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転生王女の復讐劇  作者: たま


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7話 運命の改変

数ある作品の中から本作をお選びいただき、ありがとうございます。

拙い部分もあるかと思いますが、最後までお楽しみいただければ嬉しいです。

7話 運命の改変

それから一年が過ぎた。

王宮の庭園は、春の花で満ちている。

私は噴水の縁に腰かけながら、静かに目を閉じていた。

「……集中」

胸の奥に意識を向ける。

魔力の流れ。

以前は完全に止まっていたそれが、今はゆっくりと動いている。

細い川のように。

体の中を巡っている。

「よし」

私は目を開いた。

右手を軽く振る。

パチン。

小さな火の玉が空中に浮かんだ。

一年前なら考えられないことだ。

「上出来だ」

背後から声がした。

振り向くと、ゼノが木の影に寄りかかっている。

いつもの黒いローブ。

相変わらず、突然現れる。

「封印の第一層はほぼ壊れた」

私は火の玉を消した。

「思ったより早いですね」

ゼノは笑った。

「普通なら五年かかる」

「私は天才なので」

「自分で言うな」

私は肩をすくめた。

でも事実だ。

ゼノの訓練は厳しい。

けれど私は前世の知識と、大人の思考を持っている。

さらに――

未来を知っている。

「第二封印は?」

私は聞いた。

ゼノは少し考えた。

「三年」

「そんなに?」

「魔力成長の封印だからな」

私は空を見上げた。

青い空。

平和な王宮。

でも。

三年後。

その頃には。

あの少女が魔法学校に入学する。

「急ぎたいですね」

ゼノは私を見た。

「焦るな」

「でも」

私は立ち上がった。

「ヒロインが来る」

ゼノは笑った。

「まだ会ってもいないのに敵扱いか」

私は静かに言った。

「だって」

噴水の水面を見る。

そこに映る自分。

「私の死を利用する人ですから」

ゼノは何も言わなかった。

その時だった。

「エリオット」

聞き慣れた声。

振り向くとカイト兄様が歩いてきた。

最近は毎日のようにここに来る。

理由は簡単。

私の魔法訓練を知っているから。

「兄様」

カイトは私の前に立った。

「また訓練か」

「はい」

「無理はするな」

私は笑った。

「もう倒れませんよ」

カイトは少しだけ表情を緩めた。

一年前と比べると、私は明らかに健康になっている。

王宮の医者も驚いている。

でも理由は知らない。

封印のことも。

ゼノのことも。

「そういえば」

カイトが言った。

「貴族の子供たちの間で噂になっているぞ」

私は首をかしげた。

「何がですか?」

カイトは苦笑した。

「王女が魔法を使うって」

ああ。

マリーナ事件。

私は小さく笑った。

「噂って広がりますね」

カイトは真面目な顔になった。

「侯爵家から苦情が来た」

「でしょうね」

「マリーナ嬢のドレスを燃やしたそうだな」

私は言った。

「事故です」

カイトはため息をついた。

「絶対わざとだろ」

私は無言で微笑んだ。

カイトは頭を押さえた。

「まあいい」

そして。

少し楽しそうに言った。

「父上が興味を持っている」

「国王陛下が?」

「そうだ」

カイトは言った。

「王女の魔法を見たいそうだ」

私は一瞬止まった。

それは――

公開の場。

もし魔法を見せれば。

王宮中に知られる。

「どうする?」

カイトは聞いた。

私は少し考えた。

隠すべきか。

それとも――

「いいですよ」

私は言った。

カイトは少し驚いた。

「いいのか?」

私はうなずいた。

「むしろ都合がいい」

ゼノが小さく笑う。

「ほう」

私は庭園を見渡した。

騎士。

侍女。

貴族。

王宮には多くの目がある。

そして。

政治がある。

「私は王女です」

私は言った。

「弱いままだと利用される」

ゼノはうなずいた。

「正解だ」

カイトは腕を組んだ。

「つまり」

「力を見せる」

私は言った。

「今のうちに」

そうすれば。

簡単に手出しできなくなる。

ゼノが言った。

「賢いな」

私は笑った。

「前世が長いので」

その三日後。

王宮の訓練場。

国王。

王妃。

騎士団長。

貴族たち。

多くの人が集まっていた。

私は中央に立っている。

周囲から視線が集まる。

ヒソヒソ声。

「本当に魔法を?」

「病弱王女が?」

その中に。

マリーナの姿もあった。

彼女は私を睨んでいる。

私は無視した。

国王が言った。

「エリオット」

「はい」

「魔法を見せてみよ」

私は軽く頭を下げた。

「承知しました」

深呼吸する。

ゼノの声が頭の中に響く。

(派手にやれ)

私は小さく笑った。

「はい」

右手を上げる。

魔力を集める。

胸の奥。

流れる力。

そして。

地面に向かって手を振った。

ドォン!!

巨大な火柱が地面から噴き上がった。

訓練場が一瞬で熱に包まれる。

貴族たちが悲鳴を上げる。

騎士団長が叫ぶ。

「防御!」

でも。

火はすぐに消えた。

静寂。

全員が私を見ている。

私はゆっくり言った。

「これくらいなら」

微笑む。

「練習中でもできます」

完全な沈黙。

そして。

国王が立ち上がった。

「見事だ」

低い声。

貴族たちはざわめいた。

「まさか……」

「王女が……」

私はマリーナを見た。

彼女の顔は真っ青だった。

私は小さく微笑んだ。

その夜。

王宮の噂は一つだった。

病弱王女は天才魔術師。

そして。

遠くの町。

貧民街。

一人の少女が夜空を見ていた。

茶色の髪。

優しい目。

手の中には古い魔導書。

少女は呟いた。

「魔法学校……」

そして。

小さく笑った。

「絶対入学する」

その名前は――

リリア・フラワーズ。

物語のヒロイン。

そして。

私の未来の敵。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

少しでも楽しんでいただけたなら、

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