第39話 またドライブしてみた
二人を乗せて山道を下ると二人が歓声を上げる。
「こういうのって、経験がないからとても楽しいわ」
ラクシャリーさんがはしゃいだ声で言うと、俺は笑ってラクシャリーさんを見た。
「俺のせいで迷惑をかけてるし、こんなんでいいなら、いくらでも連れてってやるぜ?」
途端にラクシャリーさんが真っ赤になった。
『……お主、けっこう口がうまいな?』
と、ゼロエロが冷やかすような口調で言った。
俺は眉根を寄せてゼロエロに言い返す。
「どういう意味だよ。俺は、コッチに来てからラクシャリーさんには迷惑のかけっぱなしなんだ。同僚のやらかしといい、贋作の盗人兎といい。彼女の気分転換になるのなら、感謝の気持ちとして俺ができることをやったほうがいいだろ」
『我にもかけておるのに、なぜにそのセリフがでんのじゃ?』
そう質問してきたので言い返す。
「これ以上迷惑をかけないために倉庫に戻してやろうか」
『我、ぜーんぜんなんとも思っとらんぞ! わーいドライブ楽しー!』
ゼロエロの言いっぷりに俺は笑う。
「ちゃんと感謝してるよ、ゼロエロ」
そう言うと、ゼロエロがとたんにご満悦になった。
『そうじゃろ! 我、すごかろ!?』
「すごいすごい。そのセリフさえなきゃ、もっとすごいって思えたんだけどなぁ」
俺がツッコんだ。
局に着いたので二人を下ろした。
俺も猫を連れて下りて、災害対策局に向かった。
「おーい、ブランドー氏」
「おぉ、ヒムロ氏。どうした?」
何やら隊員を指導していたっぽいブランドー氏がこちらを見る。
「古代遺跡物レベルの猫を拾ったんだ。健康状態を見てくれない?」
「は?」
キョトンとしたブランドー氏に、かくかくしかじかと説明する。
ブランドー氏、憤った。
「けしからんな! このような小さく弱い仔を捕まえ、よりにもよって魔法袋に入れるとは!」
「だよなぁ」
古代人って、けっこう人の心がない気がする。
子猫の事件はまさしく、って感じだが、ゼロエロも古代から放置されていたらしいし(ただ、アイツの場合は口の悪さが災いして自業自得って気もするが)、他の古代遺跡物もあまりかわいがられていなかった雰囲気だ。
インテリジェンスアイテムには知能だけじゃない、感情もある。
なのに、道具として雑に扱われ挙げ句放置するってさ、ひどくないか?
人の手で作られたものとか、そういう区分けをするなよ。同じ人間として扱えとは言わないが、害獣よりは有益なんだから、もう少しかわいがってやれって。
ブランドー氏は猫の検査を請け負ってくれた。
案の定、魔法での検査だ。わかってたけど!
「……いつから入っていたのかわかりませんが、健康状態に問題は見られません」
ってことだった。
「おー! よかったな!」
子猫たちの頭部をカリカリ撫でるとゴリゴリ頭突きしながらこすってきた。
でもって、指をベロベロ舐めてくる。
『……魔王が小動物に優しくすると善き者に見える説……』
ってゼロエロがまだ言ってる。
「それな!」
って、食い気味でブランドー氏が同意してたんだけど。
どういうことだよ。




