第15話 町を見て回ってみた
せっかくなので、俺はまず町を見て回ることにした。
「せっかくだし、ぜひゆっくりと町や観光地を巡っていってちょうだい。この国を気に入ってくれるとうれしいわ」
と、ラクシャリーさんが笑顔で言い、他の人も笑顔でうなずいていたから観光することにした。
ある程度は経費で落ちるから欲しいものがあったら買っていいとも言われている。
ただし、魔法が使える前提で作られているのでゼロエロと相談しながら買え、とのことだった。
ラクシャリーさんは面倒見がいいな。と、思う。
冷たい印象を与えるし俺をここに飛ばしたドークリー氏への呪詛がすごいが、それでもいろいろと手を回して俺が快適に過ごせるように配慮してくれている。
俺に『全局長官補佐 兼 遺失物管理局局長補佐 兼 災害対策局特別部隊隊長』とかいう、長すぎて煙に巻いているとしか思えない肩書きをくれて、バッジやら紋章やらを作ってくれた。通常なら魔法で貼り付けるらしいが俺の服は魔法を弾くので、普通に縫いつけた。
その服を着て町を歩く。
町を見て回った第一印象は――。
「おぉ、ファンタジックだ」
偉い人が集まっている――つまりはこの国の中枢の町だけあって、カッコいい。
石畳の道路、木造や石造りの店。
硝子張りされたショーケースにはファンタジックな道具が並んでいる。プラスチックなんかなくて、木や石や金属、ガラスみたいな物から出来ているんだよな。
オープンテラスのカフェもあり、注文したドリンクが注文した人のところに文字通り飛んでいく光景が目に入った。ヤバいな、さすが魔法の国。
俺がもの珍しそうに見ながら町を歩いていると、皆が俺を珍しそうに見る。
……ローブを着てないからな。でもこの服は古代遺跡物らしいから、昔は着ていたはず。
そう珍しいもんじゃないと思うけど。
花屋っつーか謎植物がたくさん並べてある露店に、食いつかれたら食いちぎられそうな形をしている植物があった。
うわ、怖ッ!
「イケメンの兄さん、外国の人?」
俺がしげしげと眺めていたら露店のねえさんに声をかけられた。
「そう。遠い国から来た」
カタコトで返す。
ねえさんが俺のバッジを目にしてつぶやく。
「政府の人かぁ。……なんかめちゃくちゃ強そうだから災害対策局の人?」
それもあるな、とうなずいた。
……にしても、見ただけで強そうって言われたんだけど。なんでだ? 服装?
って考えていたら言われた。
「服も見たことがないし……持ってる魔道具が凶悪!」
なるほどな。釘バットのせいだな。
作ってよかった釘バット。けん制に役立つ。
「全部、古代遺跡物」
そう言ったら目を剥かれた。
「えっ!? マジで!? 政府の人はさすがだね! ……でも、あまり言わない方がいいよ。他所の国は知らないけど、ココだと古代遺跡物はそれこそ庶民の手には届かないほど高価なものだから。盗まれたら大変だよ?」
心配されたので手を横に振った。
「問題ない。古代遺跡物、魔法使えない。とても重い。持てない」
「は!?」
試しにバッグを渡す。怖々と手を伸ばし、掴んで……。
「重い重い重い無理無理手首が折れるし!」
ちょっと力を抜いただけでそんなことを言いだした。
「俺、魔法使えない。俺の国、魔法、ない。だから重い物、持てる」
涙目になったねえさんが俺の言葉を聞いて驚いた。
「えっ!? 魔法が使えないの!? 大丈夫なの!?」
『大丈夫じゃ、我がついておるのじゃ』
ゼロエロがしゃべりだした。
「えっ!? 剣がしゃべった!?」
ねえさんに驚かれたよ。ファンタジーなこの国でもしゃべる剣は珍しいらしい。




