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4、パン屋は難しい

 私は農家の仕事をやり切った満足感を感じながらも、もうちょっと手伝いたくて少し後ろ髪を引かれていた。でも、次の仕事に集中しなければ、失敗したらサンディさんの顔に泥を塗ることになる。どんな仕事でもしっかりとこなさなければ。


「今日からはここで頼むよ。」


「ここは?」


「まあ、とりあえず入ろうか。」


「分かりました。」


ドアを開けると、パンか何かが良い具合に焼ける香ばしい匂いがふわりと鼻に入ってきた。この匂いがするということはあの店で確定だろう。


「パン屋ですか。」


「よく分かったね。まあ、こんな良い匂いがする場所は他に無いからね。」


「村長、今日はよくいらっしゃいました。すでに用意はできています。さあ、あなた来てください。」近所のお姉さんのような人に連れられて、お店の奥へと入っていった。サンディさんは満足そうに店を出て行った。


「あなた、名前は?あ、私はシルビー、シルって呼んでね。」


「私はハルヒです。今日から色々とよろしくお願いします。」


「じゃあ、まずはパンの作り方からだね。さあ、おいで。」


「分かりました。」


「じゃあ、私のを真似して作ってみて。」そう言って生地をこね始めた。そして、手早く粉を引き形を整え始めた。


「スゴいですね。」


「なぁに、小さい頃からやっていただけだよ。ほら、この生地でやってみな。」


「ありがとうございます。」


「口より手を動かしな。」


「はい!」まだまだ言い足りない聞き足りないことはあったが、これは遊びではない。真面目にやらなければ、生きていけない。




 手に生地の匂いが染み込んでしまったようだった。こんなんじゃ、外も歩けない。それに、ずっと立ちっぱなしで足も痛いし。やっぱり、仕事は大変だ。


「どうだいハルヒさん、調子の方は?」


「まだまだですけど、サンディさんのためにも絶対に上手くなってみせます。」


「そうかい。」


「はい、頑張ります。」


「じゃあ、上手くなったら知らせておくれ。楽しみに待っているよ。」ハハハハッと肩を揺らしながら帰っていった。本当に、毎日が楽しそうな人だ。


「ハルヒさん、夕食よ。」


「はーい、今行きます。」




 昨日まで広がっていた野菜畑の風景は胸に押し込めて、しっかりパンの作り方を学ばなければ。などと、夕食を食べ終わってからベッドの上で考えていると、いつの間にか寝てしまっていた。翌朝は、無機質な目覚まし時計の騒ぎ声ではなく、朝日の歓迎と小鳥の合唱から始まった。


(今日も平和な朝だなぁ。)


「ハルヒさん、仕事よ。」


「はい、分かりました。」


「じゃあ、そっちは頼むわよ。」


「はい。」


私の仕事は生地を練ることになった。生地を練ると言っても、決して簡単な訳じゃない。ちょっと分量が多くてもダメだし、ちょっとこね過ぎても美味しくなくなってしまう。


「ちょっと粉が多いわよ。」


「すみません。」


(じゃあ、他のを増やすか。)


パン屋をやると分かった時は嬉しかったが、中々難しい。ちょっとしたミスで全部が瓦解しかねない。


「じゃあ、それを持ってきて。」


「はい。」


「じゃあ、もう1回頼むわよ。」


「はい。」


小麦粉、バター、塩、牛乳などをサクッと混ぜて、程よく生地を分けて、シルさんに渡していった。シルさんはテンポよく、生地を切って形を整えていった。


「さて、終わったよ。」


「はい。」


「じゃあ、朝ご飯にしようか。」


「あ、朝ご飯は私が作ります。任せてください。」しっかり活躍できるところを見せなければなるまい。少なくとも、まともなパンが作れるようになるまでは。


「あら、そうなの。朝ご飯を作るのは任せたわ。」


朝ご飯を作りながら、これからどうしようか考えることにした。普通にパンを作るだけでは、シルさんの役に立たないことは火を見るよりも明らかだ。




 パン屋の仕事は朝にパンを作ってしまえば、あとは私でもできることだ。パン屋に来たお客さんにパンを売るだけだ。これなら私でも処理することができる。


「ハルヒさん、あとは頼むよ。私はちょっと買い物に行ってくるわ。」


「はい。」


「あとは頼んだわよ。」


シルさんが買い物に行っている間に、これからパン屋で私は何をしようか考えることにした。このまま生地を練り続けるだけなど、絶対に御免だ。


(何か、良い方法は...。)


「あのー、すみません。」


「あ、どうしましたか?」お客さんの対応をしながら考えるのはそれなりに難しい。この村にパン屋はここだけだということを考慮したら、身も蓋もないのだが。


「パンをいただけますか?」


「はい。1つ120...。」血の気が引くというのは、こういうことなのかもしれない。私はこの世界の貨幣の単位を知らない。きっと120の後ろに書いてある記号がそれなのだが、こんなもの初見で読める訳が無い。


「どうしましたか?」


「いえ、それでいくつ買われますか?」


「3つで。はい、ちょうど360フェリルです。」


「いつも、ありがとうございます。」


今日の収穫はこの世界の貨幣の単位がフェリルだと分かったことだ。そして、120×3=360だったということは計算方法は同じなのであろう。その時、シルさんが買い物から戻ってきた。私は彼女に駆け寄っていった。色々聞きたいことは山ほどある。

さて、パン屋の仕事をこなすことができるのでしょうか?


まだ初心者で改善点があると思うので、なにかあれば感想で教えていただけると助かります。

もし面白いなと思っていただけたなら、ポイントやリアクションもお願いします。

今後とも八咫烏をよろしくお願いします。

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