第48話 また重要遺失物管理室へ行ってみた
重要遺失物管理室に入り、再び物色する。
ゼロエロが、この刀は単なる武器だと言っていた。
……つまりは、この刀を使っていた奴は、武器で戦っていたってことだ。
魔法じゃなく、武器でだ。
――ソイツ、俺と同じように魔法が使えなかったんじゃないか?
だから、己の肉体を鍛え上げ、武器で戦った。
魔法が使えないから、魔道具を持っていた。
魔法が使えるのなら無意味な機能だけど、使えない者にとっては便利な機能の道具をな。
「ゼロエロ、物色してくれ。『魔法が使えるのなら無意味だけど使えないのなら便利』って道具だ」
『……ここにあるほとんどがそうじゃろ?』
ゼロエロが呆れたように言った。
……確かに!
「追加条件。ハリー、ゼロエロ、釘バットが持ってない機能を持っている」
『いや、我が魔法でほぼ網羅するぞ』
「でもゼロエロは料理ができないだろ? 食材の加工だって、ハリーがやってるじゃないか」
『できないのではない。やらないだけじゃ。……うーむ、わかったのじゃ。我がやらないことでハリーにない機能のものじゃな』
食器だって出せないだろうが……ってツッコもうかと思ったけど、もしかしたら出せるのかもしれない。やらないだけで。
薪だって、やろうと思えばゼロエロも加工できるらしいし。
ビーネさんは、刀とキャンパーグッズと一緒に出てきたというものを出してくれた。
「ほとんどヒムロ氏にお渡ししましたが、これを渡してなかったですかな。……用途がわからず、そのまま置いてありました」
出てきたのは、ライフルのような形状のもの。
「これか……。スリングライフルだな」
スリングショットの強力版。
こっちの材料で作られているから、古代遺跡物でも使用可能なのか。ゴム部分が劣化していないようだ。
弾もあった。
『ふーむ。なかなか凶悪な武器じゃのう。これにその呪弾をセットして飛ばすのじゃろ? 当たったら吹き飛ぶぞ』
「そりゃ、凶悪だな」
魔獣用じゃないな。
木や岩を吹っ飛ばすとか、そういう用途なんだろう。
「もらってく」
『おい魔王!? 何に使う気じゃ!?』
ビビリのじゃロリ剣が尋ねてきた。
「いやコレ、獣道を歩くときに行く手を塞ぐ木や岩を破壊する用途だと思うぜ? ゼロエロが魔法でできるだろうけど、念のため俺も持っておこうと思ってさ」
ゼロエロが安堵したように返した。
『な、なるほどな? 我、これで魔物を木っ葉微塵にするのかと思ったのじゃ』
「肉が食いたいから、そういうことはしない」
もったいないだろうが。
あとは、暗闇でも光るし雨でも落ちない目印を書くペンとか、野営するときに煙や匂いを周囲に飛ばさない吸引器、誰か近づいたら鳴る鈴、痕跡を消す箒、具体的に何に使うのか不明な多目的道具(謎の箱)なんかがある。
ビーネさんが持ってきつつしみじみと言った。
「これは、確かに今のヒムロ氏と同じ職種の古代人が使っていたようですなぁ。明らかに、外で魔獣と戦い外で寝泊まりする者が使うと便利な道具ばかりです。魔法でもできるのが多いですが……得手不得手がありますので、こういった道具を使ったほうが楽、というのもあります」
俺は苦笑した。
「ま、それもあるけど。……武器で戦うって発想がもう、俺と同じだろうなって思うぜ? アンタ等は武器で戦おうなんて思わないだろ?」
「……確かに」
ビーネさんとラクシャリーさんがうなずいた。
「ひとまず借りるわ。……で、次はどこに行けばいい?」
それらをタロウの中に入れ、俺は尋ねた。
「次は、町の外れです。ここは最初に行ってもらった古代遺跡物の建物と同じで、すでに職員が滞在して管理しています。同じようにロックがかかっている扉がありまして、そこを開けられるか試してもらいたいのです」
ビーネさんに言われ、うなずいた。
出ようとしたら、ゼロエロが声をかけてきた。
『おい。これも持ってけ』
ゼロエロが指し示す。
よくわからない白い粘土だ。
「いいけど……なんだコレ?」
手に持ったら、ちょっとだけ重い。
「ビーネさん、コレって何?」
「……用途が不明の塊です。大切に保管されていたので恐らく有用なものなのでしょうが……」
ビーネさんもわからないなしい。
『いつか役立つ。役立たなくても、ここに保管されているだけではもったいない。お主が持っておけ』
……つまり、タロウやハリーや釘バットのように意思を持っていると。
「オッケー。じゃあ、飼ってやるよ」
そう言ったら、ピクピクッと動いた。
やっぱりそういう感じなのか。
「飼うのはコレだけでいいか?」
『他はないのう。置いていかれてショックだったようだぞ』
「この見た目で持っていけって言われてもな……」
単なる白い塊にしか見えないし。




