第14話 アレクの棄権!
~前回までのあらすじ~
魔法学院に入学したアレクは魔法が使えず、実技試験はゼロ点。その理由は、幼少期にかけられた封印魔法にあった。
「んっ……」
白いカーテンに白いベッド……差し込む陽光に顔をしかめながら、アレクは目を覚ます。
「気が付いたんですね」
目覚めたアレクに声をかけてきたのはとなさんだった。周囲を見渡すと、カーテンの向こうに医務室の先生が見える。アレクが気を失ってから医務室に運び込まれていた。
「となさん……とアリー先生……」
となさんは先日ドライビング・ボートの練習中に声をかけられた学年1位の少女、アリー先生は医務室の教師で聖属性魔法のうち、治癒魔法が得意な先生だ。アリー先生はともかく、どうしてとなさんも一緒にいるのか疑問に思っていると、アリー先生カーテン越しに説明してくれる。
「トゥナさんは保健委員でね。倒れたあなたを友人と一緒に運んでくれて、お世話をしてくれていたのよ」
友人とはレイの事だろうか、この場にはいないけど、後で礼を言っておこう。となさんと先生はこの場にいるので、2人にもお礼を言っておく。
「となさん、アリー先生。どうもありがとうございます。助けていただいたみたいで」
「どういたしまして。ところで、体調はどう?どこか痛んだり、気分が悪かったりしない?」
お礼を言うとアリー先生がアレクの体調について確認してくる。さっきまで何かを考えていたような気もするけど、今は思い出せない。強いて言うなら少し頭がふわふわした感じがするぐらいだろうか。
「すこしぼーっとするぐらいで、特に変わったようなところはなさそうです」
「それならよかった。明日の競技はどうする?一応、調子が悪いなら棄権でも構わないけど……」
明日の競技と言えば、全員参加の【フォレスト・サバイバル】だ。選択競技と違って、制限時間も90分と長く、対人戦闘が必要となる。ガーネットは説明しなかったが、すべての競技において、体調不良や怪我など、特別な理由があれば、棄権が許されるそうだ。
「そう……ですね。棄権で良いなら棄権させてください」
「わかりました。それではこちらで手続きをしておきます。私は職員室に行きますので、ゆっくりして下さいね」
棄権すると聞いたアリー先生はその手続きのためか、職員室に向かうため、席を立った。保健室にはアレクとトゥナの2人だけが残される。先生とのやり取りを不安そうに見守っていたトゥナが声をかけてくる。
「明日、棄権するんだね。その方が安心だよ」
となさんも自分の事を心配してくれてたようだ。魔法が使えないアレクにとって、競技会はただの恥さらしにしかならない。対人戦だと、何もできずにやられてしまうだろう。それからしばらくとなさんとおしゃべりをして、部屋に戻るのだった。翌日、競技大会はアレクを除くメンバーで行われ、すべてのプログラムを終了した。
ドライビング・ボート:ルカリス・ブルー
マルチ・ターゲット:トゥナ・ブラウン
スクエア・ブレイク:ミーナ・ブラウン
フォレスト・サバイバル:ノエル・アーサー
1年の部、優勝者は当然全員A組。この4人には秋季魔法闘技大会でのシード権が与えられることになった。そして、大会後は2週間の夏季休暇があり、アレクとレイも自分達の育った孤児院に戻って生活を送る。
そして、波乱の新学季が始まる――。
1章 入学編 ― 完 ―
これにて1章 入学編 完結 となります。
1日投稿をお休み頂いて、9月10日から2章を投稿していきますので、引き続きよろしくお願いします。
気になる2章のタイトルは【覚醒編】です。




