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異世界転移者、魔剣を携え旅をする~魔法が使えないけど、愉快な古代遺跡(生)物たちが助けてくれるので問題ナシです  作者: サエトミユウ


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第45話 投げてもいい刀で演舞をしてみた

 ――というわけで、亜人に初めて遭遇したが二度と遭遇したくないかもしれないと俺は思った。


 それぞれがプライド高いとか言ってるし。

 無理だよ。

 俺、いばり散らされるの嫌いだもん。

 ぶっ飛ばしそう。

 しかもこの世界の連中ってひ弱だから、俺がぶっ飛ばしたら死んじゃいそうだしな。


「……他にどんな亜人がいるんだっけ?」

「エルフの他には、ドワーフ、ゴブリン、ノーム、オーガ、マーマンと交流しています。オーガとマーマンが好戦的なんですよ。ただ、マーマンは陸上では戦おうとしませんし基本は海辺にいますので、オーガに関して警戒してください」

 ブランドー氏が真剣に注意してきた。


 オーガって、鬼だろ?

「へぇ、強いのか。そりゃ、会うのが楽しみだな」

「強いと言いますか……魔法に長けています。すぐ魔法合戦をしたがりますし、人間とは違う魔法を使ってきますので注意してください」

「はァ?」


 オーガなのに、魔法なのか?


「いや、釘バットもビックリの凶悪で重い棍棒を振り回すとかじゃないのかよ」

 鬼なら、その怪力で金棒を振り回せ。


 そしたらブランドー氏が呆れた顔をする。

「アレが持てるのは、世界で唯一、ヒムロ氏だけですぞ?」

『お主、本ッ当に魔窟出身じゃな! そんな凶悪な生物は亜人ではないわ! むしろお主だわ!』

 口々に言われたよ。


 ブランドー氏がものすごく不安そうな顔になったのだが、

『ブランドーとやら、安心せい。コヤツが釘バットを振り回せばオーガもすぐ退く。彼等も、凶悪な武器を振り回す魔王と戦おうなどとは思わんじゃろ。挑んだら殺されるのが、見ただけで理解できるわ』

 とかゼロエロが抜かしたら、とたんに安心した顔に変わった。

「ですよねー。なら、安心しときます」

 なんか言われてる気がするんだけど?


 ――この世界、いい奴が多いって思ってたけど、偽兎獣人といい今回の高飛車エルフといい、そうでもないんだなということがわかった。


 結局、個を見るしかない。

 そして亜人は悪い奴だらけ。

 それが今回の収穫だった。


          *


 局に帰り、ハリーを広場に駐めた。

「いやー、トラブル続きですが、それでも楽ですなぁ!」

 ブランドー氏がご機嫌だ。


「だんだんこの世界の常識がわかってきたから、今後はトラブルも減るよ。亜人は見捨てる。威嚇のために釘バットは背負っておく、投げてもいい刀も吊す」

 と、いうことで、現在は刀とゼロエロの二本を腰に差している。

 ちなみに日本刀ではない。

 刀っぽい、片刃のちょっと反っている細長い剣で、かなりデザインチックだ。

 西洋人が日本刀をイメージして造ったファンタジー武器、って表現が正しい気がする。


「……コッチは投げてもいいんだよな? お前みたいに泣かないな?」

 念のためゼロエロに尋ねた。

『大丈夫じゃ、それは魔剣ではない。単なる武器じゃ』

「釘バットも単なる武器だと思っていたんだけどなぁ」

 箱入りお嬢様みたいだから、見た目で脅す以外には使わないようにしよう。


 刀の鞘を払うと、刀身が黒い。

「ゼロエロよりも魔剣っぽい見た目だよな」

『どういう意味じゃ!?』

「ゼロエロ、お前も魔剣なら『今宵の妾は血に飢えておる……』とか言えよ。そして人をバッサバッサと斬り殺せよ」

『怖ッ! お主、怖ッ!』

 ゼロエロが叫んだ。

 ……お前、本当に魔剣か?


「んじゃ、コレはコテツって名前にしよっかなー」

 どうせなら、コッチが魔剣になってほしいね。あ、刀なら妖刀か? ムラマサのほうが良かったかな。


          *


 ブランドー氏は報告に行ってしまったので、それまで俺はコテツで演舞した。

 このあと肉パをするけど、準備はハリーがやってくれるから、俺はやることがないんだよね。


 コテツの柄の部分、太さが均一でないから持ちづらいかなと思ったらそうでもなく、意外としっくりくる。

 突き、払い、体勢を整え、払い、払い、払い、体勢を整え、突き、突き、突き、払い……。

 何度か繰り返していると刀が馴染んでくる。

 ……妖刀じゃないよな? いや別に俺は血に飢えてはいないけど。

 なんというか、振っているうちにどんどん刀が馴染んでいく感じ。


「……ゼロエロ。コレ、本当に魔剣や妖刀の類いじゃないよな?」

『違うが、お主が振り回しておるとそう思えるよな。我、めちゃくちゃ怖いのじゃ。その刀で我を斬ろうとなど思うなよ? 我、真っ二つになるのじゃ』


 ゼロエロさんや、震え声で言うのやめてくれないかな。

 何? 雰囲気出してるの?


 演舞を終えて一礼し、ふと周りを見渡すと、ものすごい数の人に見られていた。顔面蒼白で。

 ギャラリーの中にラクシャリーさんを見つけたので手を振る。

「肉、狩ってきたから肉パしようぜ!」

 そしたらラクシャリーさんがハッとしたような顔をして、笑顔を返してくれた。


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