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聖剣泥棒

さてさてあれから王国に無事たどり着きました

うむうむ活気があってよろしい


儀式を…というかこれから世界を救う旅にでる勇者一行を一目見ようと人が集まっているようだ

というわけで私も一仕事終えてしまおう


「あ、ナリア。髪にゴミがついてるよ」

「えぇ!どこですのお姉さま!」


「取ってあげるからじっとしてて」

「はい~~…きゃっ!」


私がナリアに触れた瞬間パチっと電流のようなものが走る


「もう~!せっかくお姉さまに触れていただいたのになんなんですの!」

「あはは、静電気だよ」


さて…というわけで女神の加護を無事にコピーできたわけだが…勇者に接触する必要はなくなったけどどうしようかな?

なんとか言い訳してこの場から立ち去って…


「じゃあお姉さま!お城に行きましょう!」


がしっと腕をナリアに掴まれる


「いやぁ…やっぱ城に行くのはハードルが高いっていうか…」

「大丈夫ですよ~私がいますからね」


がしっと反対側をシーラナさんに掴まれる

逃げられねぇ!


こうして私は城に拉致された。

そこでは熱烈な歓迎を受けた

まずは王様から


「我が最愛の妻と娘を助けてくれたそうだな!礼を言おう!欲しいものはないか?何でもよいぞ!」


聖剣くれ

とはもちろん言えなかった。まぁ王様が持ってるわけじゃないしね

無難に金銭でも貰おうかなと思ったら恐ろしい金額を渡されかけたので普通に旅の中で最低限食べれそうな金額だけもらっておいた


「王妃の言う通り謙虚なのだな!はっはっは!しばらくは我が家で好きにくつろいでくれ!」


王様は実に人当たりがいい人だった

しかし私はもう聖剣を回収に行きたいのだ


だが逃げられない

夜はフルコース料理がふるまわれ、お風呂に入れられ

ナリアと一緒に寝た

そして翌日は私が助けた騎士の皆さんに土下座され稽古をつけてくれないかと言われた

断りたかったがあまりにも必死に頼み込まれたので少しだけという約束で稽古をつけた

一日が終わった


さらに翌日はナリアとシーラナさんとショッピングに出かけた

一日が終わった


そしてさらに数日がたち

旅立ちの儀式当日を迎えてしまった


「お姉さま!私の晴れ舞台の第一歩!ちゃんと見届けてくださいね!」

「うん、行ってらっしゃい」


そうして旅装束に着替えたナリアを見送った

そしてここがチャンスだ!!!今儀式のためにお城にも人がほとんどいない!脱走!


私はその瞬間風となった

我ながらとんでもないスピードが出てたと思う。城からの大脱走だ

目的地は王国のはずれにある聖剣が封印されている「試練の洞窟」だ

なんとなくの場所しかわからないから探すのに苦労するかなと思ったけど思いのほかすぐに見つかった。

だって王国の騎士が立ってるんだもん

しかも私が稽古をつけてあげた若い子たちだ


「やぁやぁお疲れ」

「これはレーナ様!お疲れ様です!」


ばっと敬礼のポーズを取られる

やめてよ!そういうの


「どうかなさいましたか!こんなところに!」

「うん、ちょっとナリアに頼まれてね。」


「ナリア様にですか」

「そうそう。だからちょっといれてくれないかな?」


「むむむ…しかし…」

やはり難色を示されたので即座に魔法を使う

精神系初級魔法スリープ


読んで字のごとし、ただ相手を眠らせるだけの魔法だ

本来なら成功率は高くないのだが今はみんな油断しているし私に警戒もしていない

というわけですんなんり成功した


「これまずいかなぁ…でも聖剣盗むんだし今更か…」


とりあえず騎士たちを安全な場所に寝かせると試練の洞窟に侵入した


ここはゲームではいわゆるダンジョンだった場所だ

主人公たちが最初におとずれるチュートリアル的な場所である

ここで自分の今のレベル的なものが測れないだろうかと思ったが出てくる魔物がどれもこれもが弱かった

だいたい一回斬るだけで死んでしまう。

嘘…私って強すぎ…?


なんて冗談はおいておいてなんやかんやで最奥


そこに青い岩があった

いや岩じゃない

それは私が近づくと途端に動き出した


「グオオオオオオオオオ!!」


ゲームの最初のボス

その名もウォーターゴーレムだ

ゴーレムなのにウォーターとはこれいかに

まぁそれはこのボスが属性相性というものを教えてくれるボスだからである


ここは現実なのでそんなこと言ってられないが


ウォーターゴーレムがその巨体を完全に表した

もう見たまんまゴーレムである色が青いだけだ


そしてその大きな岩でできた腕で私を殴りつけてきた

いきなりかよ!!!


それをエアステップでかわしつつ切りつけてみる

もちろん全く刃が通らない。それどころかこちらの剣が少し欠けた

ゲームには武器破損の概念はなかったがここにはある!現実だからね!


このままでは普通に勝ち目はない…わけもない

名前を思い出してほしい。こいつはウォーターゴーレムだそうウォーターなのだ

なので雷が弱点です。ゴーレムなのに


私の目的はとにかくここにある聖剣を手に入れること

なので幼少期からこいつを倒すことを第一にして魔法の練習をしてきたのだ

なのでここで披露しよう、私の得意魔法!


「雷属性、中級魔法!ギガライトニング!を剣に纏わせる!」


という謎の応用を見せちゃったりして

だって雷の剣とかかっこいいでしょう?

私の握る剣に大きな雷がまとわりつきそして一本の巨大な雷の剣となる

これぞオリジナル魔法!


「ライトニングセイバー!!!!!!!」

それをウォーターゴーレムに振り下ろす


「ゴォッォオオオオオオオ」


轟く轟音と共にウォーターゴーレムは真っ二つになりその動きを止めた


「討伐完了!なんちゃってね。…さてお目当ての物はっと」


ゴーレムがいた部屋のさらに奥に小部屋があった

そしてそこに台座に刺さった聖剣を見つけた


とうとう見つけた

これが私が求めていた物…聖剣、リ・スティード


その聖剣を握り…引きぬいた

よかったぁああああああ抜けなかったらどうしようかと思ったよ!!!

しかし無事に聖剣は私の物となった。そして同時に聖剣が光り輝き「あるイメージ」が頭をよぎる

うむ、ゲームの設定どおりだ

まぁしかしこれで計画の半分は終わった。あとは…


とそこで私がさっきまでいた部屋から複数人の足音と話し声が聞こえた


「やっぱり誰かいるみたいだな」

「警戒しろよ坊主ども」

「もう!この私がせっかくこんなところに来てあげたのになんなのよっ!」


あちゃ~やっぱりギリギリすぎたか…どうやら勇者たちが来てしまったらしい

さてさてどうしたものか…話し合いで何とかならないかなぁ…無理かなぁ

でも私だって譲るわけにはいかないのだ

生半可な覚悟で10年も努力したわけじゃない

ただの遊びで聖剣を盗んだわけじゃないのだ

これをたとえ世界を救う勇者だからって渡せない


たとえ彼らと戦うことになったとしても

私は部屋の外へと歩みを進めた

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