第29話 道を作ってみた
ゼロエロはおかしなことを言っているが俺を慰めてくれているのはわかったし、確かにウダウダと考えるよりぶっ飛ばしたほうがいいなと思った。
現状、俺しか古代遺跡物を扱えないんだから、あの偽兎獣人が何をわめこうが俺の方がレア度が高いだろう。
悔しかったらこの剣を持ってみろってんだバーカ!
ということで、気を取り直して次の遺跡に向かう。
次は、山の中にあるってことだ。
いろいろ問題があって、調査が進んでいない遺跡だという。
問題ってのは、主にフィジカルがないせいで、だろうな。頼みの魔法でどうにかならない場所にあると、調査に行き詰まるらしいよ。
「……とはいえ、俺もさすがに道なき山にうかつに入ると遭難するかもしれねーんだよな」
山道の入り口付近に立って腰に手を当てどうするか悩む。
『そうじゃな……。我の考えとしては、①ハリーにて目的地まで飛ぶ。②我が目的地までの道を切り開く。……このあたりが妥当だと考えるぞ』
ゼロエロがそう言ってのけた。
俺は思わずゼロエロを見た。
「ゼロエロ……お前、道が作れるのか!?」
『当たり前じゃ。我は魔剣ぞ? その程度、造作もないわ!』
ふんぞり返るような声音でゼロエロが言う。
ポンコツ剣、意外とすごかった。
さて。
さすがに目的地一直線の道を作ると傾斜が急すぎるだろうから、蛇行する道を作ってもらうか。
俺が歩けるくらいの道幅でいいのだが、ハリーを置いていくとまたトラブルが起きそうなので(さっきので懲りた)ハリーが通れるくらいの道幅にしよう。
ゼロエロと相談しつつ、道を作っていく。
『【破壊せよ】』
カッコいいからという理由のみで剣先を突きつけているが、誰も見ていないのに意味はあるのだろうかと考えてしまう。
いいけどな。
何事にもカッコつけが大事なのは、よーく理解できる。
魔法がバキバキと木の根元を砕き、それを俺がハリーの荷台に放り込んでいく。
さすがに何トンもありそうな木を持ち上げられるのは不可能だと思ったんだけど、なんかできた。
倉庫にあった服、〝身体強化〟の魔法が付与されているらしい。
『お主はまれに見る魔法が効きづらい体質なのじゃが、外側を強化するので多少効果はあるようじゃ。まぁ本来はその何十倍も効果があるが……お主がそんな怪力になったら世界が崩壊しそうなので、結果良かったのじゃ』
のじゃロリが、のじゃのじゃと余計なことを言っている。
「魔法が効きづらいのは困ったな。怪我をしたときお前に治療してもらおうと思ってたのに」
俺がそう言ったら、ゼロエロがうなった。
『うーむ、治療魔法も使えんことはないが、人間に使うと痛いらしいぞ。おとなしく薬を飲むのじゃ』
ゼロエロがためになることを言った!
そうか、治療魔法は痛いのか。いや怪我をしても痛いけどな。
おとなしく薬を飲もう。
応急キットをもらってきているし、遺失物管理室にあった謎の治療キット(ゼロエロが勧めた)もある。
木を砕き、道を作りながら進んでいたら途中でちょっと開けた場所に出た。
地面も平らだし、ちょっと休憩するか。
「ゼロエロ、なんか休憩出来そうな場所があるからここでひと休みするわ」
疲れたわけじゃないが、あとどのくらいかわからないのでいったん別の作業をしたい。
『ふむ。別に構わんが。目的地はまだまだ先だからの』
オゥ……。
ゼロエロから聞いて、目的地まではけっこう遠い道のりなのがわかった。




