屋上へ
屋上にでると、校内にチャイム音が鳴り響いた。昼休み終了の合図。それと共に、授業再開の合図でもある。サボり確定だが、気にしない。そんな下らない事より、こちらの方が百倍大事だ。
風が強く、五月と言うのに少しばかり肌寒い。快晴だったが、こうも風か強いとそれは無意味になるだろう。
目の前には、人はいなかった。『全て、最初と同じ』だ。否定から入るというのは、少し悲しいものがあるが仕方ない。
彼女がそうしたい、というのなら付き合おう。
「何しに来た。」
彼女の声がする。彼女にしては、低い声で威嚇されているようだ。多分だが、ここで声の方を振り向けば、『同じ』結果を招くだろう。
「別に。来たかっただけだよ。」
僕は、ただ一言いってドアの近くで腰掛けた。彼は、僕の一歩手前で黙っているようだ。
「ふん。」
そう言って、彼女は口をつぐんだ。彼も僕の隣に、黙って腰掛けた。
「ねえ。」
僕が、上を向きながら呟くと
「なんだ。」
と、彼女の声が返ってきた。
その返事に、ついガッツポーズをしてしまう僕。横の彼も、少し和らいだ顔を見せる。そして、僕は勇気を振り絞り
「僕は、・・・香坂と一緒に居たい。」
と、告白の様な言葉を口にした。今の僕の素直な気持ちだ。三人一緒じゃない学園生活は、なんだか物足りない。そう、感じ始めてしまったのだ。もう、離れることは出来ないだろう。
「俺も、香坂と一緒がいいな〜。」
彼が、そうゆっくり茶化す様に言った。
「・・・。」
残念な事に、彼女は黙り込んでいるようだ。本当に残念。でも、これぐらいで解決しているようならば、僕がここまで苦労しなくても解決出来てしまっているだろう
いつもなら、そういつもならここで諦めている。もう、しょうがない、とか嫌われてしまったんだ、とか自分勝手に理由を付けて。
「ねえ、香坂。」
僕は、気付くと立ち上がり、彼女の正面に立った。相手の顔は見えないけど、相手の事は考えることができる。
「僕は、君がいいんだ。だから、僕と一緒に居てくれ!」
彼女は、きっと・・・。僕は、目をつぶり大声で、言い放った。
「・・・。」
すると、上から人が降ってきた。
しかも、僕の真上。
「うえええええええ!!」
ドスン!
そんな音が校舎内に響いた。
「大丈夫かよ?」
彼が心配そうに近寄ってくる。勿論、大丈夫な訳はない。
人が僕の上に落ちてきたのだ。(しかも、ドロップキック状態でだ。)関節が所所ぶつけたようで、とてもいたい。勢いが有ったせいか、一瞬意識がとんだ。
「大丈夫じゃない。」
僕がそういうと、彼は「なんだ、大丈夫なのか」と何故か納得。落ちてきた本人は、顔を真っ赤にして
「わわわわわ、悪い。まさか、そそ,そんな所にいるなんて思っても見なくて・・・」
と、焦った様に謝っていた。
その姿が、何とも可愛らしくて微笑ましかった。
「じゃあ、教室に・・・行こうぜ?」
彼が、そういうと彼女が少しして頷いてくれた。
「うん、いこう!」
僕らは、一緒に教室にもどった。
その後、彼と彼女は無断で休んでいたらしく、担任の先生に呼び出しをくらった。二時間に及ぶ説教のあとには、学校の名物教師である生徒指導室の先生にも呼ばれ、大量の課題と反省レポート提出させられる羽目に成ったとさ。