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勇者side 突然の戦い

ある日突然、お前は勇者だと言われた。

意味が分からなかった。

王国の女神様を崇めている教会でそのようなお告げがったということは知っていた。

でもまさか自分が選ばれるなんて思ってもみなかった。


その日、いつもと同じようにすごしていたのだが、突如として胸のあたりが耐えられないほどに熱くなり病院に連れていかれさらにそこから教会に行きそして…「救世の勇者」だと言われた。


それからはあれよあれよと時間が過ぎて…旅立ちの日の当日を迎え

それぞれ自分の他に世界を救うために女神様に選ばれた者たちが集まっての顔合わせが始まった。

自分を合わせて全員で四人。まずはガタイのいいおっさんが最初に口を開いた


「どうやら俺が一番年上のようだし最初に自己紹介でもしておこう。名はクロガネだ!好きに読んでくれ!どうやら「剛毅の戦士」とか言うのに選ばれたらしい」


ぐわっはっはっは!と豪快に笑いながらオッサン…クロガネさんが手を上げた

背中には大きな盾と剣を背負っており、見るからに戦い慣れしてそうな風貌だった


「あら?クロガネってもしかして、あの有名な共和国の戦士長の?」

「おお!なんだ嬢ちゃん!俺を知ってるのか!」


キレイなローブを羽織った女の子はどうやらクロガネさんの事を知っているらしい


「あぁ、あの千人殺しとかなんとかで有名な」


どうやらもう一人の少年も知っているらしい

ちなみに自分は知らない


「なるほどなぁ、こっちではそんな風に伝わってるわけだ…別に千人殺したわけじゃないんだがなぁ。ただそれだけ多くの戦場に出てたってだけで」

「ふ~ん。まぁどっちでもいいけど。じゃあ次は私ね」


ローブの女の子が一歩前に踏み出し、自信たっぷりに胸を張る


「私がこの国の姫であるナリア・フィン・セラクミムよ!そして「癒しの巫女」!存分に崇めなさいな」


さすがに自分でも知ってる人だった。キレイな髪に整った顔立ちの少女で回復魔法に関しては幼くして神官様に匹敵するらしい

ナリア姫がまさか選ばれた一人だとは王国の民の自分としては、持ってる人は本当に持ってるんだなぁと思った


「はっ…馬鹿馬鹿しい」


残った少年が鼻で笑う


「なんですって!?」

「まぁまぁ!いきなりもめるなよお前たち。んじゃあ次は少年に自己紹介してもらおうか」


クロガネさんが二人をなだめつつ話を進める


「…俺はレーヴェ。「探求の賢者」とやららしい」

「ほう?そういえば最近なんかの論文を発表した最年少の国家魔法使いがそんな名前だったと記憶しているが…まさか?」


「あぁ、多分俺の事だな」


どうやらこの少年…レーヴェもすごいやつみたいだ

確かに利発そうな見た目をしている、とっつきにくそうな雰囲気ともいう


「へぇ…なかなかやるのね?」

「そりゃどうも。じゃあ残りはそこの勇者様だな」


どうやらとうとう自分の番らしい

とりあえず自己紹介だけはしておかなくては進まないので仕方がない


「あ~えーと…自分はカルラです。なんか「救世の勇者」に選ばれたようで…よろしくです」

「それだけ?」


「それだけですね」

「なにか功績とかないの?普段は何やってる人?」


そこを聞いちゃいますか…言わないとダメかなぁ

だめだよなぁきっと


「自分はみんなと違って普通というか…この国の下町で普通に暮らしてる感じですはい」

「おぉ~それはまた…」

「馬鹿にする気は微塵もないのだけれど、本当に勇者なの?」


それは自分が一番言いたいことです

なぜ勇者に選ばれたのか不思議で仕方ない。他の三人の話を聞くと余計にそう思う


「まぁ一応?」

「おいおい大丈夫なのかよ。俺は魔王竜とか言うはた迷惑なのをとっとと倒して魔法の研究に戻りたいんだが?」

「ふむ…そうさぁ…カルラよ。剣は使えるのか?」


「いえ…初めてこうして握りました」


王国から支給された装備を掴む

装飾の入った剣だ


「不安ですわ…ケガをしたらすぐに私に見せるんですわよ」

「まぁ旅をしていけばおいおい力は身につくだろう。少しでいいなら俺も訓練をつけてやれるしな!!」

「俺は剣とかはさっぱりだからな。魔法に関してなら教えられるかもだが」


なんやかんやで皆いいやつらだった


そしてたくさんの人に見送られながら王様より伝えられた聖剣が封印されているという洞窟に向かった。


道中ではナリア…(みんなで旅をする中なのだから敬称はなしで行こうとの話でまとまった)がやたらとご機嫌が斜めだった


「もう!お姉さまったら絶対に来てねってお願いしたのに!」


なんでも「お姉さま」とかいう人が見送りに来てくれなかったのが不満らしい


「もういいよ、何回聞かせるつもりだその愚痴…少し前に知り合ったばかりの他人なんだろう?そんなもんさ」

「なんですって!お姉さまはそんな人じゃないですわ!」

「しかし話を聞くと随分強いお嬢ちゃんなんだろ?少し手合わせを願いたいところだ」

「自分は遠慮したい」


そんな感じで歩みを進め、数十分で目的の場所についたのだが何かがおかしかった


「あら?お父様から見張りの護衛が立っているって聞いてたのですけれど…いませんわね」


確かに入り口には誰もいなかった

キョロキョロとあたりを見回してみると岩場の影に甲冑を着た人たちが寝かせられているのを見つけた。


「みんな、あれ…」

「これは…誰かに襲われたのか?」

「それにしては妙だ。魔物よけに結界が張ってある…しかもかなり強力な奴だ」

「なんですのそれ?襲ったくせに魔物からは守ってるってこと?」


う~んと頭を捻る

とりあえず王国までこの人たちをつれて引き返したほうがいいんじゃないだろうか


「いや、洞窟に入るべきだな。この状況は犯人が洞窟に入った可能性が高い。追跡するべきだ」

「俺もそう思う、聖剣に何かあったら大変だしな」


その意見には納得できたのでひとまず洞窟内に侵入することにした

そして中はというと…


「魔物がキレイに倒されていますわね」

「あぁ見てみろこの切り口…この俺の目から見てもかなりの腕前だ。剣の扱いになれている人間の仕業だな」

「剣の事はさっぱりだが…魔力の痕跡を感じる。なにかでかい魔法がこの先で使われたみたいだ」


「ふむ…みんな戦闘準備だけしておけ」

「あの、自分はどうすれば」


「俺がかばってやるから離れるなよ」


クロガネが大きな盾を構える

勇者なのに情けないとは思うがいまここで張り切っても迷惑になるだけな気がするのでおとなしくしておこう


そして最奥と思われる場所で真っ二つに両断された巨大な岩の魔物の死体を発見した


「こいつは…」

「どうやら特殊個体のゴーレム見たいですわね…両断されているようですが、まさか剣で?」

「いや魔法だな。痕跡がある…おそらく雷系の中級か、それに準ずる系統の魔法だ」


さすがは賢者

魔法のことは詳しい


その時、最奥だと思っていたこの場所からさらに奥で足音が聞こえた

コツ、コツと少しずつこちらに近づいてくる


「みんな構えろ。そして俺の後ろに下がるんだ。何が来てもこの盾で守ってやるから戦闘になったらまず相手の出方をうかがうんだ。わかったな」


戦闘経験が豊富な人が居るとこういうとき助かる

自分も役に立てるかわからないけれど一応と剣を構える


そして足音の主が姿を現した


それは美しい人だった

長い金髪にところどころ銀のプレートがついた白いドレスのようなワンピースを着ているとても美しい女性

そしてその手に握られている剣を見たとき、自分の心臓がドクンとはねた

そして直感する。あの人が持っている物が聖剣だと


「お姉さま…どうしてここに?」


ナリアが口を開いた

お姉さまってさっき話していた…?この人が?


「やぁ…あはは、そのなんていうかね~ちょっと冒険にみたいな…」


女性が気まずそうに笑った


「その手に持っているのは聖剣だな。あんたそれをどうするつもりだ」


レーヴェが杖を構えながら女性を睨みつける


「あ~やっぱわかるよね…そりゃそうか。どうするかって質問に答えるなら私はこれが目的だったの。だからそのこのまま見逃してくれないかな?」


女性が聖剣を持ち上げる

どうやらこの人は自分らと同じく聖剣を目的にこの洞窟に入り

そして今それを持ち帰ろうとしているらしい


「いやそれは困る…かと」


つい声が出てしまった


「だよねぇ…どうしたものか」

「ちょっと待ってくださいませお姉さま!どうしてお姉さまが聖剣を欲しがるのですか」


「そもそも私が王国に来た目的がこの聖剣だった。今はなせるのはそれくらいかな」

「なぁ嬢ちゃん。それは俺たちにとって必要な物なんだ。おとなしく渡してくれないか」


女性は困ったように笑うとため息を吐いて聖剣を地面に突き刺すと…別の剣を構えた


「じゃあしょうがない。こうなったら実力行使だ。私が君たちに勝ったらこの聖剣は貰う」

「俺たちに勝てるつもりか?」


「わからないけれど…こっちも譲れないからさ」


女性は言葉こそ軽いが、目は本気だった

それは自分にもわかった


「お姉さま、一つ聞かせてくださいませ。私を助けてくれたのも仲良くしてくれたのも全部このためだったんですか…?」

「あ~信じてくれないかもしれないけれど、それは本当に偶然。あのときたまたま通りかかったし君だとは知らなかった…これは本当に本当」


それを聞いたナリアは目を閉じると一歩後ろに下がり構えていた武器である小さな杖をおろした


「おい!何やってんだよ!?」

「お姉さまのその言葉がきけたなら私は満足ですから、私はこのたたかいには参加しませんわ!」


ええ~!!!!!そんなぁ!


「ふざけてんのかおい!?」

「大まじめです」


まさに聞く耳持たずって感じだった


「それは助かるなぁ…正直回復要員がいると手加減できそうにないしさ」

「ほう手加減とは大きく出たな嬢ちゃん!」

「舐めやがって…魔法の恐ろしさを教えてやる!」


みんなすごいやる気だ

自分も見学してていいだろうか


「カルラ。俺があの嬢ちゃんをけん制してレーヴェが魔法で応戦するからお前はもし隙があったら切りかかれ。深追いはするなよ」


どうやら見学は許されないらしい

隙ってどうやって見つけるんだろうか…不安だが自分以外の二人で決着がつくと信じたい


そして


「じゃあはじめましょうか」

女性が足を踏み出し

自分の初めての戦いがはじまった。

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