第61話 解決方法を考えてみた
俺が首相を殺す案を出したら、黙ってしまったゼロエロ。
「ゼロエロはどう考える?」
促してみると、考えつつ答えてくれた。
『……我は前から答えておる。お主がしたいようにすれば良いのじゃ。だがお主、本当に首相を殺したいのか? 我にはそうは思えん。嫌ならやめておけ。誰かのためにという気持ちは、外れていたら誰のためにもならんぞ』
そう言われて、俺はうなずいた。
「……そっか。そうだよな」
俺は、俺のしたいようにするべきだ。
こんな、知らない異世界に来てまで誰かのために尽くそうなんて考えはやめよう。
「そうだな! 思ったように生きるよ。ありがとな、ゼロエロ」
『魔王は忌み嫌われるものじゃ。じゃが、お前に敵対する者は魔王の裁きでねじ伏せればよかろう。お主には我らがついておるし、お主に勝てる者はおらん。あんなへなちょこ悪党など、一捻りなのじゃ!』
まおうのさばき。
「……なるほどな」
つまり、俺が裁けばいいのか。
納得した俺は、録音機器を作動させる。
「ラクシャリーさん、俺だ。……俺をかばってくれてありがとう。ここに飛ばされて、ラクシャリーさんに会えたのが俺にとっての幸運だった。めんどうをかけてすまないと思ってる」
深呼吸。
「ゼロエロがなんとかしてくれるらしいから、このまま元の世界に帰ろうと思ってた。だけどさ。ラクシャリーさんたちに迷惑をかけたまま、首相に負けっぱなしは俺が嫌なんだ。……だから、これから言うことを首相に伝えてくれ。あるいは、聴かせてもいい。そして、これ以降は何もしなくていい。連絡も。俺が片をつけるから」
十秒数えてから首相宛のメッセージを吹き込む。
「……まさか、お前のような独裁者の治める国とは思ってなかった。お前が娘の犯罪隠蔽のために司法を操りこの俺を処刑しようとしたことを、俺は絶対に許さない。一週間後、お前の前に姿を現す。お前が罪を認め退任すれば、命だけは助けてやる。だが、隠蔽しようとするのなら、お前はもちろん娘の安否もないと思えよ。俺は、帰ろうと思えば帰れるし、俺自身は魔法を使えないが魔剣ゼロエロはあらゆる魔法を使えるんだ。覚えておくことだな!」
録音を切ったら、ゼロエロがカタカタ震えているんですけど?
『わ、我は……あまり人殺しはしたくないのじゃ……』
「おい魔剣」
情けないことを言うなって。
「大丈夫、俺もしたくない。だから、しないように説得しようぜ」
そう言ったら震えが止まったよ。
『な、なんじゃ脅すな!』
「いや俺、お前は脅してないよ?」
脅したのは首相だよ。
持っていってもらおうと思って鳥を探すと、鳥はユキと仲良くとまっていた。
ちょっとほっこりするよな。
「おーい、これをラクシャリーさんに届けてくれー」
鳥に声をかけると「プェーッ」と鳴きながらこちらに飛んできた。
ん?
ユキも飛んできたよ。
持ちやすいように袋に入れて鳥につかませる。
「大丈夫か?」
「プェーッ」
たぶんオッケーって言ってる。
そして飛び立った。
「よろしくなー……って、ユキ!?」
ユキもついてったんだけど!?
『敵の偵察に行ったのじゃろ。アレの使い途はそういうのなのじゃ』
敵……というと、首相か?
「ペットかと思ってた……」
現在、鳥と猫にしか変化できないんだけど、大丈夫かな。
【ちょっとしたお知らせ】
3か月連続刊行だったので、初めてお便りコーナーにお便り出してみたのです。
で。
無事、掲載されました!
https://blog.syosetu.com/article/view/article_id/5059/
2月10日から1週間ほどはお知らせバナーに載るかなと思います。
気が向いたら読んでみてください。




