福音書か、はたまたパンドラの箱か…
序章…
さてさて、皆様ご機嫌よう。本日は本会場へ、ようこそおいで下さいました。
本日の物語は今までのように、有名な作家によるドラマではございません。
いえ、そう断言は出来ませんな。何故なら誰がいつ何時に執筆したのか、解らないのですから…
え?そのような得体の知れないモノをなぜ選んだか…
ふふふ…いや失礼。そう思うのも無理はないでしょう。ただ、何が入っているか解らない箱の中身を、確かめずに放っておけますか?
…いや、貴方は好奇心が先行してしまうタイプのお方だ…なに、目を見れば解りますよ。職業柄ね。
さて、前置きはこれ位にして…では始めますか。この時間が、皆様にとって素晴らしいモノになりますように…
第一章「始」
今日も日差しが眩しい7月16日。私はやっと午前の業務を終えて、ランチに洒落こもうと思っていたのだが…
「如月局長、お電話です」
…はぁ、私って本当に運が悪い。幸せが余計に逃げるようなため息をつきながら、受話器を取る。
「よう弥生、元気してる?これからランチでも如何かな?」
「…現在、如月弥生は外出中です。では…」
「ちょちょちょ!つれないなぁ…仕事の話だよ」
電話先の人間が、春野久遠であることは、取り次いだ局員の冷たい視線で分かっていた。彼女にも、そろそろこいつに慣れてもらわないといけないなぁ…
「で、今回は何?」
「そっちに指令書がもうじき届くはず」
…ならば電話する意味が無いじゃないか。しかも、届くのは「力」を使ってからだし…
まぁ愚痴っても仕方ない。机の上のサボテンに、意識を集中させ、静かに目を閉じた。
「相変わらずサボテン相手に瞑想中なのか?」
「うるさい、気が散る」
意識の中に、白い鳥がはばたいている。そっと近付いていく私。そしてそっと抱き締め、目を開けた。
…いつも通り、手には白い封筒が。
これが私の持つ「暦の力」。2月3日生まれの「フミ」、つまり「文」。所謂手紙ってやつ。
誰か(人以外でも若しくは…)に届けられるものなら、大体は自由に操れる。
この力のお陰で郵便局長なんて仕事が出来てるんだけどね。あくまで表の顔だから、そこ迄真面目にやってないけど…
届いた封筒の中身を読んでみる。
「…また国家の重要機密が盗まれたの?」
「ああ、しかも誰もその足取りが掴めないそうだ。しかも機密保持者が惨殺されたのを、さっき見てきた」よくその後にランチに誘えるな…と考えたのは置いといて。
今回の事件と遭遇したのは、ざっと一月前。雷雨の激しい夜だった…




