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勇者side 聖剣泥棒vs勇者パーティ

謎の女性はまず自分を狙ってきた。

って自分ですか!?うおおおおおおおおお!!?


「おっと!やらせんぜ嬢ちゃん!」


クロガネがすかさず自分と女性の間に盾を構えて割り込んでくれた

しかし女性はそれを特に気にした様子もなくそのままクロガネに向かって剣を振り下ろした。

硬いものどうしがぶつかる大きな音が響く


「む!そんな剣で俺の盾を攻撃しておいて折らずに扱うとは…やはりかなりの手練れだな」

「それはどうも!」


女性とクロガネの攻防が始まる

自分はそれを、何をするでもなく見つめていた。

だって何もできないよあれ…というかあの人、聖剣使わない気なのかな…


そんな中、自分と違いちゃんと行動できるレーヴェが動いた。


「おっさん下がれ!くらえ泥棒め!【水よ、我が敵を貫け!】アクアシュート!」


あれは自分も見たことあるやつだ

水属性初級魔法アクアシュート

水を細長いレーザー状にして打ち出す攻撃魔法だ


それは女性を確実に捉えていた。剣もうまい事クロガネが抑え込んでいるし位置的にかわすこともできない。

決まった。多分自分以外みんながそう思っていた。

しかし女性は冷静に指を魔法に向け、そして


「アクアシュート」


女性の指先からレーヴェと同じ魔法、アクアシュートが打ち出された。

そして二つの魔法はぶつかり合い、消滅した


「はぁ!?嘘だろ…そんなのありえるか!【火よ、球体となりて敵を燃やせ!】フレイムボム!」


レーヴェがなにやら怒りながらさらなる魔法を放つ

しかしそれも


「フレイムボム」


やはり先ほどと同じように相殺されてしまった

そして再び女性とクロガネの打ち合いが始まる


「そんな…あり得るはずが…」


レーヴェは茫然としていた


「ど、どうしたのレーヴェ」


魔法に自信を持っていたし、あの人に同じ威力の魔法を撃たれてショックだったとか?


「お前…今の見てなかったのかよ!」

「ええ?見てたけど…」


「ならわかるだろ!あいつがどんだけありえない事やったのか!」

「…え~と?」


「ちっ!いいか魔法というのはな、まず魔法陣を自分の内にある魔力で描くんだ。そしてその後に詠唱を行いその魔法陣に意味を持たせることで魔法が現象として具現する。それが魔法なんだよ!」

「おぉ…うん」


ちょっと難しいがまぁ少しは理解できた。

でもそれが何なのだろうか?


「まだわかんねぇのかよ!あいつは、その魔法陣の展開と詠唱をしてないんだよ!ただ魔法という現象を何もないところから出しやがった!そんなのありえないんだ!」


なるほど、言われてみれば確かにあの女性は魔法の詠唱などしている様子はなかった。

自分にはよくわからないけれど、魔法の天才と呼ばれるレーヴェがここまで取り乱していることから異常なことだということはわかった。


「うふふ!さすがはお姉さま!素敵ですぅ!」

「てめえどっちの味方なんだよ!!!」


ナリアが後ろでくねくねと不思議な動きをしていた

確かにどっちの味方なのだろうか…


「おい!お前さん達、いい加減加勢してくれんか!」


クロガネの叫びが聞こえた

なんとクロガネが押されている


「うそ…あの人クロガネより強いの?」

「違う、魔法を使ってるんだ。」


確かに女性はクロガネと剣を交えながら複数の魔法を撃ちだしていた

避けられそうなものも中にはあったがすべてクロガネは盾で受け流している


そうか


「自分を庇っている…?」


女性は常にクロガネを挟んで自分の直線状に位置取りしていた

そして魔法は自分に向けて放たれているのだ


「ど、どうしよう!?とりあえず逃げ…」

「動くな!下手に動いたらクロガネもかばいきれなくなるぞ!」


じゃあどうすれば!?勇者に選ばれたというのにただの足手まといなのがここにきて歯がゆい


「ちっ…じゃあやるしかねぇ!おっさん!もう少し耐えろよ!」

「おお?何か策があるのか?なるべく早く頼むぞ!」


レーヴェは少しだけ自分達から距離を取るとその足元に大きな魔法陣を展開させた

なにか大きな魔法を使うつもりだ!


瞬間、女性が動いた


「バーンライト」


女性を中心に目をあけてられないほどの光が辺りを包み込んだ

目くらましか!


「くっ!まずいレーヴェ!そっちに行ったぞ!」

「ちくしょう!」


光が収まったと思ったらレーヴェに向かって女性が突っ込んでいた

レーヴェは逃げられなかった

そして女性が剣を振りかぶろうとしたところで、その足元に魔法陣が広がる


「これは…」

「へっ!ひっかかったな!くらえトラップマイン!!」


大きな爆発音とともに女性が爆炎に飲み込まれたように見えた


「やったのか…?」


クロガネが呆然と呟く、が


「残念でした~」


女性は無事だった。そしていつの間にかレーヴェの背後に回り込んでいた


「くっ!エアステップか!!」

「正解。まさか中級魔法の魔法陣をトラップマインの上に展開して誘い込むなんて…さすがは賢者様。」


「馬鹿にしやがって…!」

「してないよ。褒めてる…だから私も面白い物を見せてあげましょう…ギガライトニング!」


女性を中心に大量の雷が舞起こる


「中級も詠唱無しかよ!!!」

「さがれレーヴェ!俺が受ける!」


クロガネが走る

しかし事態はさらに悪化する


「そしてこれを剣にドーン!」


雷が、女性の剣に集まり…巨大な雷の剣を形成した


「な、なんだよそれ…そんなの知らないぞ…おかしいだろうが!?」

「面白いでしょう?私のオリジナル魔法…さぁ刮目しなさい!ライトニングセイバー!!!!」


その巨大な雷の剣が振り下ろされる


「うおおおおおおおお!?」


クロガネが間一髪間に合い、盾で受け止める

しかしダメだ。押されている


「あきらめるなオッサン!【光よ、我らに魔法に抗う力を】ライトシールド!」


クロガネの盾の前にさらに魔法の盾が展開される


「この…なめるなぁあああああああ!!!!」


クロガネが雄たけびと共に剣を少しだけ横にそらした

結果、剣は地面にぶつかり…洞窟内に風穴を開けた


「なんて威力だよ、おい…」

「俺の気合がなければ死んでたなこりゃ…」

「おぉ~受け流された…さすがは勇者パーティ。殺すつもりはなかったけどね」


クロガネとレーヴェがもはや満身創痍のなか女性にはまだ余裕があった

このままでは負けるかもしれない。


その時、自分は気づいた

今、女性は自分にその無防備な背中を見せていた


今ならいけるんじゃないか

剣を握る手に力が入る

確かに自分は戦いには素人だ…でも女神さまの加護で身体能力は上がっている

普通の人よりは格段に強いはず…正面からは無理でも背後からなら…


自分は剣を構え、その腹を女性に振り下ろす。

斬りたくはないから


そして


「君ならそうするって思ってたよ」


女性がこちらを振り向き、そのまままわし蹴りを自分の腕に放った

からんからんと音を立てて剣が転がる

拾いに行かねばと思った時、自分ののど元に剣が突き付けられていた


「はい、私の勝ちってことでいい?」


女性がそう言うと


「降参だ」


クロガネとレーヴェが武器を床に置いた

自分は最後まで足手まといだった

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