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地球滅亡まで、あと7分

作者: ten

 制限時間は残り7分。

 俺は右手に持った割り箸を握りしめた。



 2年前、地球の滅亡が分かった時、世界中がパニックに陥った。都市機能は麻痺し、犯罪は増加していった。

 だが、それから1カ月ほど経つと、皆何事もなかったかのように、元の生活に戻っていった。かく言う俺も、皆と同じように、元の職場に戻りサラリーマン生活を送っていた。

 それからさらに2カ月ほどたった頃だろうか、スローライフ法という法律が制定され、皆が時間をゆったり使うようになった。

 スローライフ法が制定されてから、凶悪犯罪は無くなり、自殺者の数も減少を始めた。料理も健康的なものが多くなり、生活習慣病の患者も減少し始めた。

 その結果、世間ではスローライフ法は`最高の最後の法律`として称賛されるようになった。


 しかし、俺はスローライフ法が最高の法律だとは思ったことは無い。ゆったりとした生活は確かに良いものだが、法令制定前の身を削って毎日を生きていく生活のほうが俺には合っていたからだ。


 残り6分


 あと6分で地球は滅亡する。

 思えば俺は今まで反抗ってものを全くしてこなかった。犯罪を起こしたことは1度もないし、親に逆らったこともない。


 残り5分になった。


 俺は袋からかやくを取り出しばらまいた。これがおれの最初で最後の反抗になるだろう。

 時間は1分もあれば大丈夫だ。俺は高鳴る鼓動を抑えるために深呼吸をした。


 残り3分


 俺は緊張で震える手を必死に抑えつけながら容器にお湯を注ぎ、割り箸を割った。パキン、と軽快な音を立てて割り箸が割れる。


 残り1分


 現在、俺の目の前にはカップ焼きそばが置かれている。後1分経てばこのカップ焼きそばが出来上がる。そして俺がカップ焼きそばを食べきった時に、俺の、最初で最後の反抗は達成される。俺はこれまでの人生を思い返した。テレビを見ると地球滅亡まで残り50秒というカウントか出ていた。


 そこで俺は最悪の事態に気づき、右手に持っていた割りばしをゴミ箱に捨てた。



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