彼女からの誘い
彼女が拗ねてから、一週間経った。あれから、僕らは友好関係が前よりも深まった気がする。彼女から僕らにメールアドレスを教えてくれた事とか、他には・・・。取りあえず、仲良くなったと思う。
「君らは、友達とは何だと思う?」
彼女の脈略もなく、急にくる癖は相変わらずだが。
「そうだなぁ。」
その日の放課後、珍しく部活が休みで僕らと一緒にいる二木は、少し悩んでから
「信頼できる仲間。」
と、答えた。
その考えには、僕も共感だ。信頼できる、というのは良い人だと言うことだし、それなりの絆もあると言うこと。
「君は・・・どう思う。」
彼女は、僕向かって言った。
「そうだね、僕は―――」
考えて、二人を見ると少し頬が緩んだ。
「喜びや悲しみを分かち合える者、かな。」
くさいと言われようが関係ない。それが、僕の―――。
「くさいな。」
彼女がそういうと彼も頷いて
「ああ、くさい。何か悟ってるところとか。」
と言った。・・・え?
「僕って、ボケ役だっけ?その担当、二木じゃなかった?」
「おいおい、いつ俺がボケにまわったんだ?」
そう言って、はっはっは、どっかの成金の様に笑った。腹の底から感じるこの感情は、何なのだろうか。
「いつも回ってるじゃないか。」
ここは押さえ、はあ、とため息をついた。
「じゃあ、香坂はどう思う?」
「え?何がだ?」
「・・・。」
僕がじっーと彼女を見ると、彼女は苦笑した。
「悪かった。んー、そうだな。」
そう言って、腕を組みながら考えてから語り始めた。
「私は―――。」
その時、僕は見逃さなかった。
「気楽に一緒にいられる者を友達とよぶんだと想う。」
彼女が、一瞬だけ
「おお、俺もそう想ったぜ。」
「そうだろう。そこでだ、私は君達と友好関係を深めたいと思う。」
ニヤリと笑った事を。
「お、いいな。香坂もいいこというじゃないか。」
「ありがとう。」
と、笑う彼女。その笑顔は、作ったようにしか見えない。
彼は、当たり前のように気付いてないが、このままだとまずい様な気がする。
「でな、明日なんだが大丈夫か?」
っく、やはり来たか。このままだと、なんだか巻き込まれる雰囲気が。頼む二木、明日も部活だろ?断るし
・・・。
「俺は大丈夫だ。久しぶりに部活が自主練習の日なんだ。」
なんだと!お前、なんでこんな時ばっか休みなんだ!
「そうか!」
すると、嬉しそうに笑った。
「君も『勿論』、大丈夫だよな?」
完全に彼女のペース。確実に断れない。
「わかったよ。」
まさか誘導尋問してくるなんて、あなどれないな。
「じゃあ、行きたいところがあるんだ。明日、付いてきてくれないか?」
「ああ、わかった。」
「んじゃあ、明日ね。」
大きな不安を抱えたまま、僕らは別れた。