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心の光
旅の終わりにイロハがたどり着いたのは、小さな湖のある村。
そこで、オーラが“見えない”人に出会う。少年・トキ。
イロハは戸惑う。トキの周りには何の色も見えない。
けれど、彼と話していると、不思議と安心する。
まるで、逆に自分の色が映し出されているような感覚。
トキは言う。
「色が見えない?それなら、僕が君の話を聴くよ。」
初めて、イロハは自分の想いを語る。
祖母を亡くした悲しみ、色が見えることの孤独、でもその色が自分を導いてくれたこと――。
語り終えた時、トキのまわりに、淡い虹のような光が現れた。
イロハは気づく。
色は、見ようとする心がある時に、誰の中にも宿るのだと。
旅の終わりは、新しい始まり。
イロハはノートにこう書く。
「想いは声より静かで、でも光よりも深い。」