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色を聴く

次に訪れたのは山の集落。

イロハが見かけたのは、緑と黒が交差するオーラの少女・ナナ。

自然と共に暮らしているが、言葉にせずに距離を置くような、閉ざされた雰囲気をまとっていた。


ナナは植物と話せると言うが、人と話すのは苦手だという。


イロハは何度も訪れ、ただ隣で黙ってお茶を飲み、風を聴いた。

ある日、ナナがぽつりと呟いた。


「私ね、母がいなくなってから、人に頼るのが怖くなったの。」


緑の中に混じる黒は、恐れの色だった。けれど、イロハが何も言わずうなずくと、黒が淡く溶けていった。


「私、ずっと言いたかったんだ。『寂しい』って。」


イロハはそっと手を取り、「言えたね」と笑った。


ナナのオーラに、やわらかな春の黄緑が生まれていた。

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