表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生王女の復讐劇  作者: たま


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2/2

1話 王女の覚醒

いつも読んでいただきありがとうございます。

他にも作品がありますので読んでもらえたら嬉しいです。

1話 王女の覚醒

王立図書館の最奥は、昼でも薄暗い。

高い天井まで届く本棚が並び、古い羊皮紙の匂いが漂っている。司書たちでさえ滅多に足を踏み入れない場所だ。

その静かな空間で、私は小さな椅子に腰かけながら分厚い医学書をめくっていた。

「……やっぱり、おかしい」

ページを閉じて、私は自分の胸に手を当てた。

この体には、はっきりとした病名がない。

王宮医師たちの診断はいつも同じだった。

――「体力が弱い」「魔力が少ない」「生まれつきの虚弱体質」。

だが、それは説明になっていない。

前世で長く病院生活を送った私には分かる。本当の医療とは、原因を突き止めることだ。

曖昧な言葉で片付けるものではない。

「魔力の循環……」

私は次の本を開いた。

それは魔法理論の基礎書だった。

この世界の人間の身体には、魔力の流れ――魔力回路が存在する。血管のように全身に広がり、そこを魔力が循環することで魔法が使える。

だが、私の体には問題がある。

本に書かれている図と、自分の感覚を照らし合わせて気付いた。

「流れてない」

魔力が、途中で止まっている。

胸の奥で。

「……まるで、ダムみたい」

堰き止められている。

だから体が弱い。

だから魔法が使えない。

そして――

だから、長く生きられない。

私はゆっくりと息を吐いた。

「……やっぱり」

答えは見えてきた。

これは病気じゃない。

魔法だ。

誰かが、私の魔力回路を封じている。

その時だった。

「エリオット?」

優しい声が聞こえた。

振り向くと、カイト兄様が立っていた。

金色の髪が窓から差し込む光に輝いている。まだ少年だが、すでに王子としての風格があった。

「また難しい本を読んでいるのか?」

私は慌てて本を閉じた。

「お兄様」

「体は大丈夫か?」

カイトはすぐに私の隣に座り、心配そうに顔を覗き込んだ。

この人は本当に優しい。

物語の設定ではなく、心から。

だからこそ――余計に怖い。

この優しさが、私の死をきっかけに別の少女へ向くことが決まっているなんて。

「大丈夫です」

私は微笑んだ。

「勉強してただけです」

「勉強熱心なのはいいが、無理はするな」

カイトは軽く私の頭を撫でた。

その手は温かかった。

前世で欲しかった、普通の家族の温もり。

「兄様」

「ん?」

「もし……」

私は一瞬迷った。

でも聞いた。

「もし誰かが、王族に魔法をかけることって出来るんですか?」

カイトの表情がわずかに変わった。

ほんの一瞬。

だが私は見逃さなかった。

「……どうしてそんなことを聞く?」

「ただの疑問です」

カイトは少し考え込み、静かに答えた。

「理論上は可能だ」

やはり。

「ただし、非常に高度な魔法だ。王族の結界を突破する必要がある」

「結界?」

「王家には代々、強力な守護魔法がかかっている。普通の魔術師には干渉できない」

私は内心で確信した。

やっぱり誰かがやった。

しかも相当な実力者。

「でも安心しろ」

カイトは優しく笑った。

「この城にそんな危険な魔術師はいない」

――それはどうだろう。

物語を知る私には分かる。

この王宮には、裏で暗躍する人物が何人もいる。

宰相。

貴族派。

宮廷魔術師。

そして――

未来のヒロイン。

私は本を抱えながら立ち上がった。

「兄様」

「どうした?」

「私、もっと勉強します」

カイトは少し驚いた顔をした。

「何のために?」

私は答えた。

「強くなるためです」

カイトは優しく笑った。

「エリオットはもう十分頑張っている」

違う。

そうじゃない。

私は心の中で呟いた。

死にたくないだけだ。

「兄様」

「ん?」

「もし私が強くなったら」

私は真っ直ぐカイトを見た。

「ずっと一緒に剣の練習してくれますか?」

カイトは即答した。

「もちろんだ」

迷いもなく。


面白いと思ったら、下の評価★ボタンやブックマークをお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ