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7、仕事はまた変わる

投稿時間が遅れてしまい、申し訳ありませんでした。

以降、最善の努力をしていきたいと思ってます。

 パン屋と書かれた大きな看板、しっかりと肩を揃えて並んでいるパン、店内に流れる音楽。商売敵のお店は、いかにも立派なパン屋みたいな店だった。店内に見える恰幅の良い男の人が店長であった。優しい人だと良いんだけどなぁ。そんな期待通り、見た感じだけは悪そうな人では無かった。


「今日は何の用ですか?」


「...その、少し行った所でパン屋をやっているんですけど。」


「ああ、あそこの。それで?」


「その材料の件で。」


「何か問題が?」


「材料が買えなくて困ってるんです。ですから圧力をかけるのを━━」


「話になりませんな。そちらの都合ばかり言われても困る。こっちも遊びでなく仕事としてやっているんだから。」


「どうすれば?」頑張れ、シルさん。いざとなったら、私が話をまとめよう。私だって、遊びじゃなくて仕事でやってるんだし。


「こちらの要求も聞いてもらわないと。」


「内容は何ですか?」


「そうですね、そちらで作っているパンのレシピを教えていただきましょうか。これが私の提示する条件です。」してやったと言わんばかりに、唇の端が上にふっと動いた。


「...っ!」


「分かりました、お教えしましょう。」


「ハルヒさん、何を。」シルさんはまさか私が簡単にレシピを言うとは、思ってもいなかった様子だった。


「シルさん、あとで詳細は話します。では、店長さん、どうぞ。」


「うむ、4種か。」


「これが精一杯ですから。」4種類も書いてあげたんだから、感謝してもらいところだ。それなのに、不満そうにしているのは納得がいかないが、顔は笑顔のままキープである。


「では、交渉成立ということで。」


「契約書をいただけますか?」


「ほら、これで良いだろう。」さすが腐っても商人、契約とかに関する準備は良いようだ。


「圧力のこと忘れないでくださいよ。」


「くどいな、分かってる。」そう言うと、私たちなんかお構いなしに、スタスタと部屋の奥に戻って行った。




 もらった契約書をシルさんを渡して、私たちのパン屋に戻ることにした。帰る道すがら、彼女は契約書を見ては遠くを見るのを繰り返していた。自分が契約をしたという実感が湧いてこないのでああろう。


「ハルヒさん。」


「どうしましたか?」


「パンのレシピを4つも教えて良かったの?」


「大丈夫です。教えたのは実質2つですから。」


「でも、4つって...。」シルさんは私が何を言っているのか、いまいち掴めていないようだった。まあ、私がシルさんでも、何も分からないだろうが。


「ちょっとレシピに仕掛けをしたんですよ。」


「仕掛け?」


「はい。例えば、アンパンのレシピは、あんこを入れるって書いておいたんですよ。」


「そういうことですか。あんこを知っている人は少ないでしょうからね。」


「そういうことです。」あんこを知っているのは、私だけだろうが。


「でも、また圧力をかけられるんじゃ...。」


「その時のための契約書です。」


「さすがハルヒさんですね。」


「ありがとうございます。」私たちは向かい合うと、フフフと笑みがこぼれた。人の考えの斜め上を行くのは、ちょっと気持ちが良かった。




 家に帰ると、何だか眠くなってしまったので、明日の仕込みだけして寝ることにした。最近は、パン屋にも慣れてきた。2つ目の仕事が身近なもので良かった。名前しか知らない仕事とかじゃなくて良かった。


「ハルヒさん、今日は好きにして良いよ。」


「でも、パン屋は?」


「もちろん、営業するよ。私のパン屋は年中無休だからね。」


「それだったら。」私だけ遊んでいるなんて、何だかちょっと悪いことをしているみたいでイヤだ。


「昨日がお手柄だったでしょ?」


「まあ...。」


「ほら、頬を膨らませてないで、この村の見学でもして来なよ。サンディ村長にも聞いたけど、この村に来てからずっと働いていたんでしょう?」


「それもそうですが。」


「ほら、過労死しちゃうよ。」


「分かりました、行ってきます。」ここで遊びに行かないと、シルさんの言う通り、前世と同じく過労死してしまいそうなので、この村をぶらりと歩き回ることにした。


(やっぱり、のどかだなぁ。)


目の前には何とも形容しがたい光景が広がっていた。都会と田舎の良いところを足し合わせたら、この村が

できるんだろう。本当に村長のサンディはスゴい。


「誰か、御者はいないかい?お兄さん、頼むよ。これを早く届けないと、私たちが...。」切羽詰まったようなことをしていた。御者か、ちょっと面白そうな気もする。


「悪いが、息子が病気なんだ勘弁してくれ。」


「あなたは?」


「俺は足を怪我しててな。これじゃあ、まともに立てもしないんだ。」


「そんなぁ。」


ここで見て見ぬふりをするのは簡単だし、普通に考えるとそれが良いのだろう。でも、私には女神様からもらった力がある。どんな仕事の適正もAランクというものだ。これを使えば、初見でも馬を操れるはず。


「その。」


「あなたは?」


「実は、私で良ければ御者をしますよ。」


「えっ!」門を曲がった時に、突然出てきた誰かとぶつかった時のような驚き方だ。そんなに驚かなくても。


「別に嫌なんでしたら━━」


「いえ、そんあことありません。若い女性の御者が珍しかったもので。ぜひ、お願いします。」


「はい。」


「では、今行きましょう!」


「今ですか?」


「そうです、今です。」


「分かりました、荷物を取ってくるので10分ほど待っていてください。」


仕事を引き受けてしまったのだから、依頼人の要望にはできるだけ応えなくては。それにしても、この村とはさようならか。まだ漁師とかもやりたかったんだけどなぁ。そんな私を勇気づけるかのように、まだ昇りつつある太陽が、私を後ろから照らしてくれた。

さて、次の仕事をどんなものなのでしょうか?


まだ初心者で改善点があると思うので、なにかあれば感想で教えていただけると助かります。

もし面白いなと思っていただけたなら、ポイントやリアクションもお願いします。

今後とも八咫烏をよろしくお願いします。

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