなるのが、自分でもわかる。

「まあ、女って面倒だなー。」

それ、失礼だろ。

「どうしよ。」

「さあ?適当に、謝れば?」

「な!他人事みたいに、いうな!」

「他人事だけど?」

「むー、友達思いじゃないな。」

「いや、それお前の問題だろ?」

「そ、そうだけど。」

「それにしても、香坂でも拗ねるんだな。」

あはは、と笑いながらしゃべる二木。

「はあ?」

彼は、意味分かんない事を言い出した。

「だって、香坂ってなんか、感情が変というか・・・。」

 するとガタッ、という変な音がなった。机にぶつかるような・・・。

「「・・・。」」

 沈黙が流れる。音の先には、人が立っていた。その人を見た瞬間、体の体温が一気に氷点下になったのが、

実感できた。

(なるほど、こういうことか。)

小説でよく出てくる『こういう場面』の主人公の気持ちがよくわかった。

 そこには、帰ったと思われていた香坂が教室のドア近くにたっていた。

「・・・お前ら、私をそんな風に思ってたのか。」

肩をふるわせ始めた。そして、僕らをキッとした目で睨みつけ、

「変でわるかったな!」

そう叫んで、帰っていった。

「あー、やっちまった。」

一日に二回も同じ事を考えてしまった。

「他人事じゃあなくなったな。」

そういって、二木の乾いた笑いが、静かな教室に響いた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ