バカの呟き
「なあ、マイ箸ってエコなのか?」
昼休み、いつものように三人でご飯を食べていると彼が呟いた。誰かに話し掛けているような呟きだ。彼の呟きは面白い。最初は戸惑っていたが、馴れてくれば違和感すら感じなくなる。
「どう言うことだ?」
そして、彼女か僕の『答え』がもってる。大体、彼女だが『答え』を持っている訳だが今日は違うようだ。
「マイ箸を使うとエコっていうだろ?」
そう言って、彼が弁当で使っている箸を差す。
「そうだな。」
「だが、そんなんで本当にエコになるんの?」
「???」
意味が分からないのが、たまに傷だが。
「・・・うーん。割り箸って安いじゃん。」
「まあ、三、四円と言ったところだ。」
「で、マイ箸は、二百円する。」
「そうだね。」
「この金額の差は、なんだろう?って思ったんだ。普通の箸と割り箸との太さや大きさって大体変わらないだろ?なのに、何で値段が違うんだ?」
「・・・それは、間伐された木だからだよ。」
僕は、そういって僕が使っている割り箸を指さした。
「間伐、か。」
彼女が納得したように、相槌をうった。
「間伐?」
彼は、知らないようだ。
「間伐は、樹木の生長で混み合ってきた木々の樹木の生育を促すために、間引くための伐採する事だ。人工林や、自然の山に人工が加わった森で行われる。」
彼女が、辞書に書いてあることを読み合えるように答えた。
「なんで、間引くために伐採すんだ?」
「そっちの方が、木が育つんだ。
「へえ。」
「まあ、そう難しいことじゃないよ。間伐をするには、職人さんを雇わないとならないでしょ?」
「うん。」
「その雇う代金を間伐した木を売って稼いでいるわけ。」
「ふーん。」
「元々、間伐された木は、細くて用途が限られるんだ。」
「それで、割り箸かー。」
「そう言うこと。本来、割り箸を売って稼いで、また職人さんを雇うのだけど・・・。」
「エコだのなんだののキャンペーンは、よくないのだな。」
彼女が、話しに入ってくる。理解したようだ。
「まあ、一概にそうとは言えないけどね。実際、割り箸が売れないと、駄目になる山は出来るかも知れないね。」
「『木を使う割り箸は、エコじゃない』って誰が考えたんだ?」
彼が、疑問をぶつける。
「さあ?そんなのわからないよ。発案者は、メディアかどこかの店か・・・色々あるだろうね。ただ、調べないで、そう考えるのはよくないって事だね。」
「調べたのか。」
彼女が、納得したように頷き
「・・・。」
なぜか、近くにいるバカと僕を交互にみる彼女。
「なんだい、その目は?二木と同じ考えを持つ同類みたいじゃないか。」
「お、同類!」
そういって、暴走し始めたバカを止めるのは一苦労だった。