第42話 戦ってたのは誰か確かめてみた
『うぅう~……。【洗浄せよ】』
唸りながら詠唱したと思ったら、ゼロエロが綺麗になった。そして飛んで帰ってきた。
『お主はぁあ……! 我をなんだと思っておるのじゃ!?』
なんか知らないけど怒ってるぞ?
「よく喋る剣だと思ってるな」
俺が返したら、また怒鳴る。
『我は魔剣じゃ! 投げる武器ではないッ!』
「なんでだよ? 俺のいた世界だと、投げられるものはなんでも投げるぜ?」
なんで魔剣は投げないことになるんだ。意味不明。
俺がワケがわからないでいると、ゼロエロは怒鳴るのをやめた。
『……うぅ……。本当にお主のいた世界は魔窟じゃな……。あんな野蛮な戦い方、我は初めてじゃ。ビビったのじゃ』
……悲しみ始めたので、さすがに悪いことをしたなと思った。
なんか、話し方からしても幼女っぽいし、剣だけど投げちゃダメなのか。
「わかったよ、悪かった。もう投げないから泣くなって」
『うぅう~』
ゼロエロが子どもが嘆くような声を出している。
うーん、本格的に悪いことをした気分になってきた。
「ごめんな。もう投げないって。お前は剣の形をした魔法使いってことで理解したから。……確か、刀があったはずだから、武器としてはソッチを使うわ。そっちなら、投げても斬ってもいいんだろ?」
『……それはそれで、嫌じゃ』
とか言いだしてるし。
「いや、投げられるの嫌なんだろうが。……乙女なんだろ? それを理解したからさ。お前はお前の戦い方をしろよ。俺は武器の扱いが雑だから、雑に扱ってもいいのが使いたいんだよ。……釘バットも用途が違うって言うし、だとするとあの刀しかないんだからさ」
『…………。投げるのはソッチを使え。我は、魔法を放つ役割じゃ』
「これからそうするよ」
ゼロエロを鞘に収めると、ヒシとベルトでしがみついてきたよ。
なだめるように柄をポンポンと叩く。
「悪かったから。ごめんな」
『……もういいのじゃ』
甘えたような拗ねたような声でゼロエロが言った。
よかった。
――そっか、ガチで古代遺跡生物なのかー……。
ゼロエロをヨシヨシと撫でつつ、俺はブランドー氏とともにキラータイガーの近くまで歩いた。
戦ってたのは……あ、人間じゃないかもだ。見た目は近いが、ちょっと違う気がする。
ブランドー氏を見ると、微かにうなずく。……どうやら亜人らしい。
亜人は、キラータイガーの頭が吹っ飛ばされたその肉片と返り血でけっこうひどいことになってる。そして、腰が抜けたのか座り込んでいる。
俺たちが近寄ると、呆けたように俺たちを見て……そして、俺をガン見してきたんですけど。
…………?
睨まれてるのか?
嫌な予感がしたので、
「……ブランドー氏、任せた」
と、小声で言った。
ブランドー氏は心得たと言わんばかりに話し出す。
「災害対策局の者だ。この付近に出没する魔物の駆除にやってきた。恐らく、このキラータイガーのことだと思うが……。貴方は討伐しようとしていたのか?」
丁寧に尋ねているな。
異種族だからかな。




