旅の道中 日常
ほどなくして日が沈み、ご飯の時間になった。
二人旅の時はレフィアが料理してくれていたがせっかくなので持ち回り制にしようという話になった。
しかしレフィアが私に料理はさせないと頑なだったので私だけ外される…悲しみ。
とりあえずドロドロになった身体を水と風の魔法を応用してきれいにする。
こういう時に魔法は便利だなぁとしみじみ思うよね。
あとレフィアがドロドロの私とカルラを見て恍惚とした表情をしていたのが気になった。
そんなこんなでみんなで焚火を囲んで楽しい夜ご飯だ。
本日のメニューは串に巻いて焼いたパンと魔物のお肉のスープだ。
「…ん?」
「ご主人様どうかなさいました?」
「いや、別に」
なんか私のパンだけ形が不格好だ。
皆の分はキレイにロールされているのに私の分はところどころ千切れてたり垂れちゃってたり…なんで?
まぁ味は変わらないだろうしどうでもいいんだけどもさ。
「いただきまーす」
うん、やっぱり美味しい。
そんな私をレフィアとアルマがじ~っと見つめていた。
レフィアは眼を細めてニコニコ、アルマはどこか緊張しているように見えなくもない無表情だ。
「私の顔に何かついてる?」
「いえいえ、ご主人様どうですか?おいしいですか?」
「え?うん、美味しいけど」
「ですって。よかったですねアルマ様」
「うん…」
そういう反応するってことはもしかして…。
「これアルマが作ったの?」
「うん」
「ご主人様においしいって言ってもらいたいって一生懸命作ったんですよ。ね、アルマ様」
二人で「ね~」とじゃれあっている。
この二人は仲が良くて微笑ましいね。ちなみにレフィアの中でアルマはすでに私の身うち判定されているらしく「様」付けだ。
それにしてもそっか~アルマが作ったのなら多少不格好でも納得だ。
「おいしいよ、ありがとうアルマ」
「ん」
いつものように頭なでなで。
撫ですぎていつか禿げないか心配だよね。
「それにしてもお前さんら本当に仲がいいなぁ~そうしてると本物の家族みたいだぞ」
「クロガネさん、からかわないでよ」
「いや俺も正直本当に先生の子供なんじゃないかと疑いだしてるぜ」
やめなさい、私は純潔よ。
「おかあさんだもん…」
ぎゅっとアルマが私の袖をつかんだ。
「どうするんだよ「おかあさん」?」
にやにやとみんな私を見ている。
このやろ~!全員他人事だと思って…っ!!!
結局私は何も言えず、アルマの頭を撫で続けるのであった。
「どうだ!高いだろう!」
「たかい…」
「おい、おっさん落とすなよ!」
ご飯を食べ終わった後、少しして寝る準備も整ったころ。
クロガネさんがアルマを肩車して遊んでいた。
うんうん、平和でいいね!
「ふふっ」
私の隣に座って同じ光景を眺めていたカルラが突然笑った。
「な、なに?」
「いや、なんか今レーナさんがすごい優しそうな顔してたから「おかあさん」ぽいなって」
「君までやめてよ…」
「いいじゃないですか。何か問題でもあるんですか?」
「いや…」
「レーナさんって自分達と距離を置きたがりますよね。それもレーナさんのやりたいことと関係があるんですか?」
おやおや、突然痛いところを突きよる。
「ん~どうでしょう?」
「くすっ、別に詮索するつもりはないですよ。自分はレーナさんの事信じてるので」
「そりゃどうも」
さすがにいろいろと怪しまれてるかな…でもここまで来てしまったし、もう引き返せない。
最後までやり切るしかないのだ。
そのために私は生きているのだから。
「む~!」
そんな気の抜けた声が聞こえてきてふと前を見るとアルマが私の腕を引っ張っていた。
「どうしたの?」
「む~!うー!」
「いやなんか、カルラと嬢ちゃんが仲良さそうにしてるのが嫌らしくてな~走って行っちまったんだ」
えぇ…どういうこっちゃ…。
「あはは…自分嫌われてる?」
「おかあさんとっちゃだめ!」
「いやこれはライバル宣言だな。がんばれカルラ」
勇者と幼女による私の取り合いが勃発しているらしい。
やめて!私のために争わないで!なんてね。
「はいはい。明日も早いし今日はもう寝ましょうね」
アルマを抱えて私はテントに入っに向かった。
すやすやと私に抱き着いて眠るアルマの背中をゆっくりと撫でる。
「そうしてるとお姉さま…」
「はいはい、おかあさんに見えるって言いたいんでしょう?もうわかった」
「そんなに拗ねないでくださいまし。本当にそう見えるんですから。」
「…私って老け顔なのかな?」
「え」
「いや、だってみんなおかあさんって言うから…まだ17なのに。」
「ご主人様のは老け顔じゃなくて、大人びて見えるって言うんですよ。」
レフィアのフォローが飛んでくるが同じ意味ではないのかそれは。
もんもんとした夜なのであった。
そんなこんなで特に問題なく旅は続き…港町についた。
次に目指す場所は雪に閉ざされた地。
人が住んでいない未開拓の土地、ララリイ雪原。




