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転生王女の復讐劇  作者: たま


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5話 王女の策略

数ある作品の中から本作をお選びいただき、ありがとうございます。

拙い部分もあるかと思いますが、最後までお楽しみいただければ嬉しいです。

5話 王女の策略

「……つまり」

私は腕を組みながら言った。

「あなたが私に封印魔法をかけた犯人で」

禁書庫の床に座り込んでいる男を見た。

「その本人が、今は私の師匠になるってことですか?」

「そういうことだ」

ゼノはあっさり答えた。

夜の禁書庫。

月明かりが差し込む中、私はこの危険な魔術師と向かい合っていた。

普通の五歳なら泣いて逃げている状況だろう。

でも私は逃げない。

逃げる理由がない。

むしろ――

この男は利用価値がある。

「一つ聞いていいですか」

「なんだ」

「どうして私を殺そうとしたんですか?」

ゼノは本棚に寄りかかりながら答えた。

「正確には違う」

「?」

「殺すつもりはない」

私は眉をひそめた。

「でも封印魔法は命に関わるって……」

「そうだ」

ゼノは肩をすくめた。

「十五までに死ぬだろうな」

「それは殺すのと同じでは?」

「違う」

ゼノは静かに言った。

「必要な調整だ」

……調整?

意味がわからない。

「この国の未来には、いくつかの分岐がある」

ゼノは指を立てた。

「王族の配置も、その一つだ」

私は息を止めた。

「……配置」

ゼノは私を見た。

「お前は本来、十五で死ぬ」

胸が冷たくなる。

やっぱり。

物語通り。

「そして第一王子は悲しむ」

ゼノは淡々と言った。

「その後、ある少女と出会う」

私はゆっくり言った。

「リリア・フラワーズ」

ゼノの眉がわずかに動いた。

「……ほう」

やっぱり。

この男、全部知ってる。

「なぜその名前を知っている?」

私は答えなかった。

ゼノはしばらく私を見ていた。

それから笑った。

「面白い」

「?」

「やはり普通の子供じゃないな」

私は無視した。

「その未来を作るために、私を封印した?」

「そうだ」

ゼノはあっさり言った。

「お前の死は必要だった」

拳を握る。

怒りが湧く。

でも。

私は深呼吸した。

怒っても意味はない。

「でも予定が変わった」

私は言った。

ゼノはうなずいた。

「お前が自分で封印に気づいたからだ」

「それで弟子?」

「そうだ」

ゼノは私を指差した。

「未来を壊す存在は嫌いじゃない」

私は小さく笑った。

「安心してください」

そして言った。

「私は壊すつもりです」

ゼノの赤い瞳が楽しそうに光った。

「だろうな」

そして。

「なら教えてやる」

ゼノは立ち上がった。

「魔法を」

胸が高鳴る。

ついに。

「まず理解しろ」

ゼノは床に魔法陣を描いた。

「封印魔法は三層構造だ」

「三層?」

「第一封印は魔力回路の停止」

それは分かる。

今までの私の状態。

「第二封印は魔力成長の抑制」

つまり、成長しても魔力が増えない。

「第三封印は――」

ゼノは私の胸を指した。

「覚醒封印」

覚醒?

「王族の魔力は、ある段階で質が変わる」

ゼノは静かに言った。

「それを防ぐ封印だ」

つまり。

私は本来――

もっと強い魔力を持っている?

ゼノはうなずいた。

「お前の魔力量は、普通の王族より多い」

「……え?」

予想外だった。

私は病弱設定のモブなのに。

「だから封印した」

ゼノは言った。

「その魔力は厄介だ」

私は黙った。

つまり。

私は弱いどころか――

危険な存在?

ゼノは私を見て笑った。

「理解したか?」

私は答えた。

「つまり私は」

ゆっくり言う。

「封印されてるだけで、本当は強い?」

「そうだ」

ゼノは言った。

「王族でも特別なレベルだ」

心臓が高鳴る。

これは――

最高の情報。

「封印は完全には解けない」

ゼノは続けた。

「でも訓練すれば、少しずつ壊せる」

「どれくらい?」

「十年」

私は吹き出した。

「長いですね」

ゼノは肩をすくめた。

「死ぬ予定の時間と同じだ」

つまり。

十五歳までに封印を壊せばいい。

それなら――

「余裕ですね」

私は笑った。

ゼノは少し驚いた顔をした。

「怖くないのか?」

「何がですか?」

「私はお前を殺そうとした」

私は首をかしげた。

「でも今は師匠ですよね」

ゼノは黙った。

私は続けた。

「それに」

窓の外を見た。

王宮の庭園。

遠くで騎士たちが巡回している。

「どうせ戦うなら」

私は言った。

「強い味方がいた方がいい」

ゼノはしばらく黙っていた。

それから。

小さく笑った。

「本当に五歳か?」

私は答えた。

「秘密です」

その時だった。

禁書庫の扉の外から――

足音が聞こえた。

私は凍りついた。

夜の図書館に人が来るはずがない。

でも。

足音は近づいてくる。

そして。

扉の前で止まった。

ゼノが小さく呟く。

「面倒だな」

扉がゆっくり開く。

そこに立っていたのは――

金色の髪の少年。

「……エリオット?」

カイト兄様だった。

空気が凍る。

カイトは私とゼノを見た。

そして。

静かに言った。

「やっぱりここか」

私は目を見開いた。

やっぱり?

カイトはゆっくり歩いてきた。

そして。

ゼノを見て言った。

「久しぶりだな」

ゼノは笑った。

「相変わらず勘がいい」

私は息を止めた。

まさか。

この二人。

知り合い?

カイトは私を見た。

優しい目。

でも今は違う。

真剣な目。

そして言った。

「エリオット」

静かに。

「君も思い出したんだな」

頭が真っ白になる。

「……何を?」

カイトは答えた。

「前世を」

禁書庫の空気が完全に止まった。

私はゆっくり瞬きをした。

そして思った。

やっぱりだ。

この人も転生者だ。


ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

少しでも楽しんでいただけたなら、

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