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運命の遭遇

さて意気込んで旅に出たわいいものの…迷いましたですハイ

まぁ落ち着け

とりあえずは行動指針の確認だ

今の私の目的はまず、王国に行くことだ。セラクミム王国と呼ばれる場所でもうすぐ旅立ちの儀式が始まるのだ。

旅立ちの儀式とは女神様の加護を受けた勇者たちを送り出す…まぁ祭りのようなものなのかなぁ?

女神の加護はある日突然選ばれた人に授けられそしてそれを得た人間たちを王国にて魔法的検査を行い勇者たちと判明した者を送り出す…考えてみればなかなかに強引だ


突然お前勇者な。とか言われても何言ってんだって感じだろう。しかしそれで旅立つのが勇者たち…主人公なのだ

まぁそれは置いておいて私の目的は旅立ちの儀式前に勇者にそれとなく接触することだ。

その理由は勇者一行の存在核…もっと言えばそれに刻まれた女神の加護の情報だ

これは聖剣を扱うのにおそらく必要なので勇者が旅立つ前に加護の情報を読み込み私の存在核に刻む

そして聖剣を引き抜きとんずらする…こういう作戦である


え?接触しただけ加護をコピーできるのかだって?厳密に言えばできない。

だが幼少期より存在核をいじくりまわして育った私だ。複製はできなくてもそれっぽい物を自分の存在核に刻むくらいは余裕だろう…多分


しかし作戦は完ぺきなのに王都への道がわからないというダメっぷり

馬車とか通ってくれないだろうか?そうしたら道を聞けるのだが…


あ、地面に馬車の通った後を見つけた

これをたどれば追い付けないだろうか?無理だろうなぁ…でも馬車が向かっている町とかにはつくよね

あわよくば王国につくかも

よし行ってみよう。私は馬車のあとに沿って歩き出した


しばらく歩いたところで何と馬車本体を見つけた

めちゃくちゃついてるぜ私

早速声をかけようとしてなにやら様子がおかしいことに気が付いた


確かに馬車はあるのだが…馬は寝かされていてさらには周りをやたらと野蛮な恰好をして剣やナイフを構えた男たちが囲んでいた

そして馬車の護衛と思わしき鎧を着た人たちが血を流して倒れている

これはあれかな?馬車強盗?山賊?とにかくまずい事態に遭遇してしまったらしい


やがて男たちが馬車の中にいたらしい女の子と大人の女性を引っ張り出して刃物を突き付ける


…しょうがない。見てしまった以上助けないわけにはいかないだろう

今の私がどれぐらい強いのか確認できるかもだし

それになにより


「悲しい物語は嫌だものね」


私は覚悟を決めると腰に下げていた剣を引きぬき、魔法を発動させる

風属性初級魔法、エアステップ

いわゆる高速移動の魔法である。一瞬だけだがとても早く走れるのだ


よし!いくぞ!


私は魔法の効果時間ぎりぎりで捕まっている二人の元まで移動

そして刃物を構えていた男を切りつける

殺しはしない。怖いもの


「…え?」

「うぎゃあああああ!!」

「な、なんだ!?どっから現れやがった!何者だてめえ!!」


ふっ…このレーナちゃん。悪者に名乗る名前なんて持ち合わせていないのよさ!

なので


「どうも~通りすがりの者です~」


と言っておいた


「ふざけてんのかてめえ!邪魔するってんならおいやっちまえ!!」

「へへへ可愛い顔してっから動けないように痛めつけてからじっくり可愛がってやるぜぇ!」


男たちが三人ほど私に向かってくる


「やだえっち!」

とりあえず一番近い男の剣を弾き飛ばしながら切りつけ、その勢いのまま隣の男の急所を蹴り抜く

そして残った一人は弾き飛ばした剣がちょうどよくお腹に刺さっていた

うむ狙い通り


「ぐぇえええええ!?」

「なんだこの女!つぇえぞ!」


でしょうとも。これでもめちゃくちゃ努力したからね。

そこそこ強いんだぜ私


「おい逃げるぞ!」


男たちが私に背を向け走り出す

これまた狙い通りだ。そっちは私が来た方向…そしてそのあたりには地属性初級魔法、トラップマインが仕掛けてある

まぁわかりやすく言うと地雷だ

はい、どか~ん


これにて一件落着


さて…とりあえず周りに倒れている護衛ぽい人たちには回復薬を配っておいた

パパから持たされた奴じゃなくて自前の奴だ

元気になったようなのであの男たちの後処理は任せておいた

んで捕まっていた女性に話しかけてみた


「大丈夫でしたか?」

「ああ!ありがとうございます!あなた様は命の恩人です!」


わお

なんかすごい美人な人だ。そこそこ年上の人に見えるが流れる海のような色の髪が美しい

そして


「わたしからもお礼を…ありがとうございます!とてもお強いんですね!」


こちらは可愛い女の子

私より少し年下くらいだろうか?これまたキレイな髪が特徴の女の子だ

姉妹か親子かなぁ?


「いえいえ~それほどでも。困ったときはお互い様ですよ」

「まぁまぁなんて謙虚な方でしょうか!なにかお礼をしたいのですが…」


おぉ

お礼をしてくれるらしい。よしならばお言葉に甘えて


「それなら王国への行き方を教えてくれませんか?実は迷子でして…お恥ずかしい」

「あら!お母様それなら一緒に来てもらいましょうよ!」

「そうねぇそれがいいわ!私たちちょうど王国に帰ろうとしているところだったんです。よろしければご一緒にどうぞ」


やはり親子だったらしい

それにしてもなんとまぁ親切な

情けは人のためならずってあれ本当なんだなぁ


「それは助かります!ありがとう」

「いえいえ助けられたのはこちらですから。ではどうぞ」


そうして準備のできた馬車に乗り込んだ


「自己紹介がまだでしたわね。わたくしはシーラナ・フィン・セラクミムと申します」


母親のほうがそう名乗った


「私はナリア・フィン・セラクミムです!」


女の子のほうもそう名乗った


ん?セラクミムってどこかで聞いたような…え?まさか…


「王族の方…?」

「ですです♪王妃ですわ」


うひゃああああああああああ

えらいこっちゃ!うっかりとんでもない人を助けてしまった!!!

って待て

そういえばナリアってまさかあのナリア…?ゲームの登場キャラの…


「癒しの巫女…?」

「まぁ!私のことご存じなんですね!」


やはりそうだったらしい

ゲームでヒーラーのポジションだったパーティメンバーの一人

癒しの巫女ナリア


彼女はゲームでは嫌われキャラだった

勇者一行にひたすら嫌味を言い続け、行動には否定的

そして物語中盤でパーティを離脱して終盤は闇の力をみにつけ主人公たちの前に立ちはだかる

なぜそんなことをしたのか

彼女は世界を滅ぼしたかったのだ

旅立ちの儀式の前に母親と出かけた先で盗賊に母親を殺され自分だけが生き残ってしまい世界に絶望してしまった悲しい子だった…

そっか…この子が…


ん?旅立ちの儀式の前?母親が盗賊に?んんん???

…まぁ細かいことは気にするな!誰も不幸にならなかったんだからよし!


「お姉さまどうかなさいました?」


ナリアが心配そうに見つめてくる

いかんいかん。考えの世界に没頭してしまっていた

というか


「お姉さま?」

「だ、だめですか…?」


「いやダメじゃないけど」

「わぁ!じゃあお姉さまって呼ばせてもらいますね!」

「あらあら私に娘が一人増えちゃったわ、うふふ」


「えぇ…いやぁあはは」

「ところでお姉さまは王国の方なんですか?」


「ううん違うよ」

「じゃあ旅のお方なんですか?」


「うん、そんな感じ!」

「まぁ!冒険者様なんですね!かっこいいです!」


いやまだ冒険に出たばっかなんですけどね


「それで王国には何をしに?」


ちょっと聖剣を盗みに

とはもちろん言えない


「もうすぐ旅立ちの儀式があるから一目見たいなと思いましてね」

「そうなんですね!じゃあお姉さまぜひうちに泊まって行ってください!」

「あら~いいわね~」


「え…あなた達の家ってお城なんじゃ…」

「お姉さまに私の晴れ舞台を見てもらいたいですから!いっぱいいっぱい歓迎しますね!」


どうしてこうなった

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